サッカー部と野球部
![]() ![]() 「じょうーほーく・オ・レ 2メートルクリア」 そう来るかサッカー部。 サッカー部と野球部はいつだって微妙なライバル関係にある。 「オーラーイ。3メートルクリア」 と僕も叫んだ。 遠藤が何か言うか少し待ったが、ひ弱な遠藤は声も出ないらしい。そうだよな、文化部のやつってでかい声を出す習慣ないもんな。仲間はずれじゃかわいそうだな。 「オーラーイ。遠藤まであと5メール50」 「じょうーほーく・オ・レ 遠藤まで5メートル」 と布袋が応じてきた。通じたようだ。面白くなって、互いの姿が見えてきても、1m進むごとに声をかけて、(少なくとも男同士は)競争で草をむしった。 ![]() 「おやおや、今年の実習生は元気がいいですな」 「見に行かなくても進行状況が分かって便利よ。 ご近所に明日から中学生の実習生が来るからよろしくって挨拶しておいてよかったわ」 「さすが館長。抜かりない」 「は、ぬかってたかも。あの子たちにクレマチスを抜かないように注意するのを忘れたわ」 館長はあわてて庭へと向かったが、そこには青木家の息子がいたので問題なかった。 「クレマチスは抜かないで。大体等間隔で並んでいるから、わかると思うけど、草かどうか迷うことがあったら館長に聞いてから抜くこと」 と親父の注意を自分で考えたかのように他の二人に伝えていた。サッカー部だけに仕切らせてはおかないという意地からの発言だったが、妥当な注意であった。 スポンサーサイト
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