BLEACH(ジャンプ・コミックス ) 34 / 久保帯人著 |
2008/07/31(Thu)
|
瀕死の人間がベラベラしゃべるのはブリーチのお約束。
今回は雨竜君がお約束を果たして笑わせてくれます。 BLEACH 34 (34) (ジャンプコミックス) ![]() 隊長格が三人も虚空宮にやってくると、それも朽木白哉が出てくると、傲岸ハッタリ対決が白熱! ああ、この天上天下唯我独尊、誰が真似できるでしょう。 お見事です。 ![]() ![]() スポンサーサイト
|
わらふ樹 / 高村典子著 |
2008/07/30(Wed)
|
失語症以前と発病、闘病後の歌が集められています。
わらふ樹―高村典子歌集 ![]()
と、事象を、愛憎を、歌に残して来た人が、クモ膜下出血による失語症で、突き上げる感情も湧き上がる感傷も表現できなくなったのは、どんなにつらかったろうと思います。 言葉は最後に残る財産。空間を耕す鍬。生活の母胎です。 ![]() ![]() |
異空間の俳句たち : 死刑囚いのちの三行詩 / 異空間の俳句たち編集委員会編 |
2008/07/28(Mon)
|
という句が、この集―死刑囚いのちの三行詩―を編むきっかけになったそうです。 異空間の俳句たち―死刑囚いのちの三行詩 ![]() 冒頭の句の作者西武雄さんは冤罪であると主張したまま処刑され、現在も遺族や支援者が再審を求めて戦っています。名前の後ろのカッコ内は処刑時の年齢です。
だめだわ、際限なく写したい句が出てきて。最後にもう一句だけ。
![]() ![]() |
枯紫陽花 |
2008/07/26(Sat)
|
|
月とメロン /丸谷才一著 |
2008/07/25(Fri)
|
命がけの読書指導という話が凄かったですね。
天皇の前で、牧野伸顕が参謀本部の青年将校に「あなたは小説を読みますか」と聞いた。 青年将校は天皇の前で侮辱されたような気がして腹を立て、早速仲間に報告した。 これを見た青年将校は悲憤慷慨。 このせいかあらずか、牧野伸顕は二・二六事件の際湯河原で襲われ、命からがら(?)の憂き目に遭ったのだとか。 命がけで本を守る司書の話(「バスラの図書館員―イラクで本当にあった話 」など)は読んだことがあるけど、命がけで読書指導をした司書の話はまだ知らない。 100年前にはエライ政治家がいたんだなあ・・・・・。 月とメロン ![]() ![]() ![]() |
流行 |
2008/07/24(Thu)
|
|
かんたんおもしろ花写真:楽しい撮影のヒント /丸林正則 |
2008/07/22(Tue)
|
なにか参考になることがあるかなーと思って紐解いたけど、レベルが高くて全然ダメでした。
かんたんおもしろ花写真―楽しい撮影のヒント ![]() 実用には向きませんでしたが、この写真がどうしてこの写真になったかというクイズ集のようなものとしてとても面白かったです。 たとえば表紙カバー写真は、雪中の椿ではなく冷凍庫で水ごと氷らせた椿。 チューリップの花びらから垂れるつららは、水ではなく接着剤でできていてびっくり、とか。 こうした「演出」は無理だけど、これなら私にも出来ると思ったことが一つだけありました。 それは絵筆の使用。 著者は水彩画用の絵筆を太さ違いで何本か持ち歩き、これぞと思った花に汚れがあったとき、これで取り除くのだそうです。花粉や蜘蛛の巣や小さな虫がついていても、花を傷めずに掃くことができる優れもの。目から鱗のアイテムでした。 ![]() ![]() |
こんなツレでゴメンナサイ。 / 望月昭著 ; 細川貂々画. -- 文藝春秋, 2008 |
2008/07/21(Mon)
|
著者はおなじみのツレ。細川貂々さんの夫君です。
今回はいつもと反対に夫唱婦随の作りなので、コミックエッセイではなく文章によるエッセイです。そしてもちろんイラスト(挿絵)ふんだん。 こんなツレでゴメンナサイ。 ![]() 自分が正業を持っていない状態で大黒柱がうつ病になったとして、「仕事をしていたら治らないから辞めちゃいなよ」と、普通言える? 何はともあれ辞めちゃいなよ。まず病気を治すことと。 妻の貂々さんは、夫がうつ病にならなければまんがの営業(売り込み)をしなかっただろうし、出世作「ツレがうつになりまして。」も生まれなかったことでしょう。まさしく、禍福はあざなえる縄です。 家族の病気がすべて転機になるとは限らないけれど、転機になりえると伝わればいい。 嵐もいつか過ぎると、感じられればいい。 そんな「気」の入った本でした。 ![]() ![]() |
乳房、花なり。 /宮田美乃里【著】荒木経惟【写真】 |
2008/07/20(Sun)
|
造本が脆いので取り扱い注意、の写真集。宮田美乃里さんがモデルの写真と宮田さんの短歌で出来ています。
乳房、花なり。 ![]() 残念ながら、「すべての女性が花なのです」という宮原さんのメッセージはあんまりピンと来ません。 手術跡を曝しながら「それでも私こそが花なのです」と、連呼しているように感じる宮原さんの写真と歌でした。 ![]() ![]() |
