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得能史子「まんねん貧乏」
2007 / 09 / 30 ( Sun ) 10:22:32
格差社会をゆったりと生き抜こう。 金がなくても昼寝が堪能できるじゃないか。 まんねん貧乏
得能 史子 / ポプラ社 (2006/11) いや本当にポプラ社はいろんな本を出すなあ。本領(子どもの本)は大丈夫なんでしょうか。 この作者は貧乏を苦にしてません。本当に苦にしていたら、 「あなたが悪いんじゃなくて 一人暮しが素敵過ぎるの」 と結婚を断ったりしないでしょう。 断られた人たち(複数形!)はさぞびっくりしたことだろうと思います。アルバイトで食いつなぐ漫画家(イラストレーター?)の彼女、優雅な独身生活ならぬ極貧の一人暮しなんですから。 それがどうした風の吹き回しか(失礼)、外国人の男性と結婚して、まんねん貧乏二人暮らしがスタートします。 夫は家賃(6万円)、妻は光熱費を払います。食費は二人が2万円ずつ出して1ヶ月4万円でやりくり。 通帳は二人が別々に会計管理するという新しい(?)夫婦ですが、著者が自分のパートナーを「主人」「主人」と書くのが目障り。 (「自分の人生の主人は自分だろう。しっかりしろ」と言いたくなっちゃう) 癒されるかイライラするか、評価の分かれる本です。 私は・・・・羨ましいです。 お金がなくても毎日昼寝して、うららかに過ぎていく時間。この精神の持ちようは真似しようとしてできるものではないと思います。
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野田峯雄「プリンセス・マサコ」の真実」
2007 / 09 / 30 ( Sun ) 00:48:04
削除改ざんされた講談社の「プリンセス・マサコ」と先日発売された第三書館の「プリンセス・マサコ―完訳 菊の玉座の囚われ人」を比べ合わせ、検閲者の意図を読み込む、という本。 「プリンセス・マサコ」の真実―“検閲”された雅子妃情報の謎
野田 峯雄 / 第三書館 (2007/08) 趣向はいいのだけれど、結局発売取りやめになった幻の講談社版「プリンセス・マサコ」をどうやって手に入れたのか。 確かにそれが講談社が用意していた出版直前原稿なのかという根拠を示さずに比較されても、いまひとつ説得力がないなあ。 この本を読んで分ったのは、皇太子夫妻が誰にも守られていないということ。宮内庁は「侍従長渡辺允」名でベン・ヒルズ氏に書簡を出し、天皇と皇后に関する記述について糺しています。が、東宮大夫は何もしていません。皇太子妃がテーマの本なのに、天皇の世話係が天皇の記述について異議を申し立てているばかり。 日本人としてこんな(日本人のあらかたが信じないだろう)下卑た噂話は載せなくていいのに、と思った部分があったのですが。「明らかな中傷記事は引用しないで」と東宮大夫に言って欲しかったと思います。 東宮職(皇太子夫妻の世話係)は書かれていることの全てが事実と認めていたのでしょうか? 明らかに事実でない部分に文句を言うと、それ以外の部分は「明らかに事実でないとはいえない」ということになるから、黙っている方が得策だったのかもしれません。

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ベッカム「おしゃれの掟」
2007 / 09 / 29 ( Sat ) 07:21:08
サッカースターのベッカムがおしゃれの本を出した!わけではありません。著者はヴィクトリア・ベッカム。 おしゃれの掟 (GLAMOROUS BOOKS)
ヴィクトリア・ベッカム, 雨海 弘美 / 講談社 (2007/06) 実用的実践的に役に立つことが皆無の本だったけど、珍しくて面白い話がいっぱい烈 驚き度合い黎ヴィクトリアの顔は10分で出来上がる。咽 スゴーク化粧に凝った顔だと思っていたら、たった10分のスピード化粧だというのでビックリ。もっとも速さだけなら私も負けはしない?! 驚き度合い麗翌日のコーディネートは前日のバスタイムに考えて置く。3人の子持ちはワードローブの前でグズグズしてなんかいられない。 前の日の晩に(毎日!)翌日の着るものをじっくり考えるなんて、さすが歌手。日々刻々が自己表現なのねー。 驚き度合い驪露出度の高い(ブラジャーを付けられないようなタイプの)ドレスを着るときは、ウィッグ用のテープであちこちを固定する。裂 上半身に用いる布地を倹約する競争をしているのかと思うときもある、イブニングドレス。乳房は隠すものではなくギリギリまで見せるもの。 だけどどうやってあのギリギリを実現させているんだろうと、私には不思議なことでした。 それがやっと、疑問に思いはじめて4半世紀以上かかって、やっとわかりました。 強力粘着テープでドレスを肌にくっつけていたなんて。その用途専用のテープが売られているなんて。まあ。 砂時計型のシルエットにこだわるヴィクトリアが、仮縫い中の「これ以上きつくすると座れませんよ」というお針子の忠告を無視し「それならずっと立っているからいいわ。もっときつく、もっとタイトに」といい続けたドレスがありました。 いざパーティーの当日、お手洗いに行きたくなったときヴィクトリアはデイヴィッド(今度こそサッカー選手のベッカムです)についてきてもらいます。とても一人でジッパーを上げることが出来ないから。 しかし、デイヴィッドが妻の背中のジッパーを上げようとするとジッパーが壊れてしまいました。半裸半泣きのヴィクトリア。そのとき彼女を安全ピンで窮地から救出だしたのは、ソウルシンガーのジョス・ストーンでした。
このエピソードの教訓は、「お針子さんに『きつすぎますよ』と言われたら、素直に聞くこと」。素直に聞けないなら・・・・・・安全ピンを持たずに出かけないこと。私は今でもパーティーに出るときは必ず安全ピンを持っていくわ。
つまりヴィクトリアさん、いまだにお針子さんの言うことが素直に聞けないのですね・・・・・・。

