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東野圭吾「探偵ガリレオ」
2007/12/31(Mon)
理数音痴の刑事と物理学のホープの組み合わせで事件の謎を解いていきます。 やっぱり得意分野の違う男二人の組み合わせっていいです。女はいらーん(笑) 探偵ガリレオ (文春文庫)
東野 圭吾 / 文藝春秋 (2002/02/10) 映像として湯川学(湯川秀樹を意識した命名でしょうか?)の顔には福山雅治のイメージが浮かんで離れず、湯川の脳細胞が疾走するシーンでは「vs. ~知恵と快楽の螺旋~」鍊が行間からあふれてきます。この原作が佐野史郎をイメージして書かれたというのが信じられません。 湯川が 「合理的に行こう」 とだけ言って窓下に身をかがめ、自らが足場になって刑事を窓から突入させるシーンが好きです。 ドラマの初回と第二回を見ていないので、目にしてないけれど、このシーンが一番好き。 人が、自分以外の人の為に、自ら膝を屈することを選ぶ瞬間。そのときに美しい人が、真に美しいのでございます。
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森博嗣「工学部・水柿助教授の日常」
2007/12/31(Mon)
工学部・水柿助教授の逡巡 (GENTOSHA NOVELS)を読んで、この作家が面白いのかどうか決めかね、もう一冊だけ読んでみようと思ったのでした。 工学部・水柿助教授の日常
森 博嗣 / 幻冬舎 (2000/12) ミステリィなんか読もうとせず、ちょっと変わった工学部教員の生活を読む気になれば、なかなか面白いです。2冊目で文体に慣れたのかもしれません。 この助教授、動物のお医者さんの主人公、西根公輝に似ています。 情動に流されづらく、人より一瞬早く冷静になるキャラクター。感情の振り幅の小ささが魅力です。 一ヶ所だけ気になったのが、
ヨーグルトと菓子パン、それに紙パックの牛乳を買って、レジまで持っていった。
という表現。 レジに持っていく前に「買う」ことはできないでしょう? ヨーグルトと菓子パン、それに紙パックの牛乳を選んで(買うために)、レジまで持っていったんだよね? 叙述トリックについて語る途中でこういうのが出てくると引っかかります。これも叙述トリックなのか?と。
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スペンサー「ようこそ女たちの王国へ」
2007/12/31(Mon)
これは小説バージョンの『大奥(よしなが版)』? ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫 SF ス 16-2)
ウェン スペンサー, エナミカツミ, 赤尾 秀子 / 早川書房 (2007/10/24) 20人に1人の割合でしか男が生まれない世界。 ここでは女が国を統治し、戦争もします。男は子作り・子育て・家事全般をまかないます。 姉妹は夫を共有し(!)、長女が一族を統べるのです。 男の子は家の財産であり、拉致されないように大事に守り育てられ、成人するや結婚させられます。 いやー、女たちが隆としてかっこよかったです。
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年賀状書き
2007/12/26(Wed)
年賀状を書いています。追い込みです。 浮世の義理や、自身のポリシー「年賀状の交換を自分から止めることはしたくない」により、150枚以上になっています。正直この時期、つらいです。 書いている間に訃報が届きました。知り合いのパートナーが、昨日亡くなったと。急逝した夫君は、49歳でした。 知り合いはもう、年賀状どころではないでしょう・・・。 明日にも今日にも、何があるか分からない。 「ひいひい、間に合わない」。そういいながら年賀状が書けるのは幸せなのです。 でも、今夜は何も書かずに寝てしまいます。 一週間も先の「おめでとう」を書く気になれません。 今日も明日も家族が無事に生きぬけるかこころもとない気がしてしまう。。。。 自分の家族と、年賀状を出す相手の家族の、無事を祈るばかりです。
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保育所の親子
2007/12/24(Mon)