私の居場所はどこにあるの? : 少女マンガが映す心のかたち / 藤本由香里著 |
2008/07/20(Sun)
|
30年間少女マンガを読み続けてきたという著者。う・・・うらやましい。
30年の少女マンガ作品を振り返りつつ、どのように読者が誘導されてきたか、解き明かします。 家族について性について仕事について、時時の少女マンガ読みたちが何を刷り込まれてきたか、です。 私の居場所はどこにあるの?―少女マンガが映す心のかたち ![]() 取り上げられた作品の四割くらいが自分も読んできたコミックであり、残りの三割が読みたいなと思うコミック、三割が「ふうんそうでしたか」と思って終わるコミックでした。 しかしどうして、双子のカテゴリーでも女装のカテゴリーでも他のどこにも「七つの黄金郷」が取り上げられなかったのかしら?? 時代物(ベルばらやヴァレンティーノシリーズ)も未完の作品(喝采)も土俵に乗せていたのになあ。もちろん「エースをねらえ!」もどこかで言及していたのに。 これだけたくさんの作品を取り上げて分析や解析をしていれば、誰だって(著者を含む)割愛された何かを惜しむことになるでしょう、と思いつつなお惜しいと思います。 自分にとって「七つの黄金郷」は一番よく科白(ネーム)を暗記している作品です。これだけ憶えているっていうことは、この作品には「何か」があるに違いないと思うのです。 この「何か」が何であるか、説いてくれる続編は出ないものかな。出ないかなー。 ![]() ![]() |
「ニッポン社会」入門 : 英国人記者の抱腹レポート / コリン・ジョイス著 |
2008/07/19(Sat)
|
日本に暮すイギリス人記者が、本国の新聞に日本の紹介やニュースを送りながら見、聞き、考えた、面白いことと悩ましいこと。
「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書) ![]() 本国へ送った記事が手直し(?)されたり書き換えられたりする話は、なかなか、なんというか、なかなかです。政治家はこういう本を読んで外交に生かしてほしいわ。 海外から日本に送り込まれる記事にも同じ傾向があるかも知れず、日本の読者として注意したいと思いました。 さて。 この本で私が一番違和感があったのは、「ジョーク:イギリス人をからかおう」の項。 笑えないよ、こんな嫌がらせ・・・・と思うことが多かったです。 相手を煙にまくのはいいけれど、損益を与えちゃいけないと思いますわ。 イギリス人は大人だから、判断は自分でし、責任は自分で負う。友人にかつがれても、それは自分の判断ミス。かつがれた人がイギリス人なら「やられた」と笑うのでしょう。でも私はかつがれて戸惑う人を笑えないし、かつがれても笑えない。 私のような日本人がいることに気づいているのか、著者は「イギリス人を」からかおうと言っています。 からかい返されると嫌だから、やっぱり私は遠慮します。 ![]() ![]() |
かいかい日記 : 「乾癬」と「無言館」と「私」 / 窪島誠一郎著 |
2008/07/17(Thu)
|
乾癬(カンセン)についてみんなに知ってほしかったという一念で書かれた本。
乾癬についても、無言館館主が作家水上勉さんの実子だということも、私はこの本で初めて知りました。 かいかい日記―「乾癬」と「無言館」と「私」 ![]() かんせんは大変な病気。命に別状はないけれどクオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の低下は著しいものがあります。 いかに生活に苦難を強いられても、命を落とす人がいないと、世間に認知されずらい。だれか一人でもこの病気で死んでくれたら、治療薬の研究ももっと進むだろうに・・・・、とまで書かれているのを目にしたとき、患者は本当に追いつめられていると感じました。 足指の股を蚊に刺されたときのあの痒さ。上手く掻けないもどかしさ。 花粉症のときの目の痒さ。掻くに掻けないあの辛さ。 治りかけの傷の痒さ。瘡蓋の回りを掻くときのあの気持ち。 などを思い出します。 規模と程度がこの何倍何十倍であるとしたら、果たして自分は痒み以外のことを考えることが出来るかしら。 「痒い」ということに気をとられているうちに、大事なものが指の間をすり抜けるのは辛すぎる・・・・。 その上外見の美観清潔感を著しく損なう症状であることも気持ちを暗くします。 乾癬を抱えながら、悩みながら、無言館を立ち上げ、脅迫を受けながら館を維持し、病とも付き合い続ける窪島さんの日常は、過酷で、でも希望にもなる物語。 乾癬(カンセン)についてみんなに知ってほしという著者の意は、充分に通じるものと思います。 ![]() ![]() |
山小屋ごはん : あったかいごはんできてます / 松本理恵 [著] |
2008/07/16(Wed)
|
なぜこれがおいしそうに見えるんだろう?
