大奥 (第2巻)/よしなが ふみ
![]() 家光の小姓にと見込まれた院主万里小路有功が、還俗させられ大奥に送り込まれる件(くだり)の、春日局の恐いこと非情なこと。 やむなく、本当にやむなく、大奥に暮らすことになった有功は、将軍が女であり、実は自分が将軍の側室候補なのだと知ります。 有功は自棄になりかけますが、自分よりもっと辛い思いをしている男装の将軍の心に気づくのでした。 若過ぎて、自分が何に傷ついているかもわからない将軍に、自らの打ちかけを脱いで着せかけ「ほら、あなた様の方がずっとお似合いになる」という場面。もう名場面中の名場面だと思います。 有功といっしょに還俗し、有功の小姓として大奥勤めに入った玉栄の、「自分は仏さんに仕えていたのではない。自分が仕えるのは有功様だけや」という台詞も凄い。手を汚し、有功のライバルを死に追いやる玉栄だから言える台詞です。 この玉栄のエピソードが5巻の悪法につながり、家光が15歳で手篭めにされ相手を切り殺した事件が1巻のご内証の方のしきたりに通じ、長編ならではの仕掛けがあちこちに見えてくる2巻です。 家光の抱えた辛さに気づく有功。なんという心の深さでしょう、・・・仏性あったればこそかなあ。 ![]() ![]() スポンサーサイト
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