「赤毛のアン」の秘密 (岩波現代文庫)/小倉千加子
![]() ハードカバーが出た時に一度読んでいるけど、その時の印象で覚えているのは、「モンゴメリの死因は自殺」という、当時の自分にとっての新事実だけ。 このたびの文庫化で再読してみると、あるじゃないのもっと大事なことが。 老嬢恐怖。負け犬恐怖。行かず後家になるくらいなら、愛のない結婚も辞さず、愛のない結婚を続け、夫の精神病という破たんは糊塗し、離婚は選ばず死を選ぶ。 そんなにそんなに結婚が大事だったから、大家族を擁するアンの話を、かくありたしという夢を書き続けたんですね。アンとギルバートの間に会った愛と信頼は、著者にとっては現実に求めも得られもしなかったもの。得られないものを書き続けての、自死。 傷ましい魂です。 スポンサーサイト
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