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大いなる看取り : 山谷のホスピスで生きる人びと / 中村智志著
2008/06/30(Mon)
肉親との縁が薄い山谷の人たちのために、「きぼうのいえ」というホスピスの果たす役わりは大きい。
途方もなく。

大いなる看取り―山谷のホスピスで生きる人びと
. -- 新潮社,2008.3

路上生活者に生活保護を与えるだけでは、ホームレス問題が孤独な高齢者問題にすり替わるだけだと著者はいいます。
ええ、たしかに、福祉の世話になれない(なりたくないを含む)から路上生活を選んでいた人が、健康を害した(老化した)というだけで、簡単に「路上生活に至った理由」を解消できるとは限りません。

刑務所にいる息子に会うため、差し入れの手料理を背負って面会に来た90歳を越えた母の話。
癌になった内妻をホスピスに入れるために、内妻と別れざるを得なかった男の話。
731部隊にいた経験を、自分が90歳を越えてからようやく語りだした男の話。
みなみな、深い深い物語で、一冊を読み終えたときの気持ちは、潜水を終えた海女に似ているかもしれません。
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種子たちの知恵―身近な植物に発見!/多田多恵子著
2008/06/29(Sun)
自然の造形というのはホンに面白いもので、次から次へと繰り出される写真を、次から次へとことごとく眺め入ってしまうのでした。

種子たちの知恵―身近な植物に発見!
日本放送出版協会 2008/05出版

一番感心したのは、ブラシの木の知恵と根性です。

思えば私がクレマチスにはまったのは、近所の家で見たクレマチスの果球がきっかけでした。なんとキュートな球体だったことか。どうしてカタログに花と果球をセットで載せないのだろうといぶかしんだくらいです。
果球の本が出るまで、こんな本も覗いて待つことにしますか。

『話の種』になる種子(タネ)の話―植物に出会えてよかっタネ


花ごよみ種ごよみ―「あの花にこんな実がなるの?」







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音楽
2008/06/29(Sun)
2008=06=07リュウキンカ

Bach gave us God's word
Mozart gave us God's laughter
Beethoven gave us God's fire
GOD GAVE US MUSIC, SO THAT WE CAN PRAY WITHOUT WORDS

バッハは私たちに神の言葉を与えた
モーツァルトは私たちに神の笑いを与えた
ベートーヴェンは私たちに神の熱情を与えた
言葉がなくても祈れるように、神は私たちに音楽を与えてくださった



作者不詳の短文。 大いなる看取り―山谷のホスピスで生きる人びとより引用




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ザ・マジックアワー
2008/06/28(Sat)
面白かったけど、公開前に見たワイドショーでのインタビューの方がもっと面白かった。
三谷幸喜さんのキャラに勝る面白い登場人物なんて、そうそういませんね。

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美容院
2008/06/28(Sat)
2008=06=07ドクダミ髪を切ったら頭が軽くなりました。スカッとします。
脳みそも減ったのかな?
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早く家へ帰りたい / 高階杞一著
2008/06/27(Fri)
早く家(うち)へ帰りたい
. -- 偕成社, 1995

まだ小さくて
ゆうすけはダメがうまく言えない
どうしてもマメと聞こえてしまう
それをどこかのコマーシャルソングみたいに
マメ マメ マーメ
とからかうと
それにも
マーメ
と口をとがらせて怒る



うちの子もそうでした。だめといえずに「マメッ マメマメッッ」と言っていました。

ここんちのゆうすけくんは4歳になれずに死にました。
ゆうぴいがいなくなる前の、家(うち)に帰りたいと高階さんはいいます。
現在の帰りたい家があることの幸せを思います。

時間が逆行しないことに、慰められる人も世の中にはいるでしょう。
帰りたい過去があることも幸せの一部ではないかと思います。
ゆうすけくんが生きた記憶が、祝福でありますように。

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死と乙女 : 歌集 / 宮田美乃里著
2008/06/26(Thu)
なんだか、自分の美貌と運命を見せびらかしているみたいな歌集。
そうなのよ佳人薄命なのですわ運命さえも美貌の証明 って感じ?

