朗読会
![]() ![]() 「そのお約束は最初から?」 「いいえ。開館以来この落とし所にたどり着くまで、紆余曲折がありました。勇気があったりありすぎたりする常連さんも絡んでますから・・・・(ニッコリ)。 それで青木さん、嫌いじゃなかったら白くまくんカップアイスいかがですか?」 「はい。いただきます」 「よかった。じゃ、私も」 明石さんは<館長用>とふたに書いてあるアイスを二つ取りだし、横に座って食べ始めた。アイスのさじを舐めているときは、気取った話はできないものだ。 「青木さん、黒岩さんに会われましたよね」 ![]() 「館長と黒岩さんが二人で朗読する『チャリング・クロス街84番地』は素晴らしいんです」 「もしかして、閲覧席が空になる?」 「ホワイエでやればそうなるでしょう。私はまだ遭遇したことがありません。二人の朗読が突発的にホワイエで発生するのは、なにか伸るか反るかの大勝負があったときらしくて。確かこの前は、うちのブックモービルに居眠り運転のトラックがつっこんだときだったそうです」 「だったらホワイエ以外で聞きたいね。じゃ、明石さんはどこで聞いたの?」 「毎月1日の午後7時から職員の朗読会があります。館長も黒岩さんも別の本を朗読しますが、アンコールをかければ必ず『チャリング・クロス』をやってくれます』 スポンサーサイト
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