歌に私は泣くだらう/永田和宏
![]() 「家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日」を読んでいたので、既知の部分もあったけれど、薬害に正気を失った妻と夫、母と子の相克はここで初めて明かされるものでした。 自分も夫も子もみな歌人。夫と子どもは歌に仕事に邁進するのに、自分だけが術後の不調に耐え、再発の不安におびえる日々。だとしたら、「おいてけぼり」恐怖はどんなにつらいものだったかと思います。 表現者ならばこそ、死を前にした不安も詠まねばならず、作品が残ればこそ、その作品を読むごとに詠われた時点に呼び返されて泣かねばならない。 表現者ならばこそ、かつては伝わらなかった思いが詠われた作品によって伝わることもある。 魂の交歓に時差がある夫婦。歌詠み同士の夫婦ならではの回顧録。 泣けました。 スポンサーサイト
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