歌集 死と乙女
. -- 沖積舎, 2004

タンポポよこちらを向いて咲かないでいま死を決意したばかりなの
台風の中心にいる静けさよ生存率を告げられた朝
もうひとりあなたがいるならチベットの山奥へでもさがしにいくわ


という具合で、「かくかくですわ」「しかじかなのね」式女言葉がぞろぞろ出てきます。好悪の別れるところです。
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ロマンティック・ストーリーズ / 赤木かん子編
2008/06/25(Wed)
図書館でまんがを見つけると、なにやらうれしい。これなんか、一冊に二編のまんがが収録されてて、さらにうれしい。


今 市子,アイザック アシモフ,ロバート・F. ヤング,坂田 靖子,O. ヘンリ
Amazonランキング:181339位
Amazonおすすめ度:

. -- ポプラ社, 2001. -- (Little selections : あなたのための小さな物語 ; 3)

世に名高き今市子(いまいちこ)さんの作品を初めて読みました。伝聞でイメージしていたとおり、波津彬子さんに似た作風です。
イマイチなんて謙遜した名を持ちながら、この方、ほんとに恐いことを恐ーーーーく描くのがお上手。ぞっとしました。でもそれも一瞬で、ほっとさせたりクスリと笑わせたり、緩急のつけかたが天才的です。

もう一人のまんが界代表は坂田靖子さん。だれにも真似できない個性でぶっちぎります。

O・ヘンリやアイザック・アシモフも健闘していますが、日本のまんがって本当に高水準なんだなと実感させてくれるためにいるみたい。大人にも充分楽しめるアンソロジーです。

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小さな靴  高田敏子
2008/06/25(Wed)
2008=06=07水色の壁

小さな靴が玄関においてある
満二歳になる英子の靴だ
忘れて行ったまま二ヵ月ほどが過ぎていて
英子の足にはもう合わない
子供はそうして次々に
新しい靴にはきかえてゆく

おとなの 疲れた靴ばかりのならぶ玄関に
小さな靴は おいてある
花を飾るより ずっと明るい


詩の玉手箱より 「小さな靴」 高田敏子

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紹介 吉野弘
2008/06/24(Tue)
2008=06=07道端の立葵

一歳です
おいた、します
おなか、空きます
おっぱい、たっぷり飲みます
お通じ、あります
よく眠ります
夜泣き、しません
寝起き、ご機嫌です
固太りです
ダイエット、まだです
女性です
柔肌です
おしめ、まだ取れません


詩の玉手箱
より 「紹介」 吉野弘

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解放 / 赤木かん子編
2008/06/24(Tue)
図書館でまんがを見つけると、なんだかうれしい。それが川原泉ならなおさら。


川原 泉,レイ・ブラッドベリ,赤木 かん子,ルーシー・モード・モンゴメリ,岡村 花子,ロバート・F. ヤング,伊藤 典夫,宇野 利泰
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. -- ポプラ社, 2001. -- (Little selections : あなたのための小さな物語 ; 8)

川原教授は「森には真理が落ちている」で出演し、モンゴメリが「めいめい自分の言葉で」を繰り出し、ヤングは「ピネロピの贈りもの」、ブラッドべりが「アンクル・エナー」と来るならば、確かに開放感溢れる一冊です。

それにしても川原教授、『真理が我らを自由にする Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕI ΥΜΑΣ』を意識したタイトルでしょうか?
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田舎暮らしに殺されない法 / 丸山健二著
2008/06/23(Mon)
読者対象は定年前後の、田舎に引越そうと考えている男性。
読者をあなたと呼び、あなたをさんざんにこきおろす本。

田舎暮らしに殺されない法
-- 朝日新聞出版, 2008

田舎に第二の人生を求めようという人を諌めんがため、口を極めて「あなた」の馬鹿さ加減を説き、「馬鹿なことは止めなさい」「それはばかげています」と繰り返し警告しています。
しかしこんなにも読者ターゲットを馬鹿にして、この本、売れるのかしら。人が読まなかったら、どんな真摯な警告も役には立ちませんよ?

