ラッキー
![]() 物語のはじまり―短歌でつづる日常を読んで一番印象深かった歌は
という歌です。 女の子は生まれながらにその身のうちに卵子を抱えていると娘に告げると、彼女は即座に「ラッキー」と声を上げた。 そんな思春期目前の娘をまぶしく見つめつつ、これから大人になってもずっと、子を生める性であることが「ラッキー」であって欲しいと母は願っています。 極端な破調には子の将来への不安が感じられますし、「あらまほしけれ」ではなく「あらねばならぬ」と断定したところに、女性が母性を喜べる状況を作らなければならないという主体的な意思が感じられます。 著者自身がこれまでずっと、卵を持っていることをラッキーと思い続けてきていたなら、娘の言葉は当然過ぎて記憶に残らなかったことでしょう。 屈託のない娘から明るく軽く放たれた「ラッキー」は小さな矢になって作者と私の胸に刺さっています。 スポンサーサイト
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