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吉野朔実「本を読む兄、読まぬ兄」
2007 / 09 / 28 ( Fri ) 18:46:06
そういえば穂村さんとお友達でしたね、吉野さん。究極の伊達眼鏡(ガラス無しフレームのみ)を掛けた人って、焼き鳥屋でも目立つでしょうね・・・・。 本を読む兄、読まぬ兄 [吉野朔実劇場]
吉野 朔実 / 本の雑誌社 (2007/06/12) さてもさても、尾崎翠をこのように魅力的に紹介した人を他に知りません。
こんな人が いたのか・・・ 知られざる 少女漫画の魂が ここにはある 気がする 萩尾望都 大島弓子を足して 昭和初期で割ったよう 山岸涼子のキレも ちょっと入っている かも
ネームだけ引いても詮方ないのですが、ここに「絵」がつくんですよ。 「明日図書館に走っていこう!」 っていう気持ちになります。なりませんか。 とりあえず私は明日、尾崎翠を借りて来ようっと。

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山田邦紀「明治時代の人生相談」
2007 / 09 / 28 ( Fri ) 09:15:37
明治時代の記者(人生相談担当)ははっきり自分の意見を言います。「不埒千万言語道断これを西比利亜の中原に追いやりたいのである」とまで言っちゃうのでございます。あな面白。 明治時代の人生相談―一〇〇年前の日本人は何を悩んでいたか
山田 邦紀 / 日本文芸社 (2007/06) 今でも万葉集の歌に感動するのだから、一〇〇年前に今と変わらぬ悩みがあったって少しも不思議はありません。むしろ「一〇〇年でこんなに変わるのか!」というところを読みたいものです。 その意味で出色なのがこの相談。
 妾(わたし)は手に相当の芸もあって独立して行けぬこともございませぬが、兄弟どもは早く縁付くがよいと申しますけれど妾(わたし)はいま少し考えてみたいと思います。  もちろん年に不足をいう妾(わたし)でもございませぬけれども、四十過ぎた男で子が三人あるというところですが、どうしたものでせう。 ▼答え お片附きなさい。良縁です。独立して行けぬことはなくても、それは当座の考え。やはり女は襁褓(おしめ)の始末をするのが天職です。
手に職がっても自立はするな。女はおしめの世話で終われって說 私はこの記者を太陽系宇宙の外に追いやりたい。この記者と同じ時代の空気を吸わずに済んで本当によかったと思います。 しかし時代の違いに安心するのは早かったのでした。 息子の教育についての相談では、当時の記者の回答より、記者の回答にたいてコメントした現代の著者の方が噴飯ものです。廉
 いかにもお子さんの成績はよいほうではありませんが、操行が上であるから性質のよいお子と見えます。算術や綴り方がよくないから自然他の学科にも関係しているのでせうから、先に申したように健康に注意し、それとなしに物事に気をつける習慣をおつけなさい。 ◎操行とは規律に従ったかどうかなど、その人の生活態度を見るもので、質問者の子供はこれが上だったというのである。すなわち従順でおとなしいというわけだ。ま、男の子だったら操行は中や下でもいいのではないか。
男なら操行が悪くてもいいってなんなの念 卑しくも物書きなら「男ならよい」というのが「女ならだめだ」と同じ意味だと分からないはずがないでしょう。 女だけは規律に従い従順でおとなしくあれと、今も活字にする男がいる。嘆息です。