田舎の住民は旧弊で、隣人がいれば隣人にプライバシーの概念はない。自然が豊かということは、生活が常に自然との戦いになるということ。・・・・だと、著者はいいます。

不便さを託つことなく、不便さが自分を鍛えてくれるという発想を持てる人だけが成功する田舎暮らし。この本を最後まで読んでも、それでもやってみようと思う人なら、あるいは・・・・成功するかもしれません。
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Jに 吉原幸子
2008/06/23(Mon)
2008=06=07茶色の壁

おちちなんていう
かんたんなものをのみながら
おまえはそれをちゃんと分離する
液体と 個体と 気体とに

おまえのちいさなからだのなかで
おまえがねむっている間
おまえのちいさな腸(ハラワタ)がうごいて
おまえの小さなハラワタのなかを
おちちが 一生けん命 とおって行く
それを考えると ほほえんでしまう

そうしておまえは 目をさますと
とても威勢よく うなりながら
まず 分離された気体を
母にひっかける


詩の玉手箱より 「Jに」 吉原幸子

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ターシャの旅立ち
2008/06/22(Sun)

2008=06=07立葵.jpgさようならターシャ。
ターシャの庭がこれからどうなるのか、もう誰かに託してあるのかしら。

ターシャの最後を見送った花は、ターシャの祖母譲りの立葵?
それとも、花嫁のようなクラブアップル?

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花なくて
2008/06/22(Sun)
20080622084428手持ちのクレマチスの花が絶え、妄想の花畑を巡ります。つまり、購入計画を立てようというわけ(笑)

まずはかねて憧れのラプソディー
そしてベノサで目覚めた白抜きへの愛着で、オオナガレジェニー
紫陽花のあの青が欲しく、まだインテを持っていないので、アラベラ

さあどうしよう。置き場所と世話能力の限界を超えているわ。
でも、今、今、一つもクレマチスが咲かない我が家が淋しすぎるのです。
来年のこの時期、何かは咲いていて欲しい・・・・・。

幸い、今なら夫は飲みすぎで寝ています



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変換機能への希望
2008/06/22(Sun)
2008=05=手巾の木パソコン上で短歌や俳句を詠もうとすると、あるいは丸谷才一さんの文章を引用しようとすると、いったん現代仮名遣いで打ち込んでから、歴史仮名遣いに打ち直す必要があってまだるっこしいです。
「wari」と打って変換すると「笑い」「笑ひ」の両方がでてくるように、ならないもんですかね。
そうしたら「あれ、これは四段活用だっけ下二段活用だっけ」なんて悩まずに済んで楽なんだけど(笑)

歴史仮名遣い標準装備のパソコン。日本企業なら作りませんか?
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蝶々は誰からの手紙 / 丸谷才一著
2008/06/21(Sat)
良い書評(褒めている書評というわけではない。念のため注記)を読んだならば、もうその本を読まなくてもいい。読まなくてもその本の良さ(悪さ)がわかるのがいい書評なのだから。

蝶々は誰からの手紙
. -- マガジンハウス, 2008

ということが冒頭に書いてあって、安心して書評を楽しむことができました。
今まで書評はビクビクして読んでいたんですね。こんな名作を読まずにいたのが恥ずかしいとか、あれもこれも読んでおかないと遅れをとるとか感じちゃって・・・・。
書評自体を楽しめばよく、読みたい本が見つかったら読めばいい。楽しめない書評なら読まなければいいとは、ああ、ラクチン。

と、いうわけで、のんきに読みました。世の中にはいい本がいっぱいあるなあと世の中を嘉しながら。

丸谷さんはまことに語彙の豊富な方で、面白い、素晴らしい、感心したなどという陳腐な言い回しは滅多にしません。褒め言葉の豊饒に驚かされます。
(何が素晴らしいかを語るのが書評であり、ただ素晴らしいと言ったのではプロの仕事にならないということですね)

一番好きだったのは歴史の真実と政治の正義対する書評。

 言論を混迷から救い出す快刀乱麻の書。しかしそれにしても石部金吉みたいな題は困り者だ。これだけ秀抜な著書をものした論客は、それにふさはしい魅力的な書名によって、広い範囲の読者をいざなはなければならない。


