美女と竹林 / 森見登美彦著
![]() ほとんど竹林の仕事をしていないのに、竹林をテーマに一冊仕上げてしまう作者の力技。
これを力技と言わずになんと言おうか? 美女と竹林 ![]() 竹林を思いながら、別の仕事をする。竹林を思いながら、別の遊びをする。竹林を思いながら、美女を望む(望むだけ)。 友人を巻き込み、ついに本業の関係者(編集者)を巻き込み、そこにあるのは妄想と現実のあわいを暴走する快感。思いに思ったうえで、行くぞ!竹林へ。 他愛ないといえば他愛ないのですが、趣味とは本来こういうものかもしれません。生産性は限りなく低いながら、夢見て夢見て楽しむ。 この趣味を理解してくれる森氏の友人の明石氏が傑物で、森氏がこの友人を主人公にした小説を書いてくれないかと、竹林に祈る今宵です。 ![]() ![]() |
ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし / 辺銀愛理文 : 垂見健吾写真
![]() ラー油に美味しいものと美味しくないものがあるなんて知りませんでした。
刺激物であって味を見るものじゃないと思ってたっていうところでしょうか。 ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし ![]() でも、世の中には美味しいラー油ってのがあるらしい。そしてそのラー油は餃子以外の料理にも使えるんだそうな。 でもでも私は基本的に辛いものが苦手。島唐辛子ならではの味なんていわれても、味わいたいと思いませんわ。 なんだかんだ言っても、石垣島にこれを食べにいきたいと思うような料理の話がいっぱい。ものを作る楽しみがいっぱい。繋がっていく人の輪がいっぱい。ラー油に興味がなくとも、楽しめる一冊です。 主にレシピが見たい人はこちら。 ただし絶版なので図書館で。ペンギンごはんとおいしい石ラー仲間 ![]() ![]() ![]() |
電光拙歌
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信じぬ者は救われる / 香山リカ, 菊池誠著
![]() 白か黒か、Yes or No、それをさっさと決めてしまえば人は楽になります。
だけどね、疑いは安易に手放しちゃいけないの。誰か自分以外の人が差し出してくれる答を、お手軽に信じていると・・・・。 信じぬ者は救われる ![]() A/B/AB/O血液型と性格にはなんの関係もないと科学的に立証されているのに、多くの人が血液型に特有の性格があると思っている。時には科学者さえ・・・・。 どんなに多くの人が正しいと信じていることでも、疑問があれば判断は保留しておく。それがインテリジェンスなのだと、二人は言います。 ガリレオ・ガリレイの例を思い出してしまいました。 それでも、地球は、回っている・・・・・・。 ![]() ![]() |
ひとりひとりすっくと立って : 谷川俊太郎 : 校歌詞集
![]() 校歌の歌詞集ですから、なにしろ分かりやすくかつ語呂がいい。
なのに深くて、ところどころ泣きそうになっちゃいました。 ひとりひとりすっくと立って―谷川俊太郎・校歌詞集 ![]()
なんてわが子に歌われたら、きっと泣くわ、私。 切磋琢磨 という常套句を使わずに、せめぎあう と詠う詩人。 「谷川俊太郎 歌の本」も読んでみようと思います。 ![]() ![]() |
盲目の俳句・短歌集 / 大森理恵, 辺見じゅん編
![]() 147p ; 19cm
注記: 付: 点字プレート(1枚), 点筆(1本) まなざし―盲目の俳句・短歌集 ![]() 触れることで見る生活からこそ歌える歌 もあれば、触れられず匂いも音もせぬものを、目で見ないでどうやって感じとったのだろうと思う句もあります。
一枝の緩(ゆる)び・・・・とは私には言えません。研ぎ澄まされた、まさに緩びのない感覚です。 ![]() ![]() |
風天(フーテン) : 渥美清のうた / 森英介著
![]() 芸名が車寅次郎、本名が渥美清だといったら、10人中何人が肯くことでしょう。
本当は役名を車寅次郎、芸名が渥美清、本名田所康雄、雅号を風天(フーテン)と発するのでした。 風天―渥美清のうた ![]()
