父と娘
![]() ![]() 「ただいまー。美咲、美咲いる? お、美咲。英語好きだったよな。<サニタリー>ってなんだ? サニタリールームって、女性専用じゃないのか?」と矢継ぎ早に聞いてきた。 「やだなあ、お父さん。サニタリーは<衛生的>ってことだよ。サニタリールームはトイレ・浴室・洗面所の全部かな」 英語の問題として聞かれたからよかったけど、父親からいきなりこんなこと聞かれたら、なんでもかまわず持ってるものを投げつけたかも知れない。お父さん、危ない橋を渡ったね。 「そうか、よかった。俺今日、サニタリールームって書いてある所に入ったんだけど、女性専用の部屋かなと思って、慌てて出てきたんだ。入ったって犯罪じゃないんだな?」 「うん。女性用または女性の使用中でさえなければ」 ![]() お父さんが広げたのは、ライブラリーマップ。マップというタイトルだけど、いわゆる図書館案内。 どうやらお父さんは、庭のクレマチスが見たくて私設図書館の庭に入り込み、そこの館長だか庭番だかの人と意気投合。図書館の中に入れてもらったのに、書庫も閲覧室も見ないで帰って来たらしい。 どんな本があって、どんな雑誌があったか一つも見ずに、フリーペーパーコーナーに何があったか縷々語るなんて信じられない。 でも確かに楽しそうな図書館だから、今度行ってみようと思う。図書館マップを見ているだけで疑問符がいっぱいわいてくる。何しろ、「12歳未満の入場お断り」というのがいい。R12の図書館って、どんな「大人の」図書館なんだろう? スポンサーサイト
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