村松由利子さんの「空色短歌通信」記事を読んでいて、怒涛のように思い出したことがあります。 予防注射だったか検診だったかのために、いつもより早く保育園にお迎えに行きました。子どもたちはみんなお散歩に出ていて、まだ歩けない岳志もベビーカーで同行していました。 お昼ご飯だったかおやつだったかを作りながら留守番をしていた保母さんが、 「もうすぐ帰ってきますよ。特にタケヤンは泣き声が大きいから、声が真っ先に帰ってきます。ダイエーの門を曲がったところから、真っ先にタケヤンの泣く声が聞こえてくるんだからすごい。 小さいからみんなより早くお腹がすいちゃうんですね。 あ、・・・もう聞こえてきた。ほら、すごい声だねー」 と説明?解説?してくれました。 でも、生後数ヶ月の我が子が、疲れて、腹を空かせて、泣いているのに、感心していられましょうか? 当時その園舎で一番月齢の小さかった息子が、あらん限りの力を振り絞って泣いているのに、いかに『大きな声』だとて、感心していられるもの? 保母さんは岳志の泣く力、腹筋・肺活量・声帯の強さを愛で、そして何より岳志の生命力の強さを言祝いでいてくれたのだと思います。理解はするけれど、あの泣き声を聞いていたときの切なさは忘れられません。 集団の中に預けていなければ、こんなに泣かせずに済んだのではないかと思いながら聞いていた、あの泣き声。 集団じゃなくたって、兄弟だって、どちらかの都合に合わせて片方を泣かせなければならない場合があるし、そんなふうに泣きながら、子どもは強く育って行くのだと、保育園に入れたから分かったのです。 泣かさないのがいいことではなく、泣かせることが必要な場面も多々あるのだ教わったことは、ものすごく自分のためになったと思います。 「そうかそうか。お腹がすいたんだね」 という共感は、泣いている子どもに与えよう。 「いい声だ。鍛えられたいい体だ。感情表現の芽生えだね」 という評価は親に与え、保育者は育ち行く親子を応援しよう。 そんな保育園でした。 子どもが泣かずには成長できないように、時に胸にさざなみが立つことも親業なのかと思います。
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ルコラニコラ「笑うスイーツゴージャス★カワイイ」
2007/12/24(Mon)
笑うスイーツは素直に笑って見ていられたんだけれど、なんだかこれはひっかかる。 『食べ物で遊んではいけません』よ。 笑うスイーツゴージャス★カワイイ
笑うスイーツゴージャス★カワイイルコラニコラ, 中村 史 / 学習研究社 (2007/11) どうも自分は市販の麩菓子を指で押して作るモアイ像とか、銘菓ひよこに一部穴をあけて窓とし、オレオをタイヤにして作る自動車とか、完成しているものを壊すところに違和感があるみたい。 既製品にプラスアルファするのはいいけれど、「出来ているものを壊して作る」ところに玩ぶ感じを受けるようです。 うかつに子どもには見せられない本だと思います。
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ガリレオと日本物理学会
2007/12/22(Sat)
ガリレオの記事のことを教えてくれたのはJ大学の物理の先生。 日本物理学会のページ. http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/Galileo/GalileoTV.html 「このような記事を物理学会で見たのは初めてです」 と、彼は言いました。 ・・・・そうでしょうとも。
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福山雅治「f5.6のハロー 1/125のサヨナラ」
2007/12/22(Sat)
「そうか、ガリレオってこういう景色見てたんだ」と、思いっきり空想が広がります。福山雅治写真集。 福山雅治 写真集 f5.6のハロー 1/125のサヨナラ
福山 雅治 / 小学館 (2006/11/22) しかし、写真家の写真ってどう評価していいか分かりません。どの写真もいいような気もするし、どうでもいいような気もする。結局は 「5000円もする本なのに、この装丁は寂しすぎるよ」 なんて感想しか浮かばない・・・・。
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青江美智子「お寺に嫁いでしまった。」
2007/12/21(Fri)
おぼうさん、はじめました。はもう読まれましたか? あの彼岸寺系列のお寺さんの話です。 お寺に嫁いでしまった。
青江 美智子 / 扶桑社 (2007/11/09) 結婚と同時に三世代同居、子どもが生まれて4世代同居なんて、お寺さんでなくたって大変。 「よかれ」と思って言ったことやしたことが、良い結果になるとは限らない。けれどよかれと思わないことには、異文化理解は始まらない。 総て結婚は異文化交流の場だという私の持論が、ますます強化された1冊です。 現代の仏教のあり方を模索する著者の夫の活動は、これからどうなって行くのか。幼子を抱えながら、旧仏教界との軋轢に巻き込まれていくだろう著者の、続刊に期待します。
