レモンとねずみ / 石垣りん詩
![]() みどりさんが教えてくれた詩集。レモンとねずみ
![]() いつか新聞で読んだ「かなしみ」が、空行なしで記載されていて趣が変わっていました。 はじめに読んだ時の印象が強く、ちょっと違和感がありましたが、やはりいい詩だと思います。 父と母にいただいた体を傷つけてしまったと詫びる、65歳の少女がここにいます。 一番心に残ったのは、恋人を歌った詩です。
男はたぶんまだ、お金のかなしみを知らないのでしょうね。 「そんな心の貧しい娘。」と表現しなければならなかったということは、・・・娘の思いやりは汲まれなかったのだと思います。 架空の首にかけた真珠のネックレス。 ネックレスではなく娘の目の方が輝いていることを、私たちは嘉したいと思います。 |
拍手のルール : 秘伝クラシック鑑賞術 / 茂木大輔著
![]() もぎぎの新刊。今日も<クラシックの敷居は低く、よりフラットに、だけど格式は低くせず>の運動中。
拍手のルール―秘伝クラシック鑑賞術 ![]() 拍手を早くしすぎるよりは、全く拍手しないほうがマシ。というくらい、フライング拍手は嫌われるんですね。それはなぜか、どうすれば早すぎないタイミングがわかるか、とても明快に書いています。 拍手以外のことについても、演奏者の気持ち、指揮者の気持ちがつぶさに書かれていて、大変面白い。 それに・・・・もぎぎ先生、洒脱な比喩で快走中ですが、その比喩ゆえに普段の生活がしのばれて、可笑しいです。 |
天皇たちの和歌 / 谷知子著
![]() 日本は言霊の国であり、天皇の歌は祈りであるというのがよくわかります。
天皇たちの和歌 (角川選書 421) ![]() そして今上天皇の歌に「願ひ」「願ふ」が頻出するわけも、わかるような気がします。 昭和天皇までは、自身が神だった。祈るときは現人神として、神であるおおつおや(父祖)に祈っていた。そして「祈り」「祈る」という詩語を使ってきた。だから。 天皇の位についたそのはじめから人間である今上天皇は、きっと父や祖父が神として使った言葉を避け、人間天皇の歌を詠もうとしているのでしょう・・・たぶん。 |
伝書鳩 : もうひとつのIT / 黒岩比佐子著
![]() 軍馬軍犬と共に軍鳩のいたことを、知りませんでした。
新聞社がそれぞれには鳩係を儲け、どこが抜く(スクープをものにするか)が鳩次第だった時代のあったことも。 伝書鳩―もうひとつのIT (文春新書) ![]() 正確にはこの本を紹介した読書の腕前 (光文社新書 294)で、新聞社の伝書鳩のことはちょっとだけ知りましたが。 人間の都合のために、生まれ持った生きるための本能を利用され、利用されたことも知らずに死んでいった軍用鳩たち。軍国少年を作るための記事とわかって読んでいても、往時の記事を読むと思わず泣けてしまいます。 新聞社の花形だった時代には鳩が社長賞をもらったりして脚光を浴びたけれど、優秀な鳩ほど厳しい条件下で飛ばされるから寿命が短かったそうです。 あんまり優秀じゃない鳩は、式典用に貸し出されていたそうです。(式典でいっせいに放されて飛び立ち、新聞社に帰ってくる。あるいはくす玉に入れられて、これが割られた瞬間に飛び立って社に戻ったりもした)そしてあんまり優秀じゃない鳩の方が長生きしたとか。 私は長生きするかも。 救いがあるのは、通信機器の発達で出番がなくなっても鳩は新聞社で飼われ続け、いよいよ鳩部が廃止されるときは愛鳩家の市民に引き取られたということです。 鳩を使役しなくても済む社会が平和で一番いいのだけれど、不慮の事態に備えて伝書鳩の伝統は絶やさないほうがいいんじゃないかと、思ったりもします。新聞社は鳩を飼う社員に報奨金を出したらどうかな、どうかな?? |
どんどん咲きだすエトワールバイオレット
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読書の腕前 / 岡崎武志著
![]() 駅のホームでこの本を読んでいたら、知り合いに声をかけられました。