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援川聡「クレーム処理のプロが教える断る技術」
2007 / 09 / 27 ( Thu ) 06:30:47
「断る技術」というのが目を引きました。日頃、嫌な仕事を断れたらどんなにいいだろうと思っているので(笑) クレーム処理のプロが教える断る技術
援川 聡 / 幻冬舎 (2004/12) 心構えとしてはうんうんと肯くところ大でした。 でも、私が読みたかったのは「とんでもない要求」「難癖」「いいがかり」にどう答えるか、なんですよね。 「そんな、とんでもない」 と答えそうになり 「それは・・・途方もない」 と頭の中で言い換えて、言いかえにも何にもなっていないのに気付き、絶句する。 そんな私にいい本はないかなー・・・・。

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祐天寺りえ「フランスだったら産めると思った」
2007 / 09 / 25 ( Tue ) 22:01:04
タイトルにひかれて、「産みやすさ」で住む国を選ぶ人の話だと思って手に取った本でしたが・・・・。 フランスだったら産めると思った
祐天寺 りえ / 原書房 (2002/03) 「子どもが欲しい」という意思が弱かったから日本で子どもが産めなかったの? 「子どもが欲しい」という意思が強かったから、子どもを産むために(子どもを産みやすそうな)フランスに移住したの? そんな疑問が初っ端で粉砕されました。著者夫婦はスキーを生活の中心に据えるためにフランスに移住し、住めば都で「ここでなら子どもを産んでも大丈夫」という気持ちになり、3人の子持ちになったのだそうです。 子どもがほしいという意思はごく弱く、日本では諦めモードだったところが「思いがけず」産み育てる環境に恵まれ、方向転換。お気楽育児を試みるに至ったと。 子どもを持つ意思があったり、既に子育てしていたりする人には参考になるかもしれません。気の持ちようで、育児はこんなにも楽になるという例として。 しかし子どもを持つことを逡巡している人には、隣の(フランスの)芝生を青く見せる効果しかないと思います。 むしろ少子化に悩む自治体や国が、この本を読んで参考にしたらいいと思います。その気のない者も産む気にさせる環境づくりの参考になることでしょう。

読書(社会科学) TB:0 CM:0 admin page top↑
老い
2007 / 09 / 25 ( Tue ) 06:16:01
腰曲がる父に噴き出す曼珠沙華 白内障葉見ず花見ずをちこちに いつの間にあふれいでたる彼岸花

テーマ:俳句 - ジャンル:小説・文学


自作歌・句・小説 TB:0 CM:2 admin page top↑
柳美里「黒」
2007 / 09 / 23 ( Sun ) 18:02:49
癌の早期発見を逸することになった事件、末期も末期の闘病中に見た夢うつつ、死後に見る現世、を東由多加になりかわった柳美里が綴る物語。
柳 美里 / 扶桑社 (2007/07/21)
言ってみればブラックファンタジー。 「死んだら終わりだ。死んではいけない」という読後感です。 皮相な読み方ですね。つまり私は物語に「入って」いけませんでした。

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ベン・ヒルズ「プリンセス・マサコ」
2007 / 09 / 23 ( Sun ) 17:09:28
問題は、自分の恋慕がなければキャリアを捨てることも病気になることもなかった女性を「一生全力で守る」ためにどうするか。 プリンセス・マサコ―完訳 菊の玉座の囚われ人
ベン・ヒルズ, 藤田 真利子 / 第三書館 (2007/08) 雅子妃はうつ病だと著者は言います。そうだと思います。 宮内庁は、雅子妃が離婚して皇室を去ることを、そして皇太子が再婚して男児を得ることを、望んでいると著者はいいます。 それはないと私は思います。この状況で皇太子の後妻に入る人などいるわけがないと、いかな宮内庁だって知っていると思うから。 著者は皇室ウォッチャー橋本明(明仁天皇の学友でベテランの皇室番)の談話を引きます。 皇太子は、もし自分と結婚したら
・・・彼と一緒に外国を訪ね、皇室外交ができるだろうと答えた。彼は外交的な役割を求婚の道具に利用したが、それは大きな間違いだった。皇室はただの象徴で、外交活動に加わってはいない・・・そうであってはならないのだ。彼は守ることのできない約束をした。約束をした彼は愚かだったし、それを信じた彼女も愚かだった。
60人の関係者にインタビューしたそうですが、私はこの話が一番腑に落ちました。 恋愛と野球では殺人以外の全ての手段を講じていい、とどこかで読んだけれど、恋をして、出来ない約束をした皇太子を責めることは、私にはできません。 問題は、自分の恋慕がなければキャリアを捨てることも病気になることもなかった女性を「一生全力で守る」ためにどうするか、です。 著者は雅子妃回復のために三つの道があるといいます。離婚、皇太子一家の皇籍離脱、宮内庁の意識改革。そして一番可能性が低い(限りなく無理に近い)のが、宮内庁の意識を変えることだと言うのです。 私は、皇太子夫妻は、国のためにすでに大きな努力(犠牲?)を払ってきたのだから、その努力は報われて欲しいと思います。第三の道で、一家が救われるよう願いたいです。