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ハマダルコラ「笑うスイーツ」
2007/12/20(Thu)
パーティーで受けを狙う時、子どもを喜ばせたい時、必見です。
笑うスイーツ
ハマダ ルコラ, 大森 いく子 / 学習研究社 (2004/12)
この手間を自分がかけるのは嫌だけど(自分で作るならこんなデコレーションする間に早く食べたいよ)もらうなら最高。味の他に確実に「笑い」や「明るい気持ち」をもたらしてくれるでしょう。 頭頂部にあんこをつけないおはぎ:おはげ 目と口に当たる部分をくりぬいた上でびよ~んと伸ばして作るワラビもち:さけびもち などは、きっと大人も唸っちゃいます。 (さけびもちは黒蜜がかかると臨場感が増します。ちょっと恐いかも)
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示威行動
2007/12/20(Thu)
昨日遅番で帰り着くと、家の脇の柿の木にクリスマスイルミネーションが音無く瞬き、家の電気は全て消えていました。 鍵を開けて家に入れば、玄関には息子のランドセル他、明日の朝出かける準備が万端。そして、ランドセルの上にセットされているのがフリスビー。 一昨日私が同僚にいただいたもの。 登校前に裏の神社でフリスビーを試す気持ち満々ですな。 朝の七時半、いったい誰が相手をするのでせう・・・・。
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鈴木輝一郎「日本語の逆襲」
2007/12/20(Thu)
4コマまんが付き雑学書。 漫画だけ先に全部読むと、パターンが読めてつまらないです。ごはんとおかずは交互にいただきましょう。 日本語の逆襲
鈴木 輝一郎, ザビエル山田 / 小学館 (2007/09) 『二度あることは三度ある』の項は面白かったです。 校正と校閲の違いとか、三回の校正の呼び名(初稿・再校・念校)とか。
ところで、なぜ原稿が印刷所に入ったとたん、「稿」ではなく「校」になるのか。実は「校」には『並べて比べる』の意味があるから。原稿と試し刷りを比べるためですね。
と聞くと、「では学校は何と何を並べて比べるところなのか?」と思ってしまいます。 お手本と生徒作品を比べるのが学校。大学まで行けばもう手本と並べて比べられることはない・・・・ということでしょうか。
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川田ゆかり「いつまで産める?わたしの赤ちゃん」
2007/12/19(Wed)
生殖医療の進歩は、希望と絶望を引き延ばすものだと思います。 いつまで産める?わたしの赤ちゃん いま、不妊治療・生殖医療ができること~自然妊娠から卵子提供・代理出産まで
川田 ゆかり / 実業之日本社 (2007/07/31) 知らなければ選べないから、全ての人に、早い時点で読んで欲しいと思います。 今日の読売新聞にアラフォー(アラウンド40。40歳前後)の初産が増えているという記事がありました。 40台になると、一般的には自己卵子での妊娠は難しいといつまで産める? わたしの赤ちゃんには出ていました。 産める人がいるというだけで「自分も40歳過ぎても産める」という印象を新聞の記事が与えてしまうのは恐いことだと思います。 生きている女性の体の中で卵子は老化する。かといって体外での冷凍保存は不可能。受精卵の冷凍保存ができてなぜ卵子の冷凍保存ができないのかわからないけど、今日でも卵子そのものの老化を妨ぐ術はないということです。 自己卵子での妊娠を望むなら「不可能ではない」というだけの40台を待たない方が安全です。 かてて加えて、日本国内では40歳を過ぎると0歳児を養子にすることが出来なくなるというガイドラインがあるそうです。 40歳は、かつてのクリスマスケーキや大晦日とは違う厳しさを持ったラインなのですね・・・・。
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フラナガン「世界文学のスーパースター夏目漱石」
2007/12/19(Wed)
海外(主に英語圏)から、夏目漱石はさしたる評価を受けていない? そういえば以前テレビ番組で夏目房之介さんが祖父漱石のイギリス留学時の下宿を訪ねる企画があったけれど、近くに住んでいる人は誰も、夏目漱石の名前を知りませんでした。
世界文学のスーパースター夏目漱石
ダミアン・フラナガン, 大野 晶子 / 講談社インターナショナル (2007/11)