というもの。
愛情の感じられる批判(?)です。書評を読んだ編集者は臍を噛んだことでしょう。
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外反母趾気味
2008/06/20(Fri)
足に合う靴がなかなか見つかりません。
帰りの通勤電車の中で靴を脱ぎたくならない日はなく、もちろん休日は必ず運動靴着用。

自分に合う靴を見つける努力と、裸足でも痛くない足裏になるまで足を鍛える努力と、どちらが早く成果が上がるだろうかと思います。
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言いまつがい / ほぼ日刊イトイ新聞編
2008/06/20(Fri)
私の前でこの本を3分間真面目に朗読できる人がいたらお昼ご飯奢ります。
朗読ボランティア泣かせの本です。

言いまつがい (新潮文庫)
-- 新潮社, 2005. -- (新潮文庫 ; い-36-3)


これは本当に可笑しい。何度か通読して「来るぞ」と分かっていても、また笑ってしまいます。
(電車内で読むと『肩を震わせて本を読む』不審人物になってしまうので、通勤通学中に読むのはやめましょう)
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侍史
2008/06/20(Fri)
2008=06=07斑入紫陽花今日は手のくるぶしが『手根骨』、足のくるぶしは『足根骨』っていう名前なのを覚えました。読みは シュコンコツ ソクコンコツ です。
知らないことがいっぱいあると楽しいですね(←開き直り)

先日「医学Ⅲ」担当の先生からお預かりした封筒には、「丸丸先生侍史」と書かれてました。
これが世に聞く脇句(現在医療業界にだけ生き残っているという絶滅危惧品種)かと、しみじみ見てしまいました。

まさに異文化発見の日々です。

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言の葉さやげ
2008/06/20(Fri)
2008=05=02ハンカチの木丸谷才一が日本国語大辞典 第二版に寄せた文章です。

 もちろんこれは望蜀の嘆である。『大辞典』第二版の刊行は文明の盛事。すべての図書館(学校、会社の図書室を含む)がこの浩瀚な辞書を備へつけることを望む。「国語は民族の記憶をおさめる仄暗い倉庫である」とマルラメは言った。




蝶々は誰からの手紙 / 丸谷才一著. -- マガジンハウス, 2008 から抜粋

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結婚式っておもしろい!? / たかはしみき
2008/06/19(Thu)
新郎という字は心労の当て字?

結婚式っておもしろい!?
主婦と生活社 (2008-04出版)

それでも結婚式をする意味があるのか?と考えさせられる本ですが、結論はYES。

(ほぼ)無条件に祝ってもらえる人生のイベントは誕生と結婚。誕生したときのことを自分で憶えている人はいないでしょうから、結婚が唯一の、お祝いイベント。
自分たちの祝典と考えるか、感謝の祭典と考えるかは人それぞれですが、このイベントをするかしないかで意見調整できないようなら、結婚しても長くは続かないでしょう。

結婚式を「する」と決めたカップルは頑張ってください。必要なのは火事場のバカ力です。

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詩の玉手箱 / 三木卓著
2008/06/19(Thu)
さっさと読んでしまうのがもったいない本。
12ヶ月に分けて編んであるから、一日に一月分しか読んではいけない、とか自分に枷をはめればよかった・・・・。

詩の玉手箱
三木卓/柚木沙弥郎 /いそっぷ社 2008/04出版

三月の部に、こんな詩がありました。

桜             杉山平一

毎日の仕事の疲れや悲しみから
救われるよう
日曜日みんなはお花見に行く
やさしい風は汽車のようにやってきて
みんなの疲れた心を運んでは過ぎる
みんなが心に握っている桃色の三等切符を
神様はしづかにお切りになる
ごらん はらはらと花びらが散る


切符を切るという行為を、見たことのない人にはわからないでしょうね。
切符の切りかすがどんな形をしているか知らない人には、わからないでしょうね。

散った桜の花びら一枚一枚が、神様の切符の切りかすだと、詩人は詠ったのでした。
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魂の切影 / 森村誠一著
2008/06/18(Wed)
乳癌に冒されながら、延命治療を拒否したた歌人(女)を取材する作家(男)。
二人の間に行き交う感情は・・・・?

