本当はちがうんだ日記 / 穂村弘著 |
2009/01/30(Fri)
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三浦しをん姐さんが解説を書いたと聞き(読み)、単行本で読んでいたけど改めて文庫にトライ。
本当はちがうんだ日記 (集英社文庫) ![]() 解説だけ読んで返却しようと思ったのに、解説が触れていた箇所を読み直そうとして、、全部読んでしまった、、、ハア。 一度読んだはずなのに結構きれいに忘れていたのね。 再読も一読目に劣らず楽しかった私は、忘れることで得した・・・・ということにしておきます。 ![]() ![]() |
わが家の母はビョーキです / 中村 ユキ著 |
2009/01/28(Wed)
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絵はかわいくもきれいでもなく、魅力的でもないです。(サイバラはかわいくもきれいでもなく魅力的)。
でも、するっと読めて分りやすく、漫画という強みはあります。 わが家の母はビョーキです ![]() 母のビョーキは統合失調症。病気をよく知らず、適切な薬を飲まなかったことで、本人もその娘も長くつらい時期を送りました。 自分で刃物を隠しておかないと、母親に刃物で殺されそうになる娘。「娘を殺せ、○○を殺せ」という幻聴から逃れられぬ母。 どちらもつらいと思うけれど、母から逃げるとか母を見捨てるとかしなかった娘は本当に悲しい。母の発症は娘の4歳のときで、娘は母に愛されることがどうしても必要でした・・・・。 そんなこんなを少ない線でたんたんと描いたところに、娘の夫が参入します。 ちょうど「統合失調症であること」がどんなことか分ってきた時期でもあり、おおらかな婿を得た一家は母のビョーキを抱えながら、みんなで幸せに暮らそうと、前向きに回転し始めます。 統合失調症の症状も薬の効き方も人それぞれであろうけれど、この本でイメージはつかめます。 身の回りに統合失調症患者がいない人が読んで、いたずらに統合失調症患者を恐れないようになればいいと思います。 ![]() ![]() |
おめでとう、ル・クレジオ |
2009/01/27(Tue)
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調書
![]() デビュー作「調書」が発表されたのは1963年。つまり私の生まれた年! それから延々と45年間小説を書いて、ノーベル賞に辿り着いたんだね・・・・。 一つの仕事を長く続けられる人は幸せと、言い切っていいかどうか分らない。 でも45年書いてきて、ノーベル文学賞という形で認められるのは確かにめでたいです。作品が多くの人の心に届いているっていうことですから。 よかったですね、ル・クレジオ。ノーベル文学賞を目指して書いてきたわけじゃないかも知れないけど、おめでとう。 ![]() ![]() |
生協の白石さん異動 |
2009/01/26(Mon)
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![]() さっき行きつけの生協でおにぎりを買ったとき、レジで 「生協の白石さん、異動になりましたね」 と声をかけると 「え?うちの人間ですか?本部の人のことですか?」 という返事でした。 ・・・・・・つまらない。 ![]() ![]() |
国語力の問題 |
2009/01/25(Sun)
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![]() 「お母ちゃん、ぼくは血や内臓を見ると気持ちが悪いから、がいかの医者にはなれないね」 といわれました。 「うーん。外科(げか)じゃなくても問題あるんじゃないかな?」 と応えました。 「げか? げかって外科(がいか)?」 医師への道は、遥か。冬の嵐が吹いている・・・・。 ![]() |
毎日かあさん / 西原理恵子著 ; 5 黒潮家族編 |
2009/01/24(Sat)
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私が好きなのはむぎちゃんズファイブ(むぎちゃんが育てている男の子ばかり5人の年子!)の話です。「一人も死なせない」がむぎ家の教育コンセプト。このコンセプトのすっきり加減が泣かせるのです。
毎日かあさん 5 黒潮家族編 ![]() そしてこれはまた別のお母さん仲間のお話。
あくまで本の中のネタであり、サイバラさんの知り合いの家の話です。 しかし、なのになんだろう、まざまざと、かつクッキリした、この既視感・・・・・。 ![]() ![]() |
「赤毛のアン」に学ぶ幸福 (しあわせ) になる方法 / 茂木健一郎 [著] |
2009/01/23(Fri)
