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裁判官が見た光市母子殺害事件/井上 薫
2010 / 11 / 26 ( Fri ) 00:00:00
元裁判官が光市母子殺害事件について書いた本。一審から最高裁の差し戻し判決まで、判決の読み方がよくわかります。
ただし、現役の裁判官の判決文に対して「蛇足だ」「違法だ」と言っているところもあるので、裁判官も一筋縄じゃないというのがよーくわかります。「一説には」であることを承知で読みましたが、それでも、『さもあろうなあ』と思うこと大でした。

遺族である本村洋さんらの訴えが法を変え(平成19年6月の「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法の一部を改正する法律」)、裁判所を変え(相場主義の克服)たということもはっきり書いています。相場主義判例踏襲がはびこっていたことを認めたこと、永山基準は判例ですらないと喝破したことは、本書の白眉であると思います。

しかし、

冗談ですが、今後にこうした「木村基準」というか「F基準」が「中山基準」にとって代わるかもしれません

という文言は頂けません。ここで冗談を言うべきではない、この事件のために泣いている人がいる今、「冗談ですが」とわざわざ断って冗談をいうのは、不謹慎の誹りを免れないと思います。
 

もともとはしがきで 

この事件は問題点の宝庫です。

と書いているところから、違和感を感じていました。この悲惨な事件に「宝」があると表現してしまうのは文章(判決文)を書いて生きてきた人なら、不注意ではすまないことだと思います。


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