孤独だったけど、孤独も悪くない。 寅さんから自由になった渥美清はついにありえなかったけれど、風天は自由でした。 ![]() ![]() |
「本の雑誌」炎の営業日誌 / 杉江由次著 ; 沢野ひとし装画
![]() 自分は炎のレッズサポーターであって、仕事には冷静だと前書きに書いてあったけれど・・・・
「本の雑誌」炎の営業日誌 ![]() 確かに炎のレッズサポ。<浦和のウグイスはホーホケキョとは鳴かない。ウラーワレッズと鳴く>とか言っちゃってます。同僚の結婚パーティーも、「パパ行かないで、私と遊んで」と泣いて引き止める3歳の娘も放って、埼玉スタジアムへと自転車を飛ばします。 それで営業は至って冷静かというと・・・・? 本屋大賞の舞台裏で駆け回っていたりします。 伝統ある本屋が閉店したり、熟練の書店員が転職したりするのを悲しみ、何故なのか、どうすればいいのかと考えます。 本屋大賞は書店員が「最も売りたい本」を選ぶ賞です。血液型別自己解説本は候補にもならないと思います。特定の出版社の本から選ばれるなんてこともありません。本への愛と商売人の楽しみが溢れた賞で、私は毎年候補が出揃うときから注目しています。 書店が潰れる話、ベテラン書店員が辞めていく話は私も辛い。本屋が食っていけない国に住むのは、国民として悲しいもんです。 ![]() ![]() |
どすこい出版流通 / 田中達治著
![]() 著者は、出版流通のキモは倉庫、それも生きた倉庫だといいます。
どすこい出版流通―筑摩書房「蔵前新刊どすこい」営業部通信1999‐2007 ![]() 体系的な叙述ではありませんが、生き生きしたエピソードから出版流通について面白く学べます。 病を得、志半ばで世を去った著者のために、業界の友人や後輩が随所に入れた語釈。これがみな丁寧で愛が溢れていて、田中さんの誠実な仕事ぶりがしのばれます。 ![]() ![]() |
詠まざりける
![]() ![]() 先生の返事は 短歌をありがとうございました。子どもたちがいい子で、安心して撮影が出来ました。修学旅行のDVDは私にとっても宝物です というもの。 ありがたい上にもありがたい担任のお言葉です。 でも先生、返歌は? 返歌がございませんよ? 職場の後輩(国文科出身にして教職免許持ち)にこの話をしたら、 「短歌の技術レベルの高さは問題じゃないんです。ハードルが高いんですよ」 と言われました。 かくまでも歌詠む人の少なくていよよ寂しき日の本の秋 垂れ流すごとき歌でも歌い止まぬ詩の子どこの子あヽもだえの子 (写真は皇帝ダリア。地上2-3mで咲くので、どうしても逆光になってしまいます) ![]() テーマ:和風、和物、日本の伝統 - ジャンル:趣味・実用 |
ファンレター / 折原一〔著〕
![]() 「かつて覆面作家だった北村薫氏に」という献辞のついた、オマージュ作品。
西村香という名の覆面作家が主人公です。 ファンレター ![]() 私は、これだけたくさん出版物があり、読みたい本の数に読む時間が追いついていかない今、相手が命の恩人でもない限り、素人の書いた本は読みたくないと思っています。 『ファンレター』には素人の書簡や作家ならぬ編集者のFAXという形で筋の進行がなされる話が多く、作中は素人のファンや作家ならぬ編集者の文章が頻出します。 もちろん著者の折原氏はプロ。作中の素人の文章が素人らしく書けていて、これがこそばゆいし落ち着かない。少しく苦痛を感じました。 それに、西村香氏は北村薫氏よりいささか品行不正なのではないかと思われます。 ああ、円紫師匠のたたずまいがなつかしくなってきました。 円紫さんに会うにはシリーズを再読すればいい。 淡々と謎を解くところがかっこいいです。円紫師匠。 北村薫作品を読みたくさせる点でとても有効な、『ファンレター』でした。 ![]() ![]() |
読書進化論 : 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか / 勝間和代
![]() しょっぱな、どう読めば役に立つか、読書から最大の利益が引き出せるか、みたいなことが書かれていてげんなり。