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赤毛のアンから人生訓を読みとろうとするページはパス。幸い後ろの方の短い一章だけです。
しあわせになる方法より、著者の赤毛のアンを読む方法の方がずーっと面白いです。 「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法 (講談社文庫) ![]() 小学5年で赤毛のアンに出会い、シリーズ全作を何度も読み返す中学時代を送り(ここまでは私と同じです)、高一で原書にチャレンジ。当初はものすごく苦労したけれどアンブックス全巻を読みきる頃には英語が分かるようになっていた(もう私とは大違い)。 高校時代にはアンをテーマに懸賞論文に応募してこれを獲得、カナダでのホームステイを体験(もはや比べる気力もない)。 大学生のとき数年間バターカップスで活動し、大学院時代に始めてプリンスエドワード島に行ったけれど、アンのファンであることをカミングアウトしたのは最近(2・3年前)だといいます。 後の脳科学者は、どうしてアンにはまったのか。 それから30年もの間、アンを読み続け、登場人物を胸に住まわせ続けていたのはなぜか。 その辺が面白いです。 私自身が30年以上アンブックスを読み続け、同じ人物(特にマリラとスーザン)について、感じるところが大きく変化してきました。だから茂木さんが、年を経て何かに気づくところがとても興味深いのです。 そして、「ほう、男性はそう読むのですか」と思うところもあって、そんな部分について「自分はそうは思わない」のか「自分もそう感じていたけど気づかない振りをしていた」のか考えると、自分自身が見えてきます。 茂木さんは、アンシリーズは「赤毛のアン」大ヒットが呼び込んだ予想外のシリーズ化であって、本来書かれるべきではなかったといいます。私は「夢の家のアン」と「アンの娘リラ」が大好きなので、シリーズ化しない方がよかったとは言いかねるのですが、確かに就職後の物語が後に続くせいで、赤毛のアンの最後でアンがする選択(『自分の未来を広げるために都会の大学へ行く』ことを諦め、『小さな村で老いたマリラの世話をして暮す』)は子どもが受容した運命ではなく、大人としてアンが選び取った道なのだということを、人は忘れがち。 赤毛のアンは青春以前の少女の物語と思いがちです。 茂木さんの指摘どおり、アンは16歳になるやならずで、誰からも尊重される決断ができる大人でした。モンゴメリが祖母の世話のためにキャベンディッシュの小さな郵便局を離れず、36歳まで結婚せずに祖母のいる家を守り続けたように、アンもまた、アヴォンリーの田舎に留まってマリラをずっと保護していこうと決意していたのです。 「道を曲がったところはきっと素晴らしいところに違いない」というのは夢見がちな少女の空想ではなく、道を曲がったところで必ず花を見つけよう、あるいはそこに花を咲かせて素晴らしいところにしよう という大人の意思表明なんだと、あらためて思いました。 ![]() ![]() |
東大の教室で『赤毛のアン』を読む : 英文学を遊ぶ9章 / 山本史郎著 |
2009/01/22(Thu)
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実は私には読みこなせない部分が多々あって、「もっと英語ができたら、もっともっと面白かっただろうな」と思わされる本でした。英語は英文学への懸け橋だとあらためて思いました。
東大の教室で『赤毛のアン』を読む―英文学を遊ぶ9章 ![]() 読みこなせたとはいえないけれど、それでも大層面白かった。チョイ役であるアヴォンリー駅長さんの少ない科白から、いろいろなことが分かったり、原作のマリラと村岡マリラ(村岡花子が訳したところのマリラ・クスバート)の違いを通して、英文学の鑑賞法がわかる! かつ日本の児童文学の特色も。 原作とは違うマリラだけど、私は村岡マリラが好きです。 それは私が芥川の手巾を読む日本人だから。 日頃海外文学は翻訳で読むものと決めているネイティブジャパニーズに読んでもらいたい本です。 きっと、目から鱗がザクザク落ちますよ。 ![]() ![]() |
3月のライオン 〈2〉 Jets comics / 羽海野チカ著 |
2009/01/21(Wed)
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おお。2巻だ2巻だ(小躍り)。しかし現在出ているのは2巻まで。
