尼さんはつらいよ/勝本華蓮
![]() 尼さんだってつらいけど、庶民だってつらいよ。っていうか、尼さんも庶民だったんだなとわかる本。少数の学究者と稀な信仰者を除けば、あらかたは身過ぎ世過ぎの生業として尼をしているだけという、ある意味タイトルから予想通りの内容でした。 |
川島昭恵・語りの世界
![]() ![]() 演目は、あまんきみこ作「お母さんの目」、杉みき子作「夜のくだもの屋」、安房直子作「魔法をかけられた舌」の三作品。 朗読劇なら以前に聞いた(見た?)ことがあるけれど、一人芝居も見たけれど、「語り」は初めて聞きます。 手元の点字本を繰りながらだから、暗唱とも違うようです。 ![]() 「夜のくだもの屋」では、絵が見えるというより、自分も語り部といっしょに絵を描いているような気がしました。こうなるだろう、ここにこういう色が乗るだろうなと思ったところに、その色が乗るとき、なんとほっとすることか。 「魔法をかけられた舌」は宮沢賢治の童話風で、「あり得ないことは思い描けない」私の頭ではついて行けませんでした。ファンタジーは鑑賞者を選びますね。 |
「真理が我らを自由にする」のではなかったか
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みんなの家。/光嶋裕介
![]() 著者は凱風館(モダンな武家屋敷)を設計した建築家。若い才能が所を得て開花する様は見ていて(読んでいて)楽しく、この所を得るための「縁」のつながりは、まさしく『事実は小説より奇』です。 凱風館(内田樹自邸兼道場)は「みんなの家」であるため、たくさんの人からいろんなものが寄贈されています。中でも「へぇ~」と思ったのは、出版社の枠を超えた編集者の集まり「タツルクラブ」が階段を寄贈したという話です。 一人の著述家に対してそういうクラブが出来るのってめずらしいのでは?! だって編集者同士ってライバルですよね? |
神様のカルテ 3 の違和感
![]() ![]() 読書好きな主人公は学生時代、狭い下宿に溜めこんだ千冊をこえる蔵書の置場に困り、本を畳の上に重ねてその上で寝起きしていた。人はこれをして高床式と呼んだ。そんなエピソードがあったんです。 本好きな人が、ましてや漱石を敬愛する人が、本の上に尻や足を乗せて眠れるものでしょうか。 このエピソードゆえに、私の主人公への共感は相当程度殺がれました。本の上に座ったり寝たりしないでください、イチさん・・・・。 |
HFヤング三番花開花 20121016
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不思議な羅針盤/梨木香穂
![]() 「雪と珊瑚と」の世界にもう少し浸っていたくて、翻いたエッセイ。日常の自分の感情を吐露するのではなく、心象スケッチを丁寧に書きとめるという感じの文章。
なんて丁寧な描写なのでしょう、なんだか小説を読んでいるような気がしてきます。 |
フレデリック・ショパン 他人の空似
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本の減価償却分
![]() ![]() 本件では、減価償却分を差し引いた6000円が賠償されていました。 大雨というのがどれくらい不測の事態なのかを測る基準が分かりませんが、何かあるんでしょう、1時間当たりの降雨量が100mm超だとか、雨の範囲が極々局地的で大方の人が予測できなかったとか。 私が「え?」と思ったのは『減価償却分を差し引いて』というところです。 ![]() ちなみに実習先の備品であるノートパソコンを落として壊した学生の場合にはパソコンの減価償却分を引かれていません。実験中に誤ってヘリウムガスを大気中に放出してしまった案件については1000万円以上の賠償金が給付されています。 なぜ図書館の本だけ減価償却分を差し引くのか・・・・? 古文書なら非減価償却資産と認められるようです。大学図書館の本は全部古文書と同じ扱いでいいと思います。 |
つなみ/沢正