読書進化論~人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか~ (小学館101新書) (小学館101新書) ![]() 斜めに読んで返却してしまいました。 私にとって読書は、それ自体が楽しみ。利益の無い読書を避けていたら、幾多の楽しみを逃してしまいます。 面白い本を探して読む。不思議に(?)面白い本は大概有益な知識をもたらします。 これは私が、面白くなければ知識が入ってこないという仕組みの脳を持っているからかな? ![]() ![]() |
使ってみたいイキでイナセな江戸ことば / 柳亭左龍著
![]() まさしく、「使ってみたい」言葉の数々。
そして、「この言い回しの出てくる落語を聞いてみたい」という気にさせるのは、例文が生き生きしているからなんでしょう。噺家である著者の面目躍如です。 使ってみたいイキでイナセな江戸ことば ![]() 威勢のいい啖呵はいいですねえ。決まり文句であるがゆえに、「自分が怒っている」という表現にはなっても陰湿さがないです。 ①「すっとこどっこいベラボウめ。おととい来やがれってんだ」 ②「ウザイ。消えろ」 ①ならば 「なんだとこのコンコンチキ。てめえの方こそ顔を洗って出直しやがれ」 とかなんとか言い返して、二人ともぷいっと帰っちゃって、後日また出くわしたときは 「暫くだな、唐変朴」 「なんだ生きてたか与太郎」 なんて挨拶して、いっしょに馴染みの飯屋かなんか行ってしまいそうな気がします。 ②ならば 言われた人は言った人に二度と会わないように細心の努力をするか、言った人への仕返しを考え、犯罪予備軍に入ることでしょう。 イキでイナセというのは、怒りや恨みを持ち越さない表現術なんじゃないかと思います。 ![]() ![]() |
極道のすべらない話 夏原武/編
![]() 読んで何のためになるという本ではございません。
暇つぶしに適当かと存じます。 極道のすべらない話 [宝島SUGOI文庫] (宝島SUGOI文庫 A な 1-4) (宝島SUGOI文庫) ![]() 『女性を「妻」「恋人」「金づる」の3種類に分け、「金づる」に対して非常になり切れるのが極道なんだ』というのが今日の結論です。 ![]() ![]() |
ある意味、ホームレスみたいなものですが、なにか? / 藤井建司著
![]() 蒸発したお父さん。お父さんの借金の取立てに来て居座るやくざ。やくざの命令で父親の足跡を追う、引きこもりの息子。そして酒乱のお母さんにやさぐれた妹が、泊り込んだやくざにほだされて(?)いくという、破天荒な小説。
ある意味、ホームレスみたいなものですが、なにか? ![]() 家族に品格や教養は(あっても)なくてもいい。教養と品格はなくても、温かい家族は作れる。 野卑で粗暴なやくざが、無気力だった家の女たちを惹きつけ、ドロップアウト息子に勇気を与えるところが、なかなか面白かった。 夫に愛されていないことを噛みしめて暮す妻と、妻を愛せないことで自分を責める夫は別れるしかないのでしょうが、「蒸発」するのはあまりに無責任。 蒸発した夫(主人公の父)はホームレスとして暮すしかなく、今は柵を離れて晴れ晴れした顔をしていても、いずれ尋常でない老後を迎えるでしょう。 母と世間の期待に添った結果、自分に不正直に生きた男に作者の与えた結末は厳しくい・・・。 ![]() ![]() |
ホームレス作家 / 松井計著
![]() いい大人、それも(商業出版物による収入だけで生活できたという)実績ある作家が、住処と収入を失ったら・・・・・・。
これは作家が書いた実話。半年余りのホームレス生活の記録です。 ホームレス作家 ![]() 伊達や酔狂や取材でホームレスになったのではない著者は、まず路上に寝ないというルールを自分に課します。それは少しでも早く、ホームレスから脱却したいから。 そして食べ物(食品代)か清潔(風呂代やコインランドリー代)のどちらかを選ばなければならない懐具合のときは必ず清潔を選択すること。 このルールにより、著者は住処は無いながら世を捨てはしない、広義のホームレスとなり、清潔より飲食を優先する正真正銘のホームレスと一線を画します。 しかし、苦節半年。生活力のない妻と未熟な福祉担当者に翻弄され、この本の脱稿時点で著者はまだホームレスなのです。現実は本当に厳しいと思います。 その後の著者一家はどうなったか、続くホームレス失格を読んで見なければ! ![]() ![]() |