「へえ、『読書の腕前』か。戌井さんは何段なの?」 「・・・・『梯子段』かな?」 そう。私の心は蝶のように、本から本へと移っていく・・・・・。 読書の腕前 (光文社新書 294) ![]() この本の著者はいわゆる愛書狂、若しくは書痴、蒐書家とも活字中毒者とも言えるでしょう。もちろん、積読(ツンドク)を恐れません。 いいな、と思った本を本屋の書棚に置いたままにしてくると、その本はすぐに記憶の川の底に沈んでしまい、二度と浮かび上がらない。けれど、買って手元に滞留させておけば、いつか読もうと思って本棚に差してさえ置けば、ふとした時にその本の背が浮かび上がるとおっしゃいます。 ビブリオマニアというに「?」なのはこの方、どかんと本を手放すこともできる。何年か手元に滞留させて置いたのに読まなかった本はいらない。読んだ本は何が書いてあるか知っているので、資料として使えるから置いておく。スッキリ! なんか凄く勇気が出てきます。私も2週間で読みきれないかも?なんて心配はしないで、ガンガン図書館にリクエストをかけよう。読めなかったら一旦返して、またリクエストをかければいいんだわ(!) そうして「読みたいと思いつつ本の背を見ている」のも読書の一部なんだと著者はいい、読みたい本を読むのもいいが、読みたい本を手元に置くこと自体が読書の楽しみなのね、と私は思います。 2週間で回りつかず、眺めただけで返す本があってもいい。読みたいなあと表紙を眺め、背を撫でただけでも、見もせず触れもしなかったのよりずっといい。いつか、また、会いましょうね・・・・。 さて、もう一つ感心したのが、本を読む環境に凝るということ。桟橋で読書する女 (文春文庫)の例もある。著者なんかタイムスリップ・コンビナートをそこで読むためだけに、鶴見線に乗りに行ったというし、「門司港」の駅の待合室で一日じゅう、ただ本を読んでいたいがために北九州のさいはてに行きたいともいうのです。 この人に比べれば、「埼玉スタジアムの高い(価格が高いのではなく、海抜が)高ーい席で、吹き抜ける風に吹かれながら読書をするのが好き」なんていう私の趣味は、特段変わったもんじゃないかと思います。 試合前の一時間、周囲の熱気はだんだん高まってくるけれど、自分だけはこの本の世界を離れないという、意志の力を試されるとき、本との一体感を感じます。 もちろん、試合が始まるとなればあっさり本を閉じます。
この本をきっかけに読みたくなった本は「伝書鳩―もうひとつのIT (文春新書)」「空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)」「人に言えない習慣、罪深い愉しみ―読書中毒者の懺悔 (朝日文庫)」「早く家(うち)へ帰りたい」、再読したくなったのが「ぐうたら交友録―狐狸庵閑話 (講談社文庫)」。 脱帽。読書について書かれた本としてベストだと思います。 |
大人の見識 / 阿川弘之著
![]() この本を読んだ直後に埼玉スタジアムでの暴動が起こり、どうすることが大人の見識だったか?を考えさせられました。
大人の見識 (新潮新書 237) ![]() ウィキペディアによれば、英国人サミュエル・ジョンソンの暴言 に対して、スコットランド人であり弟子でもあったジェイムズ・ボズウェルは と答えたそうです。 サミュエル・ジョンソンはボズウェルを殴りつけたり、破門したりはしなかったじゃないかな。スコッチウィスキーの一杯も注いでやったかもしれない。(と思う。実はサミュエル・ジョンソン伝 1 (1)未読 ![]() 金網越しに、かねて用意の水風船を投げ込んで、そこにいる人を無差別にびしょぬれにする行為に対して、何を言えばよかったでしょう。相手を恥じ入らせるような、あるいはどちらかが笑い出すような、ユーモアのある対応が、何かないものかと思います。 突然頭から水を浴びせられて、おびえて泣き出す子どもに、そこにいた大人は何と言ってやればよかったのかしら。 これでは書評にも何もなっていませんが、阿川さんの書いた「大人のイギリス人」「よき時代の海軍」の精神を今に生かす方はないかと、『暴力に暴力を以って応えるのではない、ギャフンと言わせるような対応』を日夜考えるこの頃です。 |
ベノサ・バイオレシア
![]() ![]() どの本で見たのだったか定かじゃないけど、たしかこの本 ![]() 5号鉢が憧れへの風景への第一歩です。 |
エトワールバイオレット
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ベノサ・ヴァイオレシア開花、ザ・プレジデント全開
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月蝕書簡 : 寺山修司未発表歌集 / 寺山修司著
![]() の寺山修司。彼が逝った五月は4半世紀前。マッチ擦るつかのま以上の時が過ぎた今、新作の歌集が出版される驚き。 月蝕書簡―寺山修司未発表歌集 ![]() 寺山は、本にして発表されたくなかったのではないかと思います。 タイトルと装丁が魅力の歌集。中身は寺山修司の残骸。。。。。。 |
我に五月を
![]() ![]() 5月が28日でなく31日まであることがこんなにありがたいとは、今までつゆ知りませんでした。 しかしできうるなら『我に五月を、四十日間の五月を与えよ! 』
我が五月、八条報告の前に詩は霧散・・・・・。 |
とよあしはらみずほのくに