![]() つなみの被害はなかった埼玉県で、つなみのようにおしよせる不運に、一組の夫婦が壊れて行く話。 「震災離婚」の後で読むと、うむむと唸ってしまいます。もともと妻への思いやりを失っていた夫だけれど、そのことに気づいた時はもう、妻は被災地に行ったきりになっていました。 何がほんとうに大事か、思い出すために失ったものは大きかったけれど、2人の再会と再生があるかもしれません。小説が幕を閉じた後で。 夫婦って難しい。 ここんちの夫は明らかにモラルハラスメント男でした。今後は絶対モラハラをしないと言えるか、不安が残ります。妻につらく当たったという自覚はあっても、自分が自分の『不機嫌さで妻を支配していた』と自覚しないと、残念ながら再会が再生につながるか再燃につながるかはわからないと思います。 |
フレデリック・ショパン二番花
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見えない人に語りたかった
![]() ![]() 構内を歩きながらお話しし、お二人が本日の講師とお母さまであることが判明。8号館建物の前まで迎えに出ていた主催課の人に引き継ぎました。 無事にお連れできてよかったのですが、残念なことがありました。 ![]() 見えない人に、この木の大きさ、この本数、この枝ぶりのどれから語ればいいのだろう。この葉もれ陽をどう表現したらいいのだろう、この方は過去に「欅」を見たことがおありだろうか、などという無数の疑問が音速で頭の中を飛び交い、「開学以来ずっとこの場所にある木なんですよ」と由来の説明だけしかできませんでした。 葉擦れ清き槻の巨木の枝数も高さも言はでくぐり過ぎたり ももこ |
文化会館の落語会 その2
![]() ![]() 36人抜きの小朝師匠は「越路吹雪物語」を演じました。これが構成のよく出来た話で、高倉健の口説き文句や床上手な男の見分け方やらいろんな枝葉で笑わせながら、越路吹雪の歌を知らない人にもちゃんと話を聞かせてしまいます。 ![]() らくだが長い話だったからか、文珍師匠はまったく枕なしで本題に入っていました。木りんくんは木久翁師匠のアマゾンネタ、小朝さんは木久蔵さんのハードルネタを枕に入れていました。木久蔵さんちは親子で他の噺家さんのネタになって、偉いと思いました。 母は木久蔵さんの「あの世」の話が一番面白く、次に「勘定板」が面白かったと言っています。本題より枕がいいって、お母ちゃん・・・・。 |
文化会館の落語会
![]() ![]() 林家木久蔵さんは地元をヨイショしようとしてくれたんでしょうが、本庄市はブルーベリー生産量日本一という話をしてました・・・・。 それ、違いますから。本庄市の隣の美里町がブルーベリー植栽面積日本一なんです。本庄から来た人も美里町から来た人も微妙な雰囲気で聞いていました。 ![]() 私が中学の時、先生が、前任校(秩父市)時代のエピソードとして「先生まずぶちかまして(胡坐をかいて足を楽にする)ください。半殺し(粒あんのぼたもち)と全殺し(こしあんのぼたもち)はどちらがいいですか」と言われてびっくりした、という話をしてくれました。 |
イギリス人の知恵に学ぶ「これだけはしてはいけない」夫婦のルール
![]() 『1913年に刊行され、時代を超えて読み継がれてきたロングセラーの復刻版』だそうで「妻がしてはいけない180のこと」と「夫がしてはいけない181のこと」の合本です。 今日でも「うーむ、さもありなん」と唸ってしまうような名言 や、ものすごく時代遅れで今これを言ったらモラルハラスメントだよと思うようなこと が、玉石混交で並んでいます。 時代を越えて普遍的な箴言は素直に受け入れ、現代では聞くと耳が汚れそうな反フェミニズムの世迷言は「これが言われた世の中から今日の世への道を拓いた先人」に感謝して読もうと思います。 |
震災離婚/三浦天紗子
![]() 「震災離婚」でありながら、何も特別なことではない。震災はきっかけであり、試金石ではあっても、もともとの夫婦像が「よく見えて来る」だけのことなんだな、と思いました。 震災があったがゆえの悲劇は「夫婦がいっぺんに経済基盤を失う事態」「平時にはない放射能という脅威」の2点。被曝を避けて疎開する費用問題は2点の複合系ですが。 特に「放射能にどれだけ恐怖を覚えるか、国の発表をどれだけ信用できるか」の差異が夫婦を別居や離婚に追い込んでいくのは平時にはありえないことで、大き過ぎる試金石だと思います。 震災(による原発事故と政府の対応のまずさ)によって、家族離散を経験する子どもたちの問題を、誰か掘り下げて書いてくれないだろうか・・・・。 |
家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。2
