タイニー・ビレッジ その46
![]() ![]() 「それではお約束の、元お手洗いをお見せしないといけませんね」 ひよりがガイドらしく案内する。 「こちらが、元お手洗いです。 熊さんはまず、トイレを書斎にしたんですが、ドアは取り外してしまいました。その上、正面の壁を床から軒下までガラスブロックにしちゃったんです」 「たしかに、これだと外と繋がっている感じね」 「外が見えるようで見えない、見えないようで見える。ぼんやり繋がっている感じですね」 ![]() 「これですよ」 と言て、ひよりは置いてあるスーツケースを指さした。と、そのままひょいとかがみ、スーツケースからデスクを作り上げた。幅1mあるかないかの小さなデスクだ」 「市販品ですけどね」 そういうひよりの口ぶりは、市販品は芸がないとでもいいたそうだった。 「折りたたみの机がスーツケースの側板になっているのは面白いけど、机としてはチャチかな。悪いけど」 「はい。熊さんも自分で『名ばかりでも書斎を持ってみたかったんだ』と言っています。ここは名ばかりの書斎で、この机はもっぱらビレッジの催事に使っています。持ち運びの簡単さはスーツケース並ですから」 スポンサーサイト
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