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ヒカルの碁:さかしいごまかし
2006 / 08 / 18 ( Fri ) 14:10:36
8/22に改定記事を書いています。
「さかしいごまかし」という表現は、ヒカルの碁1巻22ページに、藤原佐為が自分に着せられた濡れ衣を語る場面に出てきます。 【佐為が平安時代の生まれでも、使うことばは近代語というお約束でこの漫画は成り立っています】 さかしい(賢しい)というのは本来褒め言葉。
才知、分別があって、しっかりしている (精選日本国語大辞典)
の意です。 「理性的ですきがない。賢い。賢明である。」「判断力がしっかりしていて、心がまどわない。強気である。気丈である。正気である」 と続く語釈を読んでいくと、塔矢アキラ専用の賛辞かと思えてきます。 まれに否定的に使われるときは
「生意気な才知、分別があって、すきがない。こざかしい」(同)
の意です。まるでプロになる前の越智みたい、といったらかわいそう? さて、「さかしいごまかし」の「さかしい」は・・・・。 ごまかしを形容するのに褒めことばは変ですから、ここは第二義の否定的な意味合いなのだと思います。 さりとて碁石の数をごまかすのに「分別があってすきがない」というのもまた変ですから「こざかしい」という部分が採用されたと考える他ないでしょう。「小」賢しいどころか全然賢しくないという気がしますが・・・・・。 念のためこざかしい(小賢しい)に当たってみると
「①さしでがましく利口ぶっている。なまいきである。こましゃくれている。②浅はかな抜け目のなさがある。卑劣なずるさを身につけている。悪賢い」(精選日本国語大辞典)
の意だそうで、「悪賢いごまかし」ならまあ、形容として成り立つかと思います。 成り立つかもしれませんが・・・・・否定的な「さかしい」は現代の口語として一般的な言い回しではなく、「卑怯なごまかし」と言ったほうがよかったと思います。 原作者の言葉が間違っていなくとも、一般的な言い回しでないと編集担当者は差し替えを要求してくると、コミックスのおまけページに書いてありました。 そこでダメを出されていたのは『よそ事』。
やっぱり使いませんよ こんな年よりくさい言葉。ボクはゼッタイ使わない。棋院のSさん(推定60歳)も使わないって言ってます。
だったら編集のタカハシさんは「さかしい」なんて言葉を日ごろ使っているのかしら。まさかね。 さかしいのはいいけれど、さかしらなのはよくありません。私もさかしらにならないよう気をつけなくては・・・・。
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この記事、何度か推敲を重ねていらっしゃいますでしょうか。考察が深まってきていて大変ためになります。
さて、私も「さかしい」についていろいろ考えてみたのですが、私はどうも「さかしい」に良い意味を当てはめていないようです。「あたまがいい」っていい意味なんだけどなあと、なんとも不思議な感じがします。
by: ぴか * 2006/08/19 11:15 * URL [ *編集] * page top↑
 

すいません。一般的な「気になる言葉」から「ヒカルの碁」の話題に重心を移して書き換えたほか、言い尽くせなかったことを補記しました。
最初からここまで考えて出すべきなんですが、なかなかできなくてじたばたと・・・・・。
「さかしい」については、もっと用例を集めれば一論文書けるかも知れないと思います。
ただこの用例集めが容易じゃないので、というか尋常じゃできないので、私が始めるのなら退職してからですね。
(このテーマで論文を書きたい人がいたら遠慮なくお先にどうぞ。今なら先行論文が少ない模様)
by: わくわくふわく * 2006/08/19 23:32 * URL [ *編集] * page top↑
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