英米人は川端や三島のように日本らしさを全面に打ち出す作家を高く評価し、日本らしさで目を引かない漱石には無視されがちなのだと著者はいいます。 漱石には世界に誇りうる普遍性があるゆえに、日本らしさを求める日本文学研究者に仇されて、正当な評価を受けていないのだと。 言文一致の黎明期に、口語に近い近い書き言葉を模索しながら書き綴った小説に躍動感があるのは素晴らしい。 漱石、鷗外は近代日本語の生みの親と思ってきたし、彼らの築いた基礎の上に大江や村上という花が咲いたのだと思っていたけれど、漱石をシェイクスピアに比すイギリス人の本に会って、もう一度漱石を読んでみようと思いました。
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石寒太「冷や酒と君の科白は後で効く」
2007/12/18(Tue)
タイトルになった冷や酒の句は内田春菊作。 後ろ盾(TaKaRa酒文化研究所)への挨拶の意味もあって取られた句なのでしょう。 冷や酒と君の科白は後で効く―七人の句会
石 寒太, 高橋 春男, 冨士 真奈美, 吉行 和子, 内田 春菊, ねじめ 正一, 吉川 潮 / TaKaRa酒生活文化研究所 (2001/10) 句会の様子がライブ中継のように伝わってきて面白いです。“句会”。なつかしいなあ。もう18年も出ていない・・・・。 さて、このお宝句会は俳人である宗匠の他は作家・詩人・女優・漫画家と、言葉を商売にしている人ばかりで、宗匠絶対でないめずらしい句会です。 他に「めずらしい」と感じたのは、俳句を『書く』という言い回し。 俳句を書く?? 俳句は詠むもの、作るものじゃないの? ときどき「ひねる」人もいるけれど。 「俳句を書く」と言われると、俳句を書き写しているような気がします。何故だろう。 小説を書く。詩を書く。 歌を詠む。句を作る。 この違いはなんなのか、明鏡の北原先生に聞いてみたい・・・。
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森博嗣「工学部・水柿助教授の逡巡」
2007/12/17(Mon)
森博嗣作品はアンチ・ハウスしか読んでいなかったので、小説家森博嗣に触れるのはこれが初めてです。 工学部・水柿助教授の逡巡 (GENTOSHA NOVELS)
森 博嗣 / 幻冬舎 (2006/01) 50ページくらい読んでから、「およ、これは水柿助教授登場の巻じゃなくて、前作があったんだ」ということが判明。こちらは読みさしにしておいて前作工学部・水柿助教授の日常に戻るべきか?と迷いました。 ええいママよと読むことにしたけれど、駄弁が多くて本筋の進みが遅く、ちょっといらつきます。 『そうは烏賊の天婦羅』のような、意味は分かるんだけど無駄なことも多い文章。本人(水柿助教授)も言っていたけれど韜晦ぶりがお茶の水あたりの哲学教授(ツチケンですね)に似ています。人間は考えるFになるで対談しているからこういう話も遠慮なく書けるのか? (人間は考えるFになるも読んでいましたが、土屋本として読んでいたので今の今まで忘れていました) 知らざぁ言ってきかせやしょう、生まれも育ちもなんとかの・・・・と、本筋と離れたストーリーを聞かされる日本の伝統文化(さしはさまれるサイドストーリーを楽しむ文化)が、こういう小説を生み出すのかもしれないなあ、と思った水柿助教授の長舌でした。
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ありがとうワシントン
2007/12/16(Sun)
クラブワールドカップ浦和レッズ第三位決定 ワシントン総身に知恵ある大男手放しで泣く最後のピッチ 明日の飛行機でブラジルに帰るワシントン。 ゴールを決めたときのその笑顔が、明るさが、大好きでした。 ありがとう、さようなら。
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中園健司「ジャッジ」
2007/12/16(Sun)
脚本家本人によるノベライズ。 ジャッジ―島の裁判官奮闘記 (角川文庫 ん 26-1)
中園 健司 / 角川書店 (2007/10) 本を読んでからドラマを見た方が面白いかもしれません。本では「○子は微笑んだ」「◎子は微笑んだ」しか書いていないところで、印象的な表情を見せていた女優さんたち。役者って素晴らしいです。 ドラマの最終回に、三沢裁判官が街角で家族と買物をしているとき、かつて三沢が実刑判決を与えた男に会うシーンがありました。裁判所で激高した男の姿を思い出し、三沢は家族を庇うように、家族の前に立ちます。 男はお礼参りに来たわけではなく、本当に三沢に礼を言って去るのですが、三沢の立ち位置だけで(逆恨みされかねない)ジャッジの難しさを感じたことでした。 小説だけ読むとそういうことは感じられません。 五話分を一冊にまとめているから「好きだったシーンがない」ということが起こるのは仕方がないです。 昔角川書店が「読んでから見るか、見てから読むか」というコピーを流していたけれど、私は読んでから見る方がいいと、今頃答えてみたのでした。 さあ、探偵ガリレオ (文春文庫)を読んでしまわないと。 久米宏の木島教授でイメージが固まらないうちに原作を読もう!(間に合うか? 放送は明日なんだよね)
