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証言・フルトヴェングラーかカラヤンか / 川口マーン惠美著
2009 / 01 / 16 ( Fri ) 22:20:36
実はフルトヴェングラーもカラヤンも、音楽を聞いて識別することが出来ません。ウィーンフィルとベルリンフィルの違いだって分かりません。それでも、この本は面白い!

証言・フルトヴェングラーかカラヤンか (新潮選書)
-- 新潮社, 2008. -- (新潮選書)

フルトヴェングラーの死去によってベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者の地位を引き継いだのがカラヤンだったから、ベルリンフィルの古い楽団員なら、二人の指揮者を直接に知っているはず。フルトヴェングラーとカラヤンの違いがどこにあったか、インタビューするなら今だ。と、思い立った川口氏。
その判断は正しく、古老OBの話は楽しくかつ貴重なものでした。そして実際に、話を聞いてから本を書き上げるまでに亡くなった人もいたのでした。

フルトヴェングラーを知る元団員のフルトヴェングラーへの敬慕の気持ちは時を経て薄れるものではなく、インタビューされたフルトヴェングラーを知る人の誰にとっても、彼は懐かしく偉大な人物だったようです。

しかし、カラヤンの方は・・・・人によって受け止め方がばらばらです。
愛憎半ばの人、付き合い憎かったが音楽は素晴らしいという人、始めはよかったがだんだん付き合いきれなくなったという人、欠点も含めて丸ごと偉大なマエストロだと慕う人。
語る人によって全然別の印象になることの、不思議と面白さを感じます。まるでカラヤンを語ることで、語り手の個性が浮かび上がってくるようです。
多分みんな真実で、カラヤンは多面性のある人だったのだと思います。

なんだか、フルトヴェングラーやカラヤンの話ではなく、「ベルリンフィルで勤め上げるとこんな老いの日々になるよ」というサンプルを見たような気持ちにもなります。どなたもほおぉっとため息の出るような、あらまほしい行く末だと思います。

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