公共図書館にできない企画
![]() ![]() 階下からマエストロがでかい声で呼ぶ。 「青木さーん。5分後に上がってっていーいー?」 「りょうかーい」 これが家庭なら、音抜けがいいのは便利な一面かもしれない。 「あの茶色い箱、シャワー使用中はサニタリールームから出させてもらいましたが、床を拭いてまた入れておきました。あれ、紙製なんですね。大丈夫でしょうか?」 「選挙ポスター貼付け用のボードと同じ材質だから大丈夫。 ![]() 「サニタリールームのドアは底辺が床より高くなってましたね。排水の工夫ですか?」 「ふふふふ。それはね、ドラム缶風呂を入れたとき、水があふれてもいいようにしてみました~」 「もしかして、9月1日の行事というのは防災関係の行事ですか?」 「その通り。うちはね、日ごろお世話になってる町立図書館や公民館と企画がかぶらないように、公立ではやれないことをやるんです。今回は泊まり込みで、避難所生活体験です」 「そうですか。興味深いですね。あれ? でも、落語とか将棋とか、中央公民館の企画にはないんですか?」 俺はわざとホワイトボードの写真に目を向けながら言った。 |
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