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「スマイル―聖夜の奇跡―」
2007/12/16(Sun)
一家で映画「スマイル」を見てきました。 予定調和な展開で、先が読めるんだけど、笑える、泣ける、ほんとによく出来ています。 子役の演技に無理がなくていいなあと思っていたら、子役にアイスホッケーを教えたのではなく、アイスホッケーをやっている子どもに演技を教えたのだとか。 主役の子(立花裕大)が《役者じゃない》なんてちょっと信じられませんでした。 こりゃ陣内監督を褒めないと。 音楽「THE LITTLE DRUMMER BOY」が本当に印象的に使われていて、音楽の幸せを感じます。 観客席の森久美子(役は選手の母親。オペラ歌手志望だった)が朗々と歌いだすシーン。 歌わずにいられない高揚感がよく分かるし、自らの体を楽器として鳴らすことのできる技術が、なんともまぶしく思えます。 ラパパンパンラパパンパンラパパンパン鍊 これからもこの歌を聞くと思い出すでしょう。 大漁旗や『一攫千金』の横断幕で応援されていた、奇跡を信じるスマイラーズの少年たちを。
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たかはしみき「まいにちトースト」
2007/12/16(Sun)
少し早いですが、おせちに飽きたらトーストだ。と決めました。 トーストって、朝食だけでなく甘いおやつやお酒のつまみのスナックにもなるんですね。ドーンと人を逸らさぬメイン料理にもなるし。 それがみんなおいしそうに描かれていて、ああトースト、侮りがたし。 まいにちトースト (Rucola books)
たかはし みき / 技術評論社 (2004/11) 著者はあの「こげぱんシリーズ」絵本を描いた人です。本当に擬態語の使い方が上手くて、食欲をそそります。 溶けて「みょーーーーん」と伸びるチーズもあれば「みみょううううん」と伸びるチーズもある(チーズの種類にとって擬態語も変わります)という具合です。 サクッ、バリポリ、パリパリ。 きっとこの美味しい瞬間を描いた直後、作者も台所に何か美味しいものを取りに行っただろうな、と思える絵が満載。本を閉じるときは「ごちそうさま」といいたくなります。
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息子の年賀状
2007/12/15(Sat)
息子は筆不精です。 およそ一年前になる今年の正月、 「ほら、あきなちゃんも楓ちゃんも岳志に『おめでとう』って書いてくれてるよ」 と水を向けても 「分かったからいい」 という返事。 親は返事を出すことをうながしているのですが、本人は 「年賀状の目的は『おめでとう』をいうこと。ぼくはあきなと楓が『おめでとう』と言ってるのが分かったのだから、ふたりの年賀状はミッションコンプリート」 と思っているらしいです。 『もらった年賀状には必ず返事を出さなければいけない』と思いすぎて、賀状をもらうのも嫌になってしまってはいけない。そう思って、親として賀状をくれた子どもたちに心のうちで詫びながら、そのままにしたのでした。 それがこの師走、岳志が自分で 「年賀状を書く! 筆ペン貸して」 というではありませんか。 幻聴かと思ったら現実でした。10枚くらい書きました。 「AさんよりBさんの方がよく一緒に遊んでいるのに、Bさんに出さないの?」とか 「げ、『元旦』が『完旦』になってるよ」とか、思うことは数々あれど・・・・・、飲み込みました。 息子は今、書きたいことを書きたい人に書いています。 「Bさんにも出せば良かった」 「『完旦』は元旦じゃなかったのか」 なんてことはみな、息子が経験すべき思いであり、発見です。 だから黙って書かせています。 (黙っていたらストレスがたまって、ここに書いてしまいました)
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三浦しをん「仏果を得ず」
2007/12/15(Sat)
ばかに硬いタイトルだし、私の全く不案内な古典芸能の世界が舞台と聞いたし、借りてから12日間積んだままでした。が、読み始めた途端、ハマリました。 持っていかれましたよ、魂を。 仏果を得ず
