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映画「テラビシアにかける橋」
2008 / 02 / 05 ( Tue ) 22:25:34
映画「テラビシアにかける橋」を見てきました。 原作は児童文学の金字塔。国際アンデルセン賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。世界24カ国で出版され、500万部以上の売り上げを記録する です。 でも自分は読んでなくて(ナルニアだってゲドだって指輪だって読んでない。ハリー・ポッターもダレン・シャンももちろん読んでいない)、ファンタジー文学の勉強と思って見に行ったのでした。 映画を見たらすっかり満足して、「もう原作を読まなくてもいいや」と思いました。 はて、原作も読んでみたいと思わせるのがいい映画なのか、原作を読む必要を感じないのがいい映画なのか、どっちでしょう??

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アンは女の子のものか
2008 / 02 / 04 ( Mon ) 21:16:39
中学生はこれを読め!」にが載っていました。 おお、中学生に読ませたい本に村岡花子訳を選ぶとは、しぶい書店員じゃないか。 と思っていそいそと紹介文を読んだら
主人公の女の子の日常が、とても生き生きと描かれていて、友情や人とのかかわりあいなど、時代は違っても何かしら感じるところがあると思います。女の子の情操教育に最適といわれている作品なので、特に女の子に読んでもらいたいです
というものでガッカリしました。 「女の子の」情操教育のためにこの本を読ませるなんて、アンの魅力の矮小化にほかなりません。大人が何度読んでもそのたびに発見のある、奥の深い文学なのに。 また、「女の子に読んでもらいたい」と書くことで、男性がアンの本を手に取りにくくなると、この書店員は気づかないらしいです。 この文を載せた人も、「女の子に」という特化が妥当性を欠くと思わなかったらしいのが残念です。 男性がアンの世界から締め出される。それがどんな損失になるか分からない人に、果たして書店員としていい仕事が出来るのでしょうか・・・・。

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北海道書店商業組合「中学生はこれを読め!」
2008 / 02 / 04 ( Mon ) 20:40:32
思い切りのいいタイトルです。気風がいいとも思います。 中学生はこれを読め!
北海道書店商業組合 / 北海道新聞社 (2007/09) 北海道は札幌で、本屋仲間が連携して
「中学生の棚」を作ることにした。 選書の基準はただひとつ、「面白いこと」だけ。 賛同してくれた本屋の仲間たちに協力で、500冊のリストができた。 そのリストをもとに本をそろえ、共通の帯をつけて、2004年10月、札幌の27書店で「本屋のオヤジのおせっかい“中学生はこれを読め!”」フェアを開催、翌年は道内62店に拡大した。
のだそうです。この本は500円(本体価)で『これを読め!500選全リスト』を掲載しています。 選書基準は「おもしろさ」のみとか。北海道の本屋さん(有志)はこういう本を面白いと思っているんですね。 一見して、このオヤジたち、中学生をナメテいないなと思いました。 理解が易しい本を中学生に薦めるのではなく、面白い本を読ませようという作戦は、読書人を作る王道だと思います。 社会的経験値の低さと語彙力の限界に起因する読解力の低さ。それがなんだ。 大人になれば分かることなら後から理解すればいい。謎があったらあったでいい。 とにかく早くこの先を読みたいと思う、そんな本を中学生に手渡したいものです。

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レスリー・デンディ「自分の体で実験したい」
2008 / 02 / 03 ( Sun ) 09:48:18
トキハさんの図書室で借りてきた本。いえ、「トキハの図書室・音楽室」で紹介されていたのを読んですぐ図書館に予約を入れ、中央館から取寄せてもらって借りた本です。 自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝
レスリー・デンディ, メル・ボーリング, 梶山 あゆみ / 紀伊國屋書店 (2007/02) 黄熱病の媒介をするものが何であるか証明するために、患者を刺した蚊を自分の腕に止まらせた軍医ラジア。 ラジアは黄熱病で命を落としました。 ラジアの死をきっかけに黄熱病研究が飛躍的に進み、アメリカ陸軍がネッタイシマカ撲滅に乗り出したハバナでは、黄熱病死者数が前年から98%減って20人になったといいます。 ラジアが自分を実験台にするしかないと決心したのは、彼の二人目の子どもが生まれたばかりでした。 「命をかける価値のあるもの」について考えさせられます・・・・。