ホームレス大学生 / 田村研一著
![]() ホームレス中学生のお兄さんは大学生、お姉さんは高校生でした。この本は当時大学生だったお兄さんの手記です。
ホームレス大学生 ![]() ホームレス中学生と読み比べると、中学生と大学生ではこれだけ物事の理解度に差があるんだなあと、発達心理学の教材を見ているような気がします。 お兄さんは弟妹を守るために必死でした。 大学生は大人だけど、非常に経験値の低い大人であり、世渡りが上手いとは言えません。 なのに「俺は長男なんだから」と無理やり頑張ります。 自分の夢の追求はあきらめて、弟を応援するために確実に稼げる仕事につくことも厭いません。 弟を支える兄であることを、自ら選び取ります。 それでも・・・・。 弟に、<また生まれ変わっても兄弟になろう。ただ、今度は俺を次男にしてくれ>と言ってしまう、年若の兄である切なさ。 長男だという思いが、弟妹のみならず自分を支えていたことに、お兄さんはもう気づいているでしょうか。頼ってくれる弟妹がいたことに感謝しているお兄さんなので、分かっているかもしれません。 弟妹は早々と立派に兄の庇護下を飛び立ちました。まだ若いこのお兄さんが、これから力強く自分の道を進んで行けますように・・・・・。 ![]() ![]() |
「愛」なき国 : 介護の人材が逃げていく / NHKスペシャル取材班, 佐々木とく子著
![]() のっけから驚かされます。介護に直截携わる人たちが仕事を辞めていくと。男の介護士の結婚退職はよくあることだと・・・・。
「愛」なき国 介護の人材が逃げていく ![]() 介護士あるいはヘルパーであることを辞めないで(転職しないで)は、一家を養えないという事実がまず理不尽です。 介護という大切な仕事が賃金では評価されていない。介護者に満足な賃金が払われないような制度を持つ国は、「愛なき国」と呼ばれても仕方がありません。 次に、男の結婚退職は異常で女の結婚退職は問題にならないという事実にも傷つきます。 私が働き出しておよそ四半世紀。今でも、『女なら稼ぎが少なくても当たり前』なんですね。 介護は点数になるけれど、生活支援は点数になりづらい介護保険。 これでは買物難民が増えるばかり。徘徊老人の家族は「早く寝たきりになってくれ」と祈るしかなくなります。 老いたら健康で文化的な生活はあきらめろという国。 この国を構成している、私。 つらい・・・・。 ![]() ![]() |
買物難民 : もうひとつの高齢者問題 / 杉田聡著
![]() 今年一番身につまされた本かもしれない。
買物難民―もうひとつの高齢者問題 ![]() 近所を歩いている年寄りに片端から 「豆腐一丁が欲しいとき、どこまで買物に行っていますか。一人で行けますか」 と聞いてみたくなります。 運転免許を持たず買物に援助が必要な高齢の妻が、車の運転ができるパートナーから充分な援助が得られず苦労していることがよくあるというのは、いわれて見ればもっともです。 離婚したくてもできない(出来なかった)妻は、高齢層になるほど多い比率で存在するでしょうから。 嫁に買物を頼むのが気兼ねで、あるいは嫁の買物が気に入らず、嫁に隠れて買物に出て怪我をするおばあちゃん。 車の運転は「いつまでも」はできないから重い買物袋を下げて、狭い道を我が物顔に走る車にあおられる高齢者の姿は・・・・・明日はわが身です。 ![]() ![]() |
ユキヒの劇場
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親ばか
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レッドクリフ
![]() ![]() 敬して遠ざけていた三国志を手に取る気持ちになれたらいいな・・・・と。 戦闘シーンが苦手でなければ、面白い映画だと思います。 「一騎当千とはこのことか!」と思う将軍たちの活躍が凄い。快刀乱麻です。 白髪三千丈式の中国文学だから、実際には一騎当十くらいなのでしょうが、映画では一騎当百くらいの勢い。フィクションだからこれくらいの誇張は許されるよね?と思いました。 映画を見た翌日、三国志 第一巻 を借りてきました。 しかし、映画のpart2公開までに読めるかしら。時代劇も外国物も得意じゃないのに、7巻まであるんですよね、これ。 ![]() ![]() |