そこらへんにありふれていそうなものが、なぜこんなにもおいしそうなんだろう? 山小屋ごはん ![]() 山小屋料理の特徴は、ありもので作る、器にかまわない、周囲の景色がいいってことかしら。 つまり基本はハイジのパンとチーズ? 素材プラス山の空気だけで充分美味しくなるところに、「これだけは」という一点豪華主義がぴかりと光るんですな(多分)。ジャケット写真で言うならトースト。 これは3センチの厚さのパンをストーブでこんがり焼いてバターをぐいぐい塗ったもの。 山の空気は写真に写らないのに、写真で見ても料理がおいしそうと思えるのは、普段見つけていないシンプルさ素朴さを感じるからからなのかなと思います。 ちなみに私が一番「おいしそう」と思ったのは、明らかにケーキ皿でない皿(多分コーヒーカップのソーサー)に無理やり二切れ乗せてあるベイクドチーズケーキ(ちょっと焦げ色)。傍にあるのはソーサー無しのコーヒーカップが2つだけ。もちろんカップの中身はブラックコーヒー。スプーンやらミルクやらといった小物もなし。 暇があるときしか作らないケーキ。最近はめったに作れないとかなんとかキャプションがついているのも現実的。 やっぱり、「おいしそう」の秘密は、そこでしか食べられない、今しか食べられないという一期一会の感じかしら。 少なくとも(下界にあっては特に豪華とは思えない料理の数々を集めて)「山小屋ごはん」という一冊の本が出来てしまう理由は、そこでしか食べられないものへの憧れだろうと思います。 ![]() ![]() |
被取締役新入社員 / 安藤祐介著 |
2008/07/16(Wed)
|
タイトルは<トリシマラレヤク シンニュウ シャイン>と読みます。主人公はダメダメ社員で本俸は20万円。なのに年俸は3240万円。それはなぜ?
彼は被取締役。役員手当てが年間で3000万円もついてしまうのです。 被取締役新入社員 ![]() 読み始めてすぐ「お。これってテレビドラマ向き?」と思いましたが、それもそのはず。第1回ドラマ原作大賞受賞作なのでした。 でも、読み終わってみれば、これはやっぱり小説で読んだ方がいい。人が詰られたり殴られたり弄られたりするところは、わざわざ映像で見たくないです。一人いじめられっ子が彼の本務であり、直截の上司や同僚の顰蹙を買えば買うほど、社長と人事部長からの評価が上がっていくのだと知っていても、誰かが苛められるのをリアルに見て楽しくはなれません。 小説ではコピーの裏表を間違えて白紙を100枚コピーしても、シュレッダーにネクタイを引き込まれても、怒った上司に辞めろと脅しをかけられても、主人公は心の中で、「よし、うまくいったぞ」とガッツポーズしそうなのがよく分かります。 こんなに覇気のない仕事ぶりで、身分は安泰の高給取りなんて、ちょっと羨ましいかも? 無論、世の中はそんなに甘くなく、被取締役ハケグチ君は被取締役として成績を上げる努力をするのが嫌になってきます。 プロジェクトが成功すれば身近な人に褒められ喜ばれ、社長には叱責される。ダブルスタンダードを生きるのは、けっこう難しい。 笑いながら、「笑ってる場合か?ここ」と考えさせられることの多いドラマ(ノベル)でした。 ![]() ![]() |
笑える小説 |
2008/07/14(Mon)
|
元司書2人現役司書1人の小さな飲み会で「笑える小説を紹介してくれって言われたらどうする?」という話題が出ました。
自分では、『「笑う」ことを目的に小説を読む』ことがありませんが、たしかにありがちな質問かなと思います。 家に帰ってついつい調べてしまうのは長年の習慣という奴でしょう。そして私が選んだ「笑える小説」は以下のとおり。 (シリーズ物は最初の一冊をあげてあります) さあ、爆笑小説コーナーの始まり始まり ![]() イン・ザ・プール 奥田 英朗/ 出版:文芸春秋/ 発行年月:2002.5/ 税込価格:\1,300 (本体:\1,238) 新装版 69 Sixty nine 村上龍 /集英社 2004/04出版 141p 21cm ISBN:9784087813098 \999(税込) 国語入試問題必勝法 (講談社文庫) 清水義範 /講談社 1990/10出版 250p 15cmX11cm ISBN:9784061847743 \470(税込) 怪笑小説 東野 圭吾/ 出版:集英社/ 発行年月:1995.10/ 税込価格:\1,631 (本体:\1,553) プリズンホテル 浅田次郎 /徳間書店 1993/02出版 274p 20cm ISBN:9784191250833 \1,470(税込) どすこい(安) 京極夏彦 /集英社 2002/07出版 510p 18cm ISBN:9784087745979 \1,155(税込) ドミノ (文芸シリーズ) 恩田 陸/ 出版:角川書店/ 発行年月:2001.7/ 税込価格:\1,470 (本体:\1,400) オロロ畑でつかまえて 荻原 浩/ 出版:集英社/ 発行年月:1998.1/ 税込価格:\1,470 (本体:\1,400) 日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫) 筒井康隆 /角川書店(角川グル-プパブリッ) 2006/06出版 363p 15cm ISBN:9784041305225 \579(税込) しゃべくり探偵―ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの冒険 (創元推理文庫) 黒崎緑 /東京創元社 1997/01出版 344p 15cm ISBN:9784488418014 \672(税込) 超老伝―カポエラをする人 中島らも /角川書店(角川グル-プパブリッ) 1993/03出版 248p 15cm ISBN:9784041863015 \483(税込) <もっと読みたくなった人、絶版なら古書を探すか図書館にリクエストしようという執念のある人に> ●蕎麦ときしめん(講談社文庫 ) 清水義範 /講談社 1989/10出版 227p 15cmX11cm ISBN:9784061845428 \470(税込) ●きんぴか 浅田次郎 /光文社 1996/02出版 554p 20cm ISBN:9784334922597 \2,039(税込) ●名探偵の掟(講談社文庫 ) 東野圭吾 /講談社 1999/07出版 348p 15cm ISBN:9784062646185 \619(税込) ●「東京都大学の人びと(新潮文庫 ) 谷俊彦 /新潮社 1996/08出版 279p 15cm ISBN:9784101492117 \448(税込) ●にいちゃん、ぼく反省しきれません。(青春と文学 ) 柚木真理 /ポプラ社 1998/05出版 191p 20cm ISBN:9784591055830 \1,260(税込) ●モッキンポット師の後始末(講談社文庫 ) 井上ひさし /講談社 1986/07出版 278p 15cm ISBN:9784061312586 \519(税込) ● 船乗りクプクプの冒険(新潮文庫 ) (改版) 北杜夫 /新潮社 1992/12出版 225p 16cm ISBN:9784101131054 \420(税込) ● ユ-モア小説集(講談社文庫 ) 遠藤周作 /講談社 1982/07出版 281p 15cm ISBN:9784061311695 \539(税込) ●自讃ユーモア短篇集 上 佐藤 愛子/ 出版:集英社/ 発行年月:1993.10/税込価格:\1,937 (本体:\1,845) ●江戸の爆笑力(集英社文庫 ) 時代小説傑作選 細谷正充 /集英社 2004/12出版 455p 16cm ISBN:9784087477696 \800(税込) ●鰐 ドストエフスキー ユーモア小説集 (講談社文芸文庫 トA 1) ドストエフスキー、工藤 精一郎、 原 卓也 (文庫 - 2007/11/9) ¥ 1,470 (税込) ●ボ-トの三人男(中公文庫 ) ジェロ-ム・クラプカ・ジェロ-ム/丸谷才一 /中央公論新社 1992/06出版 286p 16cm ISBN:9784122003514 \680(税込) ![]() |
わたしの母さん / 菊地澄子作 |
2008/07/13(Sun)
|