魂の切影 (カッパノベルス)
. -- 光文社, 2005

主人公の作家(男)が思い込みの強い性格で、ついていけませんでした。
小説仕立てにせず、ルポルタージュにしてくれたらよかったのに。
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青嵐に聞く声のあり君は亡し
2008/06/18(Wed)
この春私は友人を失いました。
彼女が逝って40日以上過ぎてから、自分の出した葉書に対する返事を、彼女の夫から受けてそれと知りました。享年44歳でした。

彼女の一人子は中学一年生。わが子と同じ一月生まれ。
私が妊娠したとき、彼女がマタニティウエアの一切合財を貸してくれました。

ここ数年、葉書と手紙だけのやり取りになっていたけれど、確かに私たちは友達でした。
でも、彼女は知らせて来なかった。自分が不治の病を得たことを。

友達の全てに知らせることじゃないし、彼女は何より静かな生活を望んでいたから、知らせがないのも道理です。それは彼女の判断だし、私はいつも彼女の判断を尊重してきたつもり。だからそれはそれでいい。
知らせて来なかったから、友達甲斐がないなんて思いません。私たちは緩やかでいて切れない糸の両端を持っていたのだと思います。

先に向こう岸に渡った彼女。
待っていて、私も、いつか分からないけどきっと後から行くから。
その日まで、あなたがしてくれたこと、あなたの文字、忘れないでいるから。

これは森村誠一さんの句です。

青嵐に聞く声のあり君は亡し


青嵐には学生時代の彼女の面影が蘇る気がします。
一本の編み下げ、木綿のスカートにスニーカーで、自転車をこいでたKちゃん。

なぜあなたが逝ったのか。
それはKちゃんにも誰にも答えられない問いだと知りつつ、まだ時どき、問いたくなるのです。
問う相手がいないから問わないけれど、問われた人はつらくなるばかりだから誰にも問わないけれど、問いたい。なぜ、Kちゃんがと。

私は悲しみにくれて泣き暮らしているわけではありません。一日も忘れないなんてこともありません。元気だし、食べるし、笑いながら暮らしています。
でも、人の死を悼む句や歌の前を素通りできず、そのたびに立ち止まり、『なぜKちゃんが』という詮無い問いを、宙に向かって投げてみるのです。

2008=06=07紫陽花


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面会
2008/06/17(Tue)
付け加える言葉もない、という記事に出会ったときのために「引用」というカテゴリーを設けました。
読みやすくするために段落間に空行を挿入しています。
2008=06=07路傍の立葵

戦時中、都会の小学児童が親元から離れて地方に疎開(避難)した。だが、疎開先も戦局が厳しくなるにつれて危険となり、さらに僻地へと第二の疎開をせざるを得なくなった。それらの児童は列車に乗って東京を通過していく。

 学童の父兄に、その列車の品川駅通過時刻が連絡された。空襲の隙間を縫って停車時刻はわずか十分、その間に父兄と学童の面会が許された。ただし、十分間であるから父兄の乗車は禁止され、学童も下車できない。わずか十分の間に学童とその父兄が互いに探し当てなければならない。 父兄は極端に欠乏している物資難の中、食糧や衣料をわが子に与えようとして持ってきた。親は子の名前を呼びながらホームを右往左往し、列車の窓からは子どもの顔が鈴なりに出て、親を呼んでいる。

 十分間はたちまち過ぎた。品川駅長が独断で停車時間を引き延ばしたが、もはやそれ以上のばせなくなった。無常な発車ベルが鳴り、列車はゆっくりと動き始めた。

 我が子を探し当てられなかった大多数の親たちが抱えてきた食糧や衣料を、手当たり次第、列車の窓に投げ込んだ。どの子にわたってもよい。同じ思いで投げ込まれた品が、わが子に渡るかもしれない。途中下車以上に悲痛な戦時中の途中面会である。