読みつくすのが惜しい(歯軋り)。 3月のライオン 2 (2) (ジェッツコミックス) ![]() 桐山君がプロらしくなってきます。二海堂君も全開絶好調。桐山君憧れ(?)の名人も出てきて、こりゃ私も桐山君が名人と対戦する前に決断力 (角川oneテーマ21)と羽生―「最善手」を見つけ出す思考法 (知恵の森文庫)を読んでおかなきゃと気合が入ります。 カバージャケットで微笑んでいるのはひなたちゃん。三人姉妹のまん中です。 あかりおねいちゃんは酒場で働いており、18歳未満てことは無いでしょうし、お酒を飲むシーンが会ったことから順当に考えれば20歳は超えているはずです。ひなたは高校受験が近そうだから14歳か15歳。末っ子のモモは保育園児だから、大きくても5歳。あかりおねいちゃんとモモの歳の差は最小に見積もっても15歳。 酔いつぶされた桐山君を拾ってきて介抱し、翌朝「おみそ汁のむかい?」と笑いかけるあかりさんが20歳そこそことは考えずらく(そういえば酒場でも桐山君の先輩たちを軽くいなしていましたわ)、実際には末娘のモモちゃんとの歳の差は20歳を超えそうです。 姉妹の母と祖母が他界していることだけは分かるけど、どうして死んだのか父はどうしているのかがまだ語られていません。いつ語られるのか楽しみです。もしかして本当は、あかりおねいちゃんとモモが母と子なのでは?? ああ、お話の先が気になります・・・・・。 ![]() ![]() |
3月のライオン 〈1〉 Jets comics / 羽海野チカ著 |
2009/01/20(Tue)
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気になっていたけどまだ手にとっていなかった3月のライオン。愛読しているブログで褒められていたので即、買いました。
3月のライオン (1) (ジェッツコミックス) ![]() ちっくしょう羽海野チカ、やってくれるじゃないか。読み終わって即、聖(さとし)の青春をリクエストじゃ。 おっとっと、落ち着け。私。 美大生の群像劇『ハチミツとクローバー』を描いた後、羽海野さんが読者を引っ張っていったのは、なんと棋界です。武蔵野美術大学が描かれたように、将棋会館が描かれるのです。例の『知ることのない世界を垣間見』る楽しみで、ゾクゾクします。 羽海野漫画の常道で、本作も犬や猫がしゃべっています。猫はかなり饒舌です。 青年誌の連載のせいか、おねいさんは幼児顔で巨乳です。いい人です。 ハチクロに悪女や毒婦は存在しなかったけれど、今回は義姉の香子が、美しくて毒がある、蜂のような女になっています。 ほのぼのした友情や赤の他人の人情親切、そこに家族との愛別離苦が影を落とし、(ああ、もう、羽海野さんです)悲劇と喜劇をこき混ぜて、どんどん目を離せなくなっていく展開です。 惜しむらくは連載のペースがゆっくりなこと。現在コミックスは2冊しか出ていません。一気に読みたい人は、あと半年待ってせめて3冊揃ってから読み始めるのがいいでしょう・・・・。 監修の先崎学氏のコラムがまた秀逸です。主人公桐山零の親友として描かれる二海堂晴信のモデルが村山聖さんであり、お茶目なところと体型がそっくりだといいます。そして村山聖さんの思い出として などと書かれては、矢も盾も聖(さとし)の青春を読まねばいられません。 ![]() ![]() |
通夜 |
2009/01/19(Mon)
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文芸誤報 / 斎藤美奈子著 |
2009/01/18(Sun)
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自分が読んで「いい」と思った本を、斎藤美奈子さんがどう評するか、わくわくドキドキして読みました。結果は結構ガーンと来ましたわ・・・・。
文芸誤報 ![]() だいたい私が「いい」と思った本は子ども向きといわれてしまってます。 まあ「子どもから楽しめる」とか「良質のジュブナイル」という言い方には「大人も楽しめる」が含意されているのでしょうが、 とまで言ったら、もうこれ、褒め言葉じゃないよね。 まあいいです。人生には限りがあるんだから、同じものを読んで白ける人と感動する人がいるなら、感動した方がラッキーです。(あたしっておめでたい?) 悪口もいう人が褒めたものは本当に褒めたいから褒めてるって気がする。 今回の本で「よし、斎藤さんがそういうなら読んでみよう」と思ったのがくうねるところすむところ (文春文庫)。これが面白ければ、文芸誤報を読んだ価値が高まるってもんです。期待度「大」です。 (くうねるところすむところは建設業界のお話。業界ものって大好きなんですよ。『知ることのない世界を垣間見た』という感じが、読書冥利に尽きるので) ![]() ![]() |
証言・フルトヴェングラーかカラヤンか / 川口マーン惠美著 |
2009/01/16(Fri)
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実はフルトヴェングラーもカラヤンも、音楽を聞いて識別することが出来ません。ウィーンフィルとベルリンフィルの違いだって分かりません。それでも、この本は面白い!