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M「L change the WorLd」
2008 / 02 / 03 ( Sun ) 08:44:33
ほぼ映画版デスノートに沿った設定で、事件は月(ライト)の死後、L(エル)の死までの間に起こり、終結します。 L change the WorLd
M / 集英社 (2007/12/25) Lと対立組織の死闘は、L対キラの対決を髣髴させます。互いに繰り出す罠、目まぐるしく入れ替わる攻防。 全体にLが饒舌だったり、逃亡劇で女装する時ノリノリだったりするのはいただけませんが、 「一回は一回です」 が有効に使われたり、Lの死出の夢が美しく描かれたりで、終わりよければ全てよしという気持ちになりました・・・・。

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恩田陸(他)「本からはじまる物語」
2008 / 02 / 02 ( Sat ) 06:24:15
『本』を巡る小説のアンソロジー。
◆飛び出す、絵本(恩田陸)◆十一月の約束(本多孝好)◆招き猫異譚(今江祥智)◆白ヒゲの紳士(二階堂黎人)◆本屋の魔法使い(阿刀田高)◆サラマンダー(いしいしんじ)◆世界の片隅で(柴崎友香)◆読書家ロップ(朱川湊人)◆バックヤード(篠田節子)◆閻魔堂の虹(山本一力)◆気が向いたらおいでね(大道珠貴)◆さよならのかわりに(市川拓司)◆メッセージ(山崎洋子)◆迷宮書房(有栖川有栖)◆本棚にならぶ(梨本香歩)◆23時のブックストア(石田衣良)◆生きていた証に(内海隆一郎)◆The Book Day(三崎亜記)
という豪華なラインナップ。 「本を鳥に見立てる」「本の並べ方で暗号を作る」などいくつかアイデアがかぶっていましたが、それすらも作家の手並みの違いを際立たせ、ア・ラ・モードのように楽しめます。 本からはじまる物語
恩田 陸 / メディア・パル (2007/12) 本屋の話も古本屋の話も(江戸時代のだけど)貸本屋の話もでてくるのに、なぜ図書館が出てこないんだろう。それがちょっとさびしい。。。。

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穂村弘「短歌の友人」
2008 / 02 / 02 ( Sat ) 05:20:28
歌論集です。穂村くんのエッセイは大好きなんだけど、短歌は好きじゃない。歌論は散文だから「いけるかな?」と思って読んだのですが・・・・。 短歌の友人
穂村 弘 / 河出書房新社 (2007/12) 斉藤茂吉、塚本邦雄、馬場あき子、俵万智といった、私が元から知っている歌人について語るところは話が分かる(そして楽しませてもらえる)のだけれど、最近の口語歌人への言及は何がなんだか。 齋藤茂吉の「魅力のありどころ」を語るところなど、面白かったです。が、万智ちゃん以外の口語短歌の「魅力のありどころ」を読むのは困難でした。穂村さんの文章は、確かに日本語で書いてあって、文法的な間違いがないのに、わからないのよ。 この本ゆえに知った好きな歌は下記。知らなかった歌を読め、中には好きな歌もあったから、無駄な読書ではなかったと思います・・・・。
喜多昭夫
天ゆ降り曼珠沙華地に垂直に刺さるがごとくかたまりて咲く

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藤原美子「我が家の流儀」
2008 / 02 / 01 ( Fri ) 22:57:59
一番初めの一編が、すこぶる面白く書けています。 泉下の新田次郎も義父として喜びそうです。 我が家の流儀―藤原家の闘う子育て (集英社文庫 ふ 25-1)
藤原 美子 / 集英社 (2007/12/14) そこから先はちょっと生真面目に過ぎると思える筆致でしたが、ふんだんな写真が本に柔らか味を添えています。 著者と三人の子どもが写ったパスポート写真には、モデルのような美人を両脇から挟むお澄まし顔の兄弟。そして微笑む美女の膝の上の赤ん坊(生後9ヶ月)は父親そっくり。この子だけが平常心というか、なんというか、まったく取り繕うことなく緩みきった表情です。 これを見せられては、空港関係者ならずとも笑みをこぼすことでしょう。 文字通り夫を尻に敷いた写真や、夫(国家の品格を論ずる人ですよ!)のパンツが見える写真を採用してしまうのもスゴイと思います。 こういう写真を撮られたり、発表されたりするところを見ると、この夫、家庭内では専制君主じゃなさそうです? 解説は当の夫(数学者で随筆家)が書いています。 解説でありながら一流のエッセイとして読め、とてもお得な気がします。 エッセイストとしては、やはり夫の方に一日の長があるようです。

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