森村誠一の写真俳句のすすめ / 森村誠一著. -- スパイス, 2005 より抜粋。

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ツルのとぶ大地で / こやま峰子文
2008/06/16(Mon)
絵本でなく、大人向けのルポルタージュで読みたい内容でした。

釧路湿原を飛びかうツルの群れ。この自然の美しい大地に、自閉症という障害をもった、ちおりちゃんは生まれた。両親の愛につつまれ、ボランティアや友だちにささえられて成長してきた実話物語。



ツルのとぶ大地で
: 小泉るみ子絵. -- 女子パウロ会, 2008

作品中丹頂鶴がシベリア大陸からの渡り鳥として書かれていますが、ウィキによれば丹頂鶴は

主に北海道東部の釧路湿原などに生息する。大部分が留鳥であるが、一部は北方領土などで繁殖する。

のだそうです。
題名にもなっているように、ツルは重要なモチーフですから、読者に誤った認識を与えることになり、残念です。
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絵封筒をおくろう / きたむら さとし,松田素子著
2008/06/15(Sun)
日本とイギリスの郵便事業は素晴らしい。こんなむき出しの芸術作品を、損なわずに異国にまで送り届けるのだから。


きたむら さとし,松田 素子
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文化出版局 (2007-12-02出版)

絵手紙と違って絵封筒は、切手や住所が必須だから、絵手紙より不自由だろうな?と思いつつ手に取ったのですが、これがどうして。
切手はもともとデザイン性の高いものだし、日本には書の、散らし書きの伝統があります。
切手と絵と文字の融合で、絵だけではできない、多元世界が広がります。
自分の絵に切手を貼るだけで、切手の絵のデザイナーとのコラボレーションが実現するのです。
2種類の切手を使えば、余人の著作権を侵すことなく勝手に3人の合作ができてしまうのです。
これって、、、絵手紙にはあり得ない自由です。

デザイン性を追い求めるあまり、郵便が迷子になったら元も子もありませんし、あまり郵便屋さんを悩ませると、管理の都合で今の自由が制限されるようになってしまうでしょう。
この楽しみを守るためには現在のルールを守ることが必要であり、そこんところをこの本で押さえてから、レッツトライ!


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六の宮の姫君 / 山岸凉子他著
2008/06/14(Sat)
巻末に今昔物語の「六の宮の姫君」が収められ、福永武彦の現代語訳「六の宮の姫君がはかなくなる話」、芥川龍之介の翻案小説「六の宮の姫君」、山岸涼子の漫画「朱雀門」(芥川の「六の宮の姫君」を読む女子高校生が主人公)が並ぶ、「六の宮の姫君」づくしの一冊です。


山岸 凉子,福永 武彦,芥川 龍之介
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; 赤木かん子編. -- ポプラ社, 2003.

小さな本で、30分で読めますが、女性が自分を生きるようになった歴史が辿れる一冊でした。
大正時代に耐えるだけの女性を難じた芥川龍之介の偉大さを伝えながら、その文豪を凌駕する山岸涼子の技のキレ。ほれぼれします。

姫君の生まれた平安の昔ではなく、芥川龍之介が先見の明を示した大正でもなく、山岸涼子が輝く平成を生きられる幸せをしみじみ感じます。
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世界のお弁当 : 心をつなぐ味レシピ55 / 服部直美著
2008/06/13(Fri)
「お弁当」という枠で世界の料理を切り取って紹介。
それだけでも見る価値があると思ったけれど、それだけにあらずさにあらず。

世界のお弁当―心をつなぐ味レシピ55
. -- 情報センター出版局, 2008

お弁当の配達事情(勤め人の自宅から弁当をピックアップして、勤務先に届けるビジネス)とか、昼食用屋台事情とか、お昼ご飯を巡る世情の紹介があり、世界の弁当箱コレクションの開陳があり。

予想以上に楽しい本だったけれど、予想以上にお腹のすく本なので、空腹時の読書は避けたほうがいいかと思います。
(どちらかといえば単純な料理で、気取らずばくばく食べられそうな献立が並んでいるせいですかね?)


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