証言・フルトヴェングラーかカラヤンか (新潮選書) ![]() フルトヴェングラーの死去によってベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者の地位を引き継いだのがカラヤンだったから、ベルリンフィルの古い楽団員なら、二人の指揮者を直接に知っているはず。フルトヴェングラーとカラヤンの違いがどこにあったか、インタビューするなら今だ。と、思い立った川口氏。 その判断は正しく、古老OBの話は楽しくかつ貴重なものでした。そして実際に、話を聞いてから本を書き上げるまでに亡くなった人もいたのでした。 フルトヴェングラーを知る元団員のフルトヴェングラーへの敬慕の気持ちは時を経て薄れるものではなく、インタビューされたフルトヴェングラーを知る人の誰にとっても、彼は懐かしく偉大な人物だったようです。 しかし、カラヤンの方は・・・・人によって受け止め方がばらばらです。 愛憎半ばの人、付き合い憎かったが音楽は素晴らしいという人、始めはよかったがだんだん付き合いきれなくなったという人、欠点も含めて丸ごと偉大なマエストロだと慕う人。 語る人によって全然別の印象になることの、不思議と面白さを感じます。まるでカラヤンを語ることで、語り手の個性が浮かび上がってくるようです。 多分みんな真実で、カラヤンは多面性のある人だったのだと思います。 なんだか、フルトヴェングラーやカラヤンの話ではなく、「ベルリンフィルで勤め上げるとこんな老いの日々になるよ」というサンプルを見たような気持ちにもなります。どなたもほおぉっとため息の出るような、あらまほしい行く末だと思います。 ![]() ![]() |
さようなら英語青年 |
2009/01/15(Thu)
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![]() 自分では絶対に買わないし借りないし読まない雑誌なんだけれど、無くなるとなるとなんというか、急に気圧が低くなったような、心もとない?感じです。 ![]() ![]() |
性犯罪被害にあうということ / 小林美佳著 |
2009/01/13(Tue)
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図書館勤務中最後の選書リストに載っていた本。あのときのデータソースは「これから出る本」だったかな。
若い女性が性犯罪被害者として実名と顔を出して、伝えたかったことを、私も知りたかった・・・・。 性犯罪被害にあうということ ![]() 性犯罪の被害者になったら、適切な治療(避妊を含む)と証拠保全を受けるため、被害状況はできるだけ正確に伝えること。病院にはレイプキットがあり、被害を最小限にする処置をしてくれる。 二次被害は家族によってもたらされることも多い。家族は自分ではない。 被害者の家族が傷つけあうこともときには避けられない。 性犯罪被害の自助グループや専門のカウンセリング機関のあることを、警察が教えてくれるとは限らない。自分で自分を助ける道をさがそう。 悪いのは加害者。被害者が負い目を持つことはない。 この最後の一点を曇りなく読者に伝えるために、著者は実名と自分の顔を出したのだと思います。 「加害者が悪いに決まっているのに、なぜわざわざそれをいう?」と思う人がもしいたら、この本を読んで欲しいと思います。 ![]() ![]() |
STAND : 立ち上がる選択 / 大藪順子著 |
2009/01/12(Mon)
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著者は、日本で育った牧師の娘。アメリカに留学し、カメラマンとして働き出して十年経った頃、自宅アパートで、ドアの鍵を壊して入り込んできた男に、レイプされました。
STAND―立ち上がる選択 ![]() アメリカでは成人女性の4人に1人が、何らかの性犯罪の被害者だそうです。 (そんな国が世界の警察を気取るのはちゃんちゃらオカシイ) そしてそんなに被害者がいても、被害者は外聞を憚り、怯えて暮らしています。 著者もまた、事件のフラッシュバックに苦しみ、自分が悪いことをしたわけではないのに、事件前の自分を喪ってしまいました。 理解してくれる友人や心のよりどころとなる教会の仲間とのふれあいの中で、著者は、性犯罪被害者の写真を撮るという企画を思いつきます。 ポートレイトに添えられた、被写体の名前と略歴。 その集積を見れば、踏みにじられていい人生が一つもないこと、被害者の一人一人にかけがえのない人生があることが伝わって来ます。 わからないのは、著者が獄中の加害者に許しの手紙を出すこと(その後加害者は上告します)。 『罪を憎んで人を憎まず』というのが、どうしてもわからない私です。 ![]() ![]() |