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すべては消えゆくのだから/ ローランス・タルデュー著
![]() 死に瀕して、「会いに来て」と手紙を出す女。駆けつける男。愛がなくなったわけではないのに、別れた夫婦の再会。
すべては消えゆくのだから ![]() 「号泣必至」というアオリ文句は、作品に対して失礼だと思います。泣いて済む問題ではないでしょう。 二人が失ったものの大きさは計り知れないけれど、女が遺していったのは男を生きかえらせるに足るものでした。 幸薄く、偉大な女性だったと思います。 |
挑発ではなく
![]() 5月17日は埼玉スタジアムで、浦和レッズとガンバ大阪の試合を観戦していました。
ハーフタイムになるのを待ちかねてトイレに行き、戻るやいなや後半開始。最後はロスタイムもあと1分というところで席を立ったので、一部の新聞が「暴動」と報じたシーンは見ていません。 私が見たのは試合開始前の、ガンバ大阪オフィシャルサイトが「挑発」と呼ぶ行為です。 肉眼で見たときは水風船とは分かりませんでしたが、実は水風船だった謎の物体が、何度も何度も、レッズサポーターの席に投げ込まれていました。 一度物を投げたらその場で退場になると思ったのに、ガンバの応援席からの投げ込みは続きました。何度も、何度も、何度もです。 警備員が近くにいたのに、なぜか、取り押さえませんでした。 『弊クラブでは近年「モノ投げは悪い行為」との文化が根付きつつあります。』というレッズオフィシャルサイトの文言にはあきれ果てます。 何を今さら。 人に物を投げつける行為は悪いに決まっています。 人に当てる目的で物を投げた人は即刻退場。物を投げた人が抵抗するなら、試合開始を遅らせてでも、退場させるべきでした。 主管クラブが本当に「モノ投げは悪い行為」と思っていたなら、最初に断固とした対応をしたはず。結局「モノ投げは悪い行為」という認識が、クラブに根づいていなかったということです。 試合後に再度物の投げ込みが始まった時、投げられたものを投げ返すのではなく、「子ども連れを先に帰してやれ。大人は子どもの楯になれ」と言って通路を守ってくれる人が複数いたら、どんなによかったでしょう。 でもそれは、自分がそこにいたらできなかったと思います。暴力シーンにはすくんでしまうから、多分何も、できなかったと思います。 だからこそ、騒ぎは大きくなる前に、暴力は繰り返される前に、対処してほしい。 物を投げる真似をするなら挑発ですが、ぶつけるために投げつけた時点で、それは挑発ではなく暴力行為だと思います。 |
手回し鳥オルガン
![]() 大人の科学マガジン Vol.20(学研ムック大人の科学マガジンシリーズ 2500円)の付録は、「手回し鳥オルガン」だそうです。
テルミン以上のヒットはなるか。 愛鳥週間とは関係なく6月下旬発売です。 |
ザ・プレジデント開花2
![]() ![]() ![]() ![]() 紫の3輪が穂高、薄い藤色に写っているのがウィル・グッドウィン、青い大輪がフラウミキコ |
ザ・プレジデント開花
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谷空木
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薔薇
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創造主
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ウィル・グッドウィン開花
![]() ラベンダーブルーのウィル・グッドウィンが開花しました。昨年よりずっとウィル・グッドウィンらしい色。
昨年は紫色に近く、ラベル違いかと思いました。今年は確かにウィル・グッドウィンと分かってうれしいです。 ![]() ![]() ![]() 「お子さんはお父さんにそっくりですね」と初めて言われた父親の気持ちってこんなもの?(笑) 穂高は全開です。 |
ツクツク図書館 / 紺野キリフキ著
![]() 筑津区の図書館だからツクツク図書館と呼ぶ者もいる。だけど看板はただの<図書館>。
ツクツク図書館 (ダ・ヴィンチブックス) ![]() 町のはずれに建っていて、ただの図書館で、区の中央図書館は別にあるなんてアヤシイ。 そうです、ツクツク図書館は、尋常でない、利用者を選ぶ図書館。職員すら図書館が選んでいるので、職員利用者とも、図書館に選ばれない人はそこに行き着くことができないのです。 この図書館に選ばれなくても悲観することはありません。ツクツク図書館はつまらない本だけを集めた図書館。ツクツク図書館にしか行けない人が訪れる図書館。 自分もいつかツクツク図書館に選ばれる日が来るのかなあと思います。