高子の両親は知的障害者。高子はそれを知らずに育ちますが、4年生になったとき、母さんは4歳の弟を背負い、2本のおさげに赤いリボンをつけて授業参観にやってきます。
わたしの母さん ![]() その上母さんは黒板に書かれた割り算を引き算と誤解して「先生、それ、まちがってます」と声をあげるのでした。 自分の母が、明らかに他の母親たちと違っていて、割り算の記号も知らないと気づいたときの、高子の胸の痛み。かわいそうになあと思います。 どの子もいつかは親の能力の限界を知ります。親にも限界があることを知るのが教育の一里塚だといえるかもしれません。知的能力の限界も経済的な限界も健康上の限界もあるのだから、高子だけが特別ではないんだと私は思いますが、4年生の高子の胸の痛みを減ずることは出来ないでしょう。 しかし、高子は自分で大事なものを探し出します。知的限界があっても、その限界を超えて大事なものを。 巻頭に掲げられていた「母さん、私の母さんで ありがとう」と結ばれる詩が、親の限界を知ったすべての子どもに、いつかは共感されるならいいなあ。 ![]() ![]() |
心臓に毛が生えている理由(わけ) / 米原万里著 |
2008/07/13(Sun)
|
亡き米原万里さんの新刊エッセイ集。もう万里さんはいないのだから、新刊が出るということは、誰かが万里さんに代わって編集作業をしているということ。
どなたか分からないその人に、感謝を捧げます。こうしてまた万里さんのエッセイを読めて、幸せです。 心臓に毛が生えている理由 ![]() 闘病中に書いた記事もあるのでしょうが、病気の影は全く見せていません。 両親の思い出を書いたエッセイにはジンと来ます。いくつになっても親は親。むしろ自分が年をとってからのほうが、若かった頃の親の姿が見えて懐かしくなるものなのでしょうか。 そして少女時代の思い出。
なんて書いてあるのを読むと、ああ万里さんて大好き!と思います。 ![]() ![]() |
朝から大トロ |
2008/07/12(Sat)
|
|
お気に入りをとじる : やさしい製本入門 / 藤井敬子講師 ; 日本放送出版協会編. |
2008/07/12(Sat)
|
だれでもできる!とまではいわないけれど、ちょっと器用な子なら、小学校高学年からイケル。
大きい子なら子ども自身が、小さい子なら親が、夏休みの思い出を製本しませんか? お気に入りをとじる―やさしい製本入門 (NHK趣味悠々) ![]() 夏休みに限りませんが、広告の裏に子どもの描いた絵とか、工作とか、捨てるには惜しいけれどいつまでもとっておけないものってありますよね。光る泥団子など、もともと現物をとっておくのが難しいものもあるでしょう。 和綴じ製本の技術があれば、絵も習字も、工作を撮った写真も、1年ごとに製本してとって置けます。 (別に技術がなくたって、穴を開けてバインダーに綴じておけばいいんだけど)少しだけ手をかけて、我が家オリジナルの本を作るのも、いいんじゃないかなと思います。 ![]() ![]() |
賃貸宇宙 = Universe for rent / 都築響一写真・文 |
2008/07/11(Fri)
|
単行書を借りたらものすごく重い!流石は9,500円。
単行書を電車内で片手で支えて読むのは至難の技です。ちくま文庫の上・下刊ものを借りればよかったです。 賃貸宇宙―UNIVERSE for RENT ![]() なんで英文対訳がついているのかは謎だし、その住居の住人がヌードで写っているのも不思議(着衣の住人が写っている写真もいっぱいあります)だし、文字が小さくてつらいから写真だけ見ているのだけど、面白い! こんなにいろいろの住み方があったか。こんなにあるのに、自分が「いいなあ」と思うような住み方は滅多にないという不思議。 あんまり考えてこなかったけど、自分にも住まうポリシーがあったということなの? 写真家が面白いと思い、不特定多数への自室の公開を認める家主(賃貸者)が住んでいる部屋なんだから、奇天烈で当前か?? どうぞ皆さんの目でお確かめください。 ![]() ![]() |
つばさもあらん |
2008/07/10(Thu)
|
|