三浦 しをん / 双葉社 (2007/11) 文楽なんて知らなかったし、読み終わった今もどんなものかよくわからないけど、それは正月の教育テレビを見ていれば分かるでしょう。文楽を知らなくても、義太夫を聞いたことがなくても、ぐいぐい引き込まれて、ガラスの仮面を読んでいたときと同じ感じがしました。もう、目が離せないという・・・。 ガラスの仮面と違うのは、失速することなくゴールを駆け抜けるカタルシスがあることです。 主人公が実生活、体験の中で何かを摑み、語りの内容を深めていくところは、自分が天啓を受けたような気がします。行間を吹く風の音が聞こえる感じ。 主人公を迎える観客の熱気が、読んでいる自分に迫ってきます。 文章は派手ではないけれどリズミカルで、ときどき笑わせてくれます。 相三味線の兎一郎と一緒に、師匠である銀太夫のライバル砂太夫に教えを乞いに行くとき
地獄から這い出てきたばかりのように不機嫌な顔をして、兎一郎もいやいやながらついてきた。
のですが、砂太夫にすげなく追い払われると
兎一郎は怒りのあまりか、地獄から這い出てすぐに子犬を二、三匹蹴り殺した極悪人のような形相になって
いたりするのでした。 若い女と甘いお菓子に滅法弱い、我がまま老人銀太夫。実は芸には非常に厳しく、己の芸と後の世の芸を背負う弟子のためには労を厭わぬ人間国宝。 一老人の二つの面が矛盾なく描かれ、違う面が現れるときが本当に鮮やか。お流石!と膝を打ちたくなります。 (このお話をまんが化するなら波津彬子さんがいいなあ。ドラマ化するなら兎一郎を仲村トオル、月太夫を西島秀俊でどうかなあ、・・・などと妄想が奔る奔る) 物語はお正月の風景で終わります。 スッキリした気持ちで年を越したい方は、帰省のお供にぜひこの一冊を入れてください。
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マリと子犬の物語
2007/12/09(Sun)
一家で映画「マリと子犬の物語」を見てきました。 崩れた家の下で、宇津井健おじいちゃんが孫娘を抱きながら、「おれはもうだめだ。神様、この子だけは助けてくれ」というところで涙の堰が切れました。 今も、目尻が沁みるように痛いです。 映画がはねてから「ぼく10回くらい泣いちゃったよ。母ちゃんは?」と息子に聞かれました。 「母ちゃんは一回さ」 「うそだ。母ちゃん、ハンカチ出して泣いてたじゃん」 「うそじゃないよ。母ちゃん、1回泣いたら泣きっぱなしだったから1回だけなの」 「なーんだ。ぼくなんか、10回泣いたけど袖で足りたもんね」 ハンカチを使いなさい・・・・、息子よ。
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細谷喨々「二日」
2007/12/08(Sat)
俳句の季語で「二日」と言ったら、問答無用で1月2日のことです。もちろん新年の季語です。 二日―細谷喨々句集 (リブロ・件 1)
細谷喨々 /ふらんす堂 2007/09出版 そして「二日」は、俳人細谷喨々(本名は細谷亮太さん。聖路加国際病院の副院長を務める小児科医)さんの誕生日でもあります。 同じ人が書いた句ばかり集めた個人の句集なのに、どうして目の前に立ち上がる一句と、紙の上に横たわるままの句があるのか、ちょっと不思議な気がします。 今朝私の前に立ち上がった句は
水痘疹はなやかに子はラムネ飲む
です。 病気も快方に向かって、少し熱の残る体に、ラムネはおいしいでしょうね。 水痘疹の痕さえも、快癒のはなやぎを感じさせます。 ラムネつながりで(句としてはいいのか悪いのかわからないけど)「日野原先生九十五歳」という詞書きのある
八十年ぶりのうまさとラムネ飲む
があります。 ラムネとはまさしく15歳を象徴する味なのでしょう。八十年ぶりに15歳の味を味わえるなんて、長生きはするものです。
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尾崎浩一「危ない!共同出版」
2007/12/08(Sat)
共同出版という名前で自費出版を請け負う新風舎。 危ない!共同出版―夢を食い物にする錯覚商法
尾崎 浩一 / 彩図社 (2007/08) ブックストア・ウォーズ暴れん坊本屋さんを読んだ後でこれを読むと、本当に頭に来ます。
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碧野圭「ブックストア・ウォーズ」
2007/12/07(Fri)
うおおおおお。おもしろーーーーーーい! ブックストア・ウォーズ