選ばれたくないけれど、自分は行かなくていいけれど、いつかくたびれてつまらない読書しかできなくなったとき、こんな図書館があってくれたらと思います。 |
とりつくしま / 東直子著
![]() 病気や事故で覚悟する間もなく死んでしまった人に、「とりつくしま」係が問いかけます。
あなたは何か、生きていない物を選んで、それにとりつくことができますよ、と。 とりつくしま ![]() 新婚の妻は夫愛用のマグカップに取り付き、幼稚園児は公園の大好きだったジャングルジムにとりつき、女子高校生は憧れの先輩の・・・・にとりつき、以下隠匿。 さまざまな人とさまざまな物の取り合わせ。とりつくしまで見たこと聞いたことと、それで魂がどんな苦汁や歓喜を味わうか、小説でなければあり得ない経験をいくつも追体験できた一冊です。読書ってスゴイものだと思います。 自分が魂だけになったとき居たい場所はどこなのかなんて考えて来なかったです。 (息子を物を大事にする子にしなければ、何にとりついても息子のそばにはいられません) それに、死後いつまでも見守りたいのか、ちょっとだけでいいのかも考えて来ませんでした。 (消耗品にとりつけば、物が物としての働きを終わるときに魂はとりつくしまを失ってこの世から消えます) そういえばある友人が「愛する人が千の風になって、年がら年中四六時中傍にいるなんて気持ち悪い」と言っていました。毎朝様子を見に来るとか季節ごとに会いに来るとかなら分かるけど、明けても暮れても降っても照ってもずーーっとなんて、ストーカーみたいというわけです。 人の感じ方は実にいろいろです。死後のことは分からないから、今生きている愛する人たちを、生きているうちによく見、よく聞いて過ごそうと思います。 |
裁判員法廷 / 芦辺拓著
![]() 「裁判員制度が、楽しく小説を読みながらわかるといいなあ」というちょっと欲張った読書でした。
裁判員法廷 ![]() 同じ法廷で、同じ職業裁判官、同じ検事、同じ弁護士が扱う三つの事件。どの事件でも、はじめて選ばれた市民裁判官が、きわめて重要な発言をして犯人を追いつめます。 読者は市民裁判官の目線で裁判を追うことになるので、市民裁判官の活躍は爽快です。 弁護士の活躍が一番地味で目を引く(表現矛盾だけど本当)ので、うっかり途中で市民裁判官の立場を忘れてハラハラ・・・・・。裁判員制度を学ぶ目的は達成できなかったけど、地味派手な弁護士を堪能できたのでよし。 第三章のミスリード狙いにはすっかりひっかかり、読了後もう一度自分がひっかかったところを読み返ました。「あなた」がどんな人か分かってから読むと、だまされた自分が単純なのではなく、著者の方に無理があるんじゃないかと思えました。・・・・なんか腑に落ちない。 (犯罪を扱った小説を読みつけていないので読みが甘いのかなあ・・・・) |
その後のフラウミキコ
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空の絵本 / あまんきみこ著 ; 松成真理子画
![]() 「花の巡礼」の後に続けて「空の絵本」を読み、うっかり泣いてしまいました。
あまんきみこという名前にもっと注意すべきだったと、先に立たない後悔をしています。電車内で読むのは危険な著者でした。 空の絵本 ![]() これは著者自身の思い出。 著者は小学校に上がったばかりの頃、通学路で菫の群落を見つけました。友達と夢中で菫を摘んで、時を忘れ、小学校に大遅刻。教室の扉の前で、入るに入れず固まっていると、先生が著者を見つけてくれて・・・・。 この時の先生の科白が、本当にいいんです。 幼かった著者の動悸が聞こえてきそうな、堰を切った涙の温かさを自分の頬に感じるような、そんな話。 この先生のような大人でありたい。子どもは、まず受け止めて育てたい。 人は(私は)自分のできないことに余計に強く感動するのかもしれません。 |
花の巡礼 / 高橋順子著
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花盛りの穂高
![]() 今年穂高は七輪咲きました。写真に六輪しか見えないのは、一輪を切花にしたからです。
![]() ![]() 同じような写真を何枚も撮るのが親ばか。 だってこの穂高はまだ我が家に来て二年目なんですもの。もう、かいぐりかいぐりです。 |
日光2
![]() 竜頭の橋から見た上流と下流。橋の真下で川幅が急に広くなるので、同じ橋の上から撮った二枚の写真が、まったく別の川のようです。
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