観念
![]() ![]() 「どうしたんですか」 「アイスひとつ食べる間だけ館長に時間をもらったんです。青木さん、いきなりお願いで済みませんが、リユースの匠を調子に乗せないで欲しいんです」 「え?」 「同じものを二度または二重に使わないと気が済まない館長のせいで、うちのベンチはみんな物入れになっています。もうこれ以上家具の中に物をしまいこまれると、しまわれているものを使いこなせなくなります」 「わかりました。調子に乗せなければいいんですね?」 「はい」 「調子に乗らなくても<もったいない>主義だったら?」 「リユースやむなしです」 ![]() 俺も二重利用を褒めすぎないように気をつけよう。しかし、きっと使いまわしは止められない。俺自身が、物を使い切らないのは非合理だと思うから。多分緑川さんも。 明石さんのお願いは、観念するための手続きだ。 明石さんといっしょに階下に降りていく。 明石さんがカウンターに入り、館長が出て来る。 「青木さん、私はアーマンディーを植えたかっただけど、あれは誘引が大変で、植える決心がつかなかった。来月青木さんが正会員登録してくれるなら、植えようと思うんだ」 ただし俺は通りすがりのゲストだから、観念する必要はない。必要はないが、アーマンディーを大きく使える機会が他にあるだろうか? モンタナとリレーさせられる舞台が他のどこにある? スポンサーサイト
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