碧野 圭 / 新潮社 (2007/10) 唸りをあげて読んじゃいました。 前半は勝ち犬負け犬の女のバトル。「ぬけぬけと」生きている若い者が許せない理子の気持ち、よーくわかります。 対して男たちにもてはやされながら、実は男が自分を尊重してはいないことを見抜ける若い女、亜紀。 女同士の争いを書いているようでいて、書店員、作家、編集、(出版社の)営業の様子がザクザクと書き込まれています。これが後半に生きてきます。 理子の店長昇格とともに、後足で砂をかけるように出て行く男性社員たち。女に使われたくないというプライドと保身の計算しかない男の卑劣なことったらありません。 沈みかける船から逃げ出す、ネズミのような男正社員たち。 閉店の危機に立ち上がるのは女と、契約社員にアルバイトたち。 これでもかの逆境の中で理子を支えたのは、亜紀。 亜紀の窮地を救うのは、理子。 いがみ合った前半があるだけに、人って柔軟で強いものだなと感動してします。
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デュランれい子「一度も植民地になったことがない日本」
2007/12/06(Thu)
オランダで、オランダの旧植民地スリナムからやってき掃除係の女性が著者に「日本の間マスターズ・カントリーはどこなんですか?」と聞いたそうです。 一度も植民地になったことがない日本 (講談社+α新書)
デュラン れい子 / 講談社 (2007/07/20) マスターズ・カントリーとはなんのことか分からず、ぽかんとする著者。女性は慌てて「ごめんなさい。『どこですか』ではなくて『どこでしたか』と聞くべきでしたね」と言い直しました。 そこでやっと宗主国を聞かれたのだと分かった著者が 「日本は一度も植民地になったことがないんですよ」 と答えると、今度はそのスリナムから来た女性の方がぽかんとする番でした。 「同じ有色人種なのに、なぜ日本人はマスターズ・カントリーの住人と同等に生活できるの」? 答えはこの本に書いてあります。 けれど、答えはあくま「でデュランれい子さんが感じたこと」ですから、読み手はこの本を入り口にして、さらに考察を進めねばなりません。 日頃なにほどのことも考えていない自分には、多くのとっかかりを示してくれる本でした。
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阿保昭則「大工が教えるほんとうの家づくり」
2007/12/05(Wed)
ハウスメーカーがと日本政府が、大工の腕(水準)を落としているという主張、よくわかります。 大工が教えるほんとうの家づくり
阿保 昭則 / 文藝春秋 (2007/10) 異論はもちろんあるでしょうが、一読一聴に値する意見です。 腕の立つ大工の見分け方とか、化学物質過敏症に天然素材のログハウスが危ない理由とか「そうだったの」と思うことがたくさん出てきます。
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しっかりしてくれ紀伊國屋書店
2007/12/05(Wed)
ノーベル文学賞作家大江健三郎が「臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ」という本を出しました。 文語体の長いタイトルは、その長さにも関わらず軽快です。 「臈たし」とはまた最近見ない言の葉、ロウタシでいいんだよね? と思いつつ不安になって紀伊国屋書店のサイトで調べてみました。 果たして(ロウタシアナベルリイソウモウタチツミマカリツ )と読みが入力されていました。・・・・おいおい。 売る人がそれでは困るでしょう。作家がみたらソウケダツかも令
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小澤實「俳句のはじまる場所」
2007/12/04(Tue)
こういう指導書も、ついついアンソロジーとして読んじゃうから、実作が上手くならないんですね・・・・。 俳句のはじまる場所―実力俳人への道 (角川選書 410 澤俳句叢書 第 5篇)
小澤 實 / 角川学芸出版 (2007/07) 美容院でこの本を読んでいて、寺山修司の句に再会しました。
目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹 林檎の木ゆさぶりやまず逢ひたきとき
頭にいっぱいカーラーを巻いたまま、腕のついたテルテル坊主のような姿のまま、心は一瞬で空を翔け野を奔り、世界を駆け巡りました。 17歳で寺山の句と歌に会えた自分は、本当に幸せだったと思います。 明日職場に行ったら「凛然たる青春―若き俳人たちの肖像」を起案しようと決意して、シャンプー台へ赴く私。 そこにどんなBGMが流されていようと、耳の奥には林檎の葉ずれ。 17歳の寺山修司が、今もどこかで林檎の木を揺すぶっているのです。
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