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さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい/古内一絵
2021 / 03 / 18 ( Thu ) 09:18:14
自分はこうだと思いこんでいる人が、シャールの二言三言(ふたことみこと)で、別の見方をし始めるのはなぜ?
シャールが命がけで生きているから。
本当は誰だって命がけで生きているのだけれど、大概の人は自分がいつか死ぬことを忘れて生きています。シャールの場合は無髪と手術跡が、生と死を意識し続けて生きていることを聞き手に伝えるから、聞き手が疎かにはできません。

もともと、シャールの宿痾は、読者にも「シャール、ただ者ではない」と思わせるしかけだったんですよね。

短編1篇ごとに主人公が変わるけど、常に物語の8割は主人公の苦境で、その8割分の苦悩をひっくり返すシャールの二言三言。
主人公の耳目は、美味しい食事でひきつけられ、さらにシャールの病気で目(耳)を離せなくなっている、その時に放たれる衝撃が、人生を変えて行きます。
ここで読者までも、救われた気がするんです。

最終巻、自分を救うのに誰に遠慮がいるだろう これが私の掌に最後に残っているメッセージ。

シャールが生きのびられますように。
幾久しく、生きられますように。



駅ビル図書館の閉館まで1カ月を切りました。カウントダウン読書29冊目です。
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