東日本大震災 自衛隊かく闘えり/井上和彦
![]() 事実を伝えるだけで涙を禁じえないのに、涙をあおる書き方があざといと感じました。 「かといった」「類の」「聞かれたという」という無責任極まりない前提。そこに続く『誠に悔しい限り』は著者の感想であって、海上自衛隊員の感想ではありません。 大体、今回の震災で初めて自衛隊の働きに接した人が、陸海空軍を比べるなんてするでしょうか。いくら直接その活躍を目にする機会が少ないといっても、大概の人が、「海上自衛隊は海に流された人の捜索をしている」と考え、信じていたと思います。 不当に無視された自衛隊が、それでも国民のために頑張ったと書くより、人の目に着かないところでも自衛隊は頑張っていたと書いた方が、ストレートに彼らの貢献が伝わった気がします。 また、1冊の本の中に何度も何度も「筆紙に尽くしがたい」と書くのは、プロライターとしてどうかと思いました。 被災者が自衛隊に感謝し、その感謝の表意に隊員が鼓舞されることはきっとたくさんあったでしょう。でも「被災者に感謝されたから頑張れた」というように相互作用が強調され過ぎるのには違和感があります。 弱っているものを守ることがその時の自衛隊の責務だったはず。私を顧みず、ひたぶるに国民の負託にこたえるべく闘ったからこそ、隊員は尊敬され、感謝されたと、私は理解しています。 スポンサーサイト
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