Asakusa style : 浅草ホームレスたちの不思議な居住空間 / 曽木幹太撮影・文 |
2008/07/10(Thu)
|
ホームレスの居住空間とはホームレスの塒(ねぐら)のことだと思っていました。そして塒と寝床が同義語になるのがホームレスの要件だと。
ASAKUSA STYLE 浅草ホームレスたちの不思議な居住空間 ![]() しかし、この本を見ていると、とんでもない。ここにあるのは「解体と組み立てが1日で出来る」家です。ホームレスという呼び名は表現矛盾を起こしています。 不動産でなく動産だけど、ホームだと思える居住空間の数々。浅草に『住まいする』というのがぴったりの家々。 写真を眺めている間、住むということの意味を考えさせられました。 住まいに本当に必要なもの何なのかと。 ![]() ![]() |
奇縁まんだら / 瀬戸内寂聴著 |
2008/07/09(Wed)
|
章見出しの裏に、その章の主題になる人の略歴と墓の写真が載っているところが凄い。特に岡本太郎の墓石はディープインパクト。
奇縁まんだら ![]() どの人の思い出も生き生きと書かれているけれど、松本清張、今東光と組んで講演旅行に出る経緯が可笑しい。
なんて件(くだり)には笑わせてもらいました。 いやあ、晴美も猿ものひっかくものです。 ![]() ![]() |
きみの遠い故郷へ / ウィル・ノ-ス著 |
2008/07/08(Tue)
|
これは、イギリス版マディソン郡の橋ですね!
牧場があり、橋の代わりに山があり、すれ違いの代わりに再会があるけれど。 きみの遠い故郷へ ![]() 男50歳、女43歳で始まる恋。ヒーローは人命救助から夕食作りから恋人に捧げる詩を書くことまでやってのけ、長身にユーモアを備え、自己犠牲を厭わないというスーパーヒーロー。 女が50歳になった日にハッピーエンドが訪れる恋というのは、一部の人に勇気を与えるかもしれません。しかし、女の夫は病気で人格が破綻しており、その夫が死んでやっと訪れる大団円なのです。 つまり、病気の夫が死ななければ訪れなかったハッピーエンド。ヒーローはひとえに恋人の夫の死を待っていた。それがマディソン郡にはなかった苦味です。 ![]() ![]() |
宮廷文学のひそかな楽しみ / 岩佐美代子著 |
2008/07/07(Mon)
|
中世女流日記研究者の著者が枕草子(中古女流文学)に表れた「はいぶし」の謎を解く様は、大変あざやか。専門性よりたしかな目?
宮廷文学のひそかな楽しみ (文春新書) ![]() 研究者って探偵みたい。見事読み解けたらお立会いって感じで。 当時の習俗当時の信仰を知って読んでみれば、平安朝の女房たちが生き生きと動き出します。 著者の先達があれば、特に古典の素養がなくても楽しく読める本。国文科を目指す高校生に絶対お薦めの一冊。 ![]() ![]() |
語りだすオブジェ ; いつも、そこに短歌 / 松村由利子著 |
2008/07/06(Sun)
|
著者が「洗濯機」に関する歌、「パンプス」に関する歌という具合に歌を集めてくれたので、楽しい題詠集を読むように読めます。
語りだすオブジェ―いつも、そこに短歌 ![]() /本阿弥書店 2008/06出版 私が好きだったのは「蜂蜜」のお題。
アンデルセンの『絵のない絵本』の中の「第三十三夜」のエピソードを紹介したあと、著者は続けます。
私がバターと蜂蜜をたっぷり塗ろうとするときの逡巡は、まさにもったいないという気持ちです。 バターと蜂蜜が、またはそれを買うお金がもったいないのではなく、安易に幸せを享受することがもったいない。幸せを無造作に享受してはもったいない・・・・・・。 無造作を戒めつつ慎重にバターを塗り、慎重に蜂蜜を垂らす。 (蜂蜜の垂れる速度がゆっくりなほど、幸せを感じる時間が長くなる?) 些事のなかにある幸せを、ただの些事におとしめないために、「つつましさ」が働くのだと思います。 他に「バナナ」を使ってこんな恐ろしい歌が作れるのか印象深かったのが という歌です。 バナナをもらったチンパンジーも、戦闘開始を告げるキャスターも、火事場見物に急ぐ市民も、きっと同じうれしさを感じている。ああ、イタイ。 ![]() |