![]() 今回は妻が死んだふりをちっともしないので、タイトルに偽りあり? この夫婦、奥さんの個性をすっかり受け入れている夫という点で、理想の的かもしれません。 夫の個性を全面的に受け入れて(反面的にあきらめて?)いる妻はたくさんいるけど、こういう夫はまだ少ないので、希少価値があります。 ここんちの奥さんは基本に思いやりがあり、思いやりの表し方が超マイペースという面白い人です。 だから楽しい本です。1巻の方がもっと楽しいけど(笑) |
花盛りまでの待ち時間~ビオラ~
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クレマチス (NHK趣味の園芸・よくわかる栽培12か月)
![]() 日本放送出版協会 発売日:2001-03 1か月か2カ月に一度読みます。読んでいる時期を中心に前後の1か月を読みます。 分かっているつもりで忘れていること、やらなきゃいけないと思いつつ後送りしていたことの最終期限を確認するために。 |
咲いたマダム・ジュリア・コレボン三番花
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地元図書館の憂鬱 3
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咲きかけマダム・ジュリア・コレボン
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途中下車/北村森
![]() パニック障害で仕事を辞めた元雑誌編集長が、6歳の息子との旅を通して家族の中での居場所を築いて行くお話(ノンフィクション)。 奥さんの投資を無駄にせず、色々の気づきを経て、病気と家族遺棄から立ち直ったのだから著者も偉い。けれど著者より奥さんの方がずーっと偉い。 奥さんは金と時間の両方を夫に与えて、自分は家計と家事の責任を負って働き続けました。(しばらく休んだ後、夫は家事を始めたが)。それだけだって大変なのに、この夫のやることが「贅沢な宿に泊って息子と自分でおいしいものを食べる」という旅なんだから、寂として見守るのは、私にはとっても難しいことに思えます。 当初息子に「とうたん、じゃま」と言われていたのが、息子が登校拒否になる危機を救うところは感動したけど、妻が病気で傷みに脂汗を流していても『当たり前に側にいてくれる』夫ではなかったと過去のことを語られると、今が偉いんじゃない、やっと夫らしくなったんだと思います。 しかし、本の最後には家族みんなが幸せな様子で、苦労した奥さんと罪のない息子のために喜ばしく思いました。 |
47都道府県・こなもの食文化百科/成瀬宇平
![]() こなもの料理が大好きなので借りてきたけど、文字ばっかりでちっともおいしそうじゃないので積読のまま返却しました。 郷土料理の資料としてはいい本だと思います。 概説57ページは通読できますが、それ以降は調べもののための百科です。食文化を学ぶ人なら持ってる価値大。 |
かわいくない卓球部員
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マトカ・シェドリスカの光沢
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クレマチスの観察 20121007
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マトカ・シェドリスカの下剋上
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夢がかなう日
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翻訳不能事態 その2
![]() ![]() ブログ記事を書いているとき「参考図書」にも困りました。このままでは「参考文献」と区別がつかないでしょう。英訳は「レファレンスブック」ですが、一般的とは言えない用語です。 ![]() 司書だった時代、「レファレンス」は調査相談、は「参考図書」は事典類と言い換えていたのですが、現場を離れたら言い替え語を忘れてしまいました。今は離れた業界の、専門用語しか出て来ない皮肉。 これも寄る年波というものでしょうか。 |