炊飯器でお菓子も、パンも、軽食も。 / 阿部剛子著 |
2009/01/11(Sun)
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実は「炊飯器で作るパンとケーキ―野菜たくさん
![]() 炊飯器でお菓子も、パンも、軽食も。 ![]() 正解でした。こっちの方が身近でポピュラーな感じです。 ただ残念ながら息子が興味を示すメニューがなかったので、実践には及びませんでした。 (息子が食べたいものを探しているのではありません。息子が作りたくなるものを探しています。だって私、料理するの大嫌いなんだもーん) ![]() ![]() |
奇跡の宅老所「井戸端げんき」物語 / 伊藤英樹著 |
2009/01/10(Sat)
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自分の父親を介護するために始めたという宅老所「井戸端げんき」。そんな始め方があるかいと思いましたが、あるんですね。必要は成功の母ともいいます。
奇跡の宅老所「井戸端げんき」物語 (介護ライブラリー) ![]() もちろん、利用者一号は著者の父親。自分の父が満足するような宅老所にしてなかったら、いわんや他の利用者にやです。(お父さんはこの宅老所が大好きで、宿泊の受入ができなかった当初は自宅から高速バスで通ってきていたとか) この宅老所の最大の特色は「共生」施設であること。年をとって介護が必要な人も、幼くて保育が必要な子どもも、障害者も、いっしょにケアしていること。いやあ、楽しそうだぞ。 お迎えのバス(ワゴン車?)にはおしるこ号という名前がついています。常連のお客さんが愛犬「おしるこ」を乗せて他の皆さんのお迎えに行くからだそうです。命名のセンスも由来も素晴らしいと思います。 ![]() ![]() |
大いに笑い、大いに歌う―東大名誉教授、デイ・サービスに通う/辻村 明【著】 |
2009/01/09(Fri)
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正月はめでたい書名の本を読む(笑)
大いに笑い、大いに歌う―東大名誉教授、デイ・サービスに通う ![]() 『日本を代表する社会心理学者として名を馳せ、要介護認定を受けた東大名誉教授が、デイ・サービスに通って唄い、そして笑う日々。』・・・・これがキャッチコピーになるということはつまり? 高学歴厚肩書というのは、ケアを受けるときハンディになるんですね。本当に教養のある人なら誰とでも話が出来るし、本当に自信のある人なら他人の美点を尊重できるでしょう。が、教養の伴わない学歴や虎の威として肩書を背負った人は、それがない人よりずっと煙たがられると思います。 著者は幸いにしてデイケアセンターにすっかり馴染んで、生活をエンジョイしているご様子。 それはとりもなおさず、著者に本物の教養と自信があったという証明です。 が、それと同時に、ケアのプロフェッショナルスタッフとよいデイ仲間、支えてくれる娘たちや義妹という家族に、『恵まれた』という幸運の思います。 将来自分がケアを必要とするときもこんな幸運に恵まれたい。 そのためには将来の幸運を祈りつつ、なけなしの教養を磨いて、居合わせた人が楽しくなるような話し手になりたいものだと思います。 学歴も肩書きも、辻村先生と私じゃスターマインと線香花火くらい違うので、先生に比べればハンディは小さいはず。(と、誇っていいかどうかは??) ![]() ![]() |
プーさんの鼻のララバイ/新井満 俵万智【著】 |
2009/01/08(Thu)
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CDブック。歌集「プーさんの鼻」の短歌に曲をつけた子守唄だというから、大人の鑑賞に堪えるものかと期待したのですが・・・・。
プーさんの鼻のララバイ ![]() 子守唄として実用には耐えるようです。万智さんちの子どもはこのCDをかけるとよく眠ると書いてありました。私はCDは一度聞けば充分です。 ブックの方は動物写真に「プーさんの鼻のララバイ」の歌詞をあわせたものが本文で、おまけに新井満×俵万智対談がついています。バンザイするパンダがちょっとかわいかったです。 ![]() ![]() |
理系の人々 : うっとうしいけど、憎めない / よしたに著 |
2009/01/07(Wed)