限界集落 / 梶井照陰著 = Marginal village / Syoin Kajii
![]() ぼくはものぐさバードウォッチャー (柏艪舎文芸シリーズ) を読んですぐこれを読むと、人間も弱い動物なんだなと思います。
限界集落ーMarginal Village ![]() 限界集落とは、「65歳以上人口比50%以上で共同体の機能維持が難しい」ところだそうですが、限界現象でもっとも早く目に付くのは農作物の鳥獣害だといいます。この本でも、猿や猪に荒らされた畑を嘆く老人の声が拾われていますが、老人の一人や二人では、四足の獣の前になす術もありません。 ヒトというのは群れて、老いも若きも揃って、社会を構成しないことには、あっけなく弱い生き物なのだと思いました。 誰でも皆年をとるのだから、共同体を維持する工夫をしなければ、いずれとんでもないことになります。 政治家には 山村環境社会学序説―現代山村の限界集落化と流域共同管理 を読んで欲しい。 私は 日本で最も美しい村 と 「村」が地域ブランドになる時代―個性を生かした10か村の取り組みから をリクエストだ! ![]() ![]() |
断絶
![]() ![]() 息子の解説によれば、子どもたちは帰ってきてから「修学旅行の短歌」を作ったそうです。 私たち二親も子の顰に倣うことにしました。 ビデオ見て自分が出ると逃げまどう岳志やっぱり恥ずかしがりや 芳彦 三本松戦場ヶ原の前庭に金の落葉松子等籠めて散る 桃子 てなぐあいで。 これをDVD作成のお礼と共に連絡帳に書こうとしたら、息子が必死になって止めるのです。 「変なこと書かないでくれよう・・・」 「失礼な、そんなにヘボ短歌か?」 「どんなのだってやだ。短歌なんか書くのが変なんだよっ」 そういわれて引っ込んでは日本人の名折れ。 「先生がなんとおっしゃっても『いづれかうたをよまざりける』とだけ言って帰ってくればいいの」 と諭しましたが・・・・。 息子の答えは 「バカヤロウ ![]() でした。 ![]() |
カラヤンとともに生きた日々 : エリエッテ・フォン・カラヤン回想記 / エリエッテ・フォン・カラヤン著 ; 松田暁子訳
![]() カラヤン。ヘルベルト・フォン・カラヤン。
カラヤンと生きた、30年の思い出をその妻が綴る。 カラヤンとともに生きた日々 エリエッテフォンカラヤン回想記 ![]() 実はまだカラヤンを聞いたことがない。そんな私でも読んでドキドキしましたよ。 大体、18歳で初めてカラヤンに出会ったとき『セクシー』だったって、全くフランスの娘っこは!! 結婚後、夫は音楽と『美貌』で観客を魅了したって、ぬかすわフランス女! 女性の慎みとか謙譲とか、憚りのない表現にヨーロッパを感じるなあ。 カラヤンが持っていたのは才能と富と権力。エリエッテが持っていたのは若さと美貌と芸術的センス。 カラヤンとエリエッテが結婚したのは、カラヤンが50歳の時です。(カラヤンにとっては3度目の結婚) 二人が暮らした30年を、長いというか短いというかは人それぞれでしょう。 が、カラヤン夫人に 「二人で暮らした30年に無駄な時間は1時間もなかった」 と言われては、もう、見事というしかありません。 どんな素晴らしいおしどり夫婦だって、夫婦の生活が終わった後、残った方は生きなきゃならない。 この回想記は、生まれた甲斐があり、出会った意味があり、生きた価値がある夫婦ならば、死別の後にも香気ある日々が続くという生きた事例です。 ![]() ![]() ・・・・でも、うちの夫は奇跡のカラヤンじゃありません。ただのオジヤンです。エリエッテさんの例は参考になりません。我が家の場合ただ<あなた百までわしゃ九九まで>と願うのみです。 (彼には禿げになる兆しが表れており、残念ながら<共白髪>は望めません。夫婦の長生きが叶うなら、方白髪方禿頭になることでしょう) |
ぼくはものぐさバードウォッチャー / サイモン・バーンズ著 ; 鳥見真生訳.