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これなら公共図書館にあっても、「なんで税金でこんな本を買うんだ。プンプン」とは思わないなあ。
「ぼく、オタリーマン。3」より断然面白いです。 理系の人々 -うっとうしいけど、憎めない- ![]() 例1:青く咲く紫陽花を見て「ああ、ここは酸性土壌なんだな」と思い、ピンクの紫陽花が咲いていれば「ここはアルカリ性の土だな」と見てとるのが理系の人。 例2:「彼女が最近冷たいんだ」とこぼす友人に「じゃ、分かれれば」と応じ、友人が「でも僕はまだ彼女が好きなんだ」と訴えると「なら我慢すれば」と答え、『相談相手に向かない』と断じられる理系の人。 例1のような人ならよくいるかも。理系の人は自然を観察し、文系の人は鑑賞するってことでしょうか。文系が極まると感傷しちゃいそうですが。 例2の人は、理系というよりただの唐変木(江戸の遊郭言葉で、色恋の分からない野暮の意味)ではないかと思います。 自分の回りの理系の人とかぶると言えてるなあと思うし、かぶらなければ「それはキミ、よしたに君だけなんじゃないの」とツッコミたくなるし、役には立たないけどとても楽しく読めました。 血液型で人を分類する本は大嫌いなのに、なんでこれは面白いんだろう。我ながら変だなあ。 ![]() ![]() |
めづめづ和文化研究所 京都 /小栗 左多里 ラズロ,トニー【著】 |
2009/01/06(Tue)
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わずかでも淑気のあるうちにこの本を・・・・
めづめづの「めづ」は「めでたい」の語源となった古語だそうで、現代語に直訳すると「めでためでたの和文化研究所」?? めづめづ和文化研究所 京都 ![]() 左多里とトニーが茶道や華道に挑戦。出版社が二人を超一流の先生につけてくれるから、「奥が深いものなんだな」という感じが伝わって来ます。まとめのページでは英語の説明もついてます。 弓道や香道は想定内でしたが、このお二方、寺で枯山水を描いたり、篳篥を演奏したり、投扇興で遊んだりします。一般人で枯山水に挑戦できる人が日本にいったい何人いるでしょうか?! こういう体験談を読むのは実に楽しいです。 さて、この研究所の信用を甚だしく失墜させる企画がひとつ。 それは『曲水の宴を川床で』という一章です。この企画に限って先生はおらず、素人が勝手なことをしているだけ。 曲水以外の場所で詩歌を詠んだって、そんなの曲水の宴とは呼べません。川床で詠むならそれは川床の宴です。 曲水の宴の解説もいい加減。確かに俳句は詩歌だけれど、俳句の成立は近代の正岡子規を待たにゃなりません。俳句の前身は俳諧だけどそれだって近世の文芸。十二単や水干直垂装束で詠むなら当然和歌か漢詩でしょう・・・・・。 ![]() ![]() |
日本の室礼 : 二木屋の作法/小林玖仁男著,大橋賢写真 |
2009/01/05(Mon)
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少しでも淑気のあるうちにこの本を・・・・
wikによれば「しつらい」は、
とか。 日本の室礼―二木屋の作法 (図説歳時記) ![]() 読んでみて、 室礼とは「室内舞台化」だと思いました。 脇役は季節、主役は神様。晴れ(祭)の日に、人は神様との対話を演じるので、それにふさわしい舞台づくりをすることを室礼と言うんだなと思います。 食べものはおいしそうだし綺麗だし、一年の室礼を月順に紹介しているので、お正月にこれからの一年を思って眺めるのにぴったりの本です。 ![]() ![]() |
宮殿祝賀コンサート |
2009/01/04(Sun)
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![]() 3階の舞台真横席でしたが、演者が近くてなかなか楽しい。写真の赤い敷物(緋毛氈?レッドカーペット?)の上で、バレエダンサーが踊ります。男性ダンサーがスワローテールコートで踊った曲もあって、眼福。 典雅でいながら遊び心のある楽しいコンサートでした。 息子は(私が夫にクリスマスプレゼントで貰った)野鳥観察用双眼鏡をぶんどって持ってきていましたが、双眼鏡を覗くのにはすぐ飽きてしまっていました。 倍率21倍で3階から見下ろすと、女性奏者の美しい胸の谷間がよく見えますのに。 清らかというか、ガキというか、そのどっちもなのですが、少なくとも『飽きても騒がない』程度には大人びてきたわけで、息子の成長を感じた一夕です。 (私は凝視してしまいました。多きく胸のあいたドレス、乳色の肌、柔らかな陰影を) ![]() |