![]() どこに出かけずとも居ながらにして私たちは鳥を見ることができる・・・・と多くの人が知っています。理屈的には。
ぼくはものぐさバードウォッチャー (柏艪舎文芸シリーズ) ![]() 著者は理屈でなく経験から、いながらバードウォッチングの極意を語ります。 日本にもこういう人がいて、こんな案内書(ただしカラー挿絵つき)を書いてくれたらいいのに。 と思いましたね。 それと、バードウォッチングにバードリスニングが加われば楽しさ倍増とか。 私は人の顔が覚えられないくせに、「この声はあの人」というのが比較的覚えやすいので、鳥の声が覚えられたらどんなにいいだろうと思います。 今夜は「鳥のなき声ずかん (みるずかん・かんじるずかん―金の本)」のリクエストカードを書いて、おやすみなさい。 ![]() ![]() |
修学旅行「歌のしおり」
![]() ![]() 流行歌(Jポップっていうの?)が多いけれど、校歌とか懐メロ(「帰ってきたウルトラマン」は懐メロじゃないか??)や唱歌(「里の秋」とか「ふるさと」とか)に童謡(「ぞうさん」など)までも入っていて、なかなかバラエティに富んでいます。 息子に 「よくこんなにいろいろ集まったね。6年生で『ぞうさん』を好きな子もいるんだねえ」 というと 「『ぞうさん』はA君の好きな歌じゃない。歌詞を書くのが楽な歌だよ」 と解説されました。 要領のいい子もいたもんだ。 息子は「ROOKIES」主題歌の『キセキ』を選んでおり、極端に字の多いページを作っていました。 要領が悪くても、根性があれば生きていける・・・・・。 好きなものを好きと言い通すには時に根性が要るという、修学旅行の準備学習だったのでした(?) ![]() |
女性俳句の光と影 : 明治から平成まで / 宇多喜代子著
![]() 「優れた俳句を残したまま逝った人たちの句に光を当てて」編まれた本。なので、これまで知らなかった佳句に出会えて幸せです。
女性俳句の光と影―明治から平成まで (NHK俳句) ![]() 古い「ホトトギス」に「おまいり」という題の句会報が残っているそうです。社寺への参詣であればおおっぴらに家を後にできたけれど、句会といって家を出ることが出来なかった女たちがさまざまな困難の中で作った俳句たち。 出来上がった作品に作成の過程の苦労は関係ない。偶然得られた良句も、苦吟の果ての秀句も、それだけ読めば単に良句であり、秀句です。でも、女たちが侮られながら不自由の中で作り続けた俳句を愛しく読むのは、私の「自由」。 時間にも心にも自由のある時代に俳句が読めて、私は幸せです。 ![]() ![]() |
テルちゃん / 玄侑宗久著
![]() テルちゃんの本当の名前はエテル。フィリピンから来たお嫁さん。
テルちゃん ![]() 日本昔話に出てきそうなテルちゃんのキャラクター。 夫を亡くしたテルちゃんが義母に行う介護ぶりに、皆は心から感謝しているが、テルちゃん自身の新しい幸せを巡って、皆の心が揺れる・・・・。 テルちゃんが幸せになれますようにと折らずにいられない、この感じが御伽噺に似ています。 ![]() ![]() |
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