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専務 島耕作
2007 / 09 / 23 ( Sun ) 09:28:25
週後半は遅番だったので、職場の最寄駅を午前11時過ぎに利用しました。 通常出勤の時間帯にはあいていない売店が店開きしており、平置きされた週刊誌のモーニング、表紙が目に飛び込んできます。 白昼堂々入浴シーン! それも男性、島耕作が、選りによって薔薇風呂に! 一気に勤労意欲がしぼみますぅ。。。。。

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coco「今日の早川さん」
2007 / 09 / 21 ( Fri ) 09:42:37
買っちゃったよー。1000円でこの薄さはつらかったけど、登場人物が岩波文子、国生寛子、富士見延流と来ては買わないわけに行かんでしょう。岩波文庫、国書刊行会、富士見(ドラゴン)ノベルスの揃い踏みでは。
coco / 早川書房 (2007/09/07)
主人公は早川量子さん。ハヤカワと片仮名で書きたくなるような方ですね。もちろんSF好き。 純文学読みの岩波さんや、ホラー大好きの帆掛舟さんにいじられがちです。 (帆掛さんがどこの出版社のファンか分らず、すっきりしません。お心当たりの方は教えてください) 共感することもイタイことも多かったのですが、所詮この方々は書店(含古書店)を徘徊する人。 図書館人の気持ちは波立ちます。 「ダブリ覚悟で購入」「最近はダブりが多くてさ」ってなんなの! 君たち書架狭隘化という恐ろしい言葉を知らんのか。知らんだろう。 複本を避けるために所蔵検索に余念無く、時に涙を呑んで除籍後廃棄する生活なんて思いもよらないでしょう。 本に埋もれようがそれで床が抜けようが、同情に値しない。読まない本まで積んどくような豪奢な生活をしたなら、君たちの悲哀は当然の報いさ。 預かった金でなく、自分の金で本を買うことの自由と、贅沢。ハヤカワさんたちの生活はハッキリ言って羨ましいです。 私にはありません。「置く場所が無い」ことを度外視して本を買う・・・・そんな勇気は。 追記 帆掛舟の謎が判明しました。創元推理文庫のホラー&ファンタジージャンルのマークが帆掛舟(ウィキペディアでは『帆船』と説明されています)でした。

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譜面台に吹く秋風
2007 / 09 / 21 ( Fri ) 00:40:19
村松ゆり子さんのブログ「空色短歌通信」で紹介されていた歌です。栗木京子歌集『夏のうしろ』(2003年7月、短歌研究社刊)より
譜面台に吹く秋風の軽(かろ)さもてわが四十代めくられてゆく
栗木 京子
四十代がめくられてゆく(現在完了進行形)というのだから、四十歳になったばかりではなく、その上に幾つも年を重ねているのでしょう。 秋風にわが人生の白秋を重ねて、明るく歌っています。 音楽を載せた譜面のように、軽く楽しい四十代の1ページ。子育ての責任もひところよりは軽くなり、鑑賞される存在としては引退し、『自由』を手に入れつつある女たち。 わが子がほんの一瞬目を離したことが死亡事故に繋がるような幼児期を過ぎたことと、自分に対して「こざっぱりしてさえいればいい」と見てくれの基準を下げたことが、とても自分を伸び伸びさせていると思うので、ついこんな鑑賞をしてしまいます。個人的過ぎるかしら。 でもねー、容姿の衰えをいちいち気に病んでいたら明日という日が怖くなるじゃないですか。見目麗しさはさておいて、健康な今を寿いでいなければ。やがて来るのは老いと介護の日々なんですから。

テーマ:詩歌集 - ジャンル:本・雑誌


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フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の問題
2007 / 09 / 20 ( Thu ) 09:31:48
ウィキペディアにはいつもお世話になっています。 そして先日、気になる問題を見つけました。 著名人の家族の扱いです。 さだまさし:長男の名前が出ています。命名のとき長男が生まれたときさだ本人が命名の由来を語っていたし、長男自身がすでに演奏活動でデビューしていますから、名前を書いても不都合はないと思います。 小椋桂:次男の名前が出ていません。小椋桂公式ホームページに(サイト名は「薩摩琵琶」だけど)次男のページがあるのですが。 二男は、国内でも数少ない琵琶製作者であり琵琶の演奏者としての活動もしており、どうして名前を出さないのか不思議です。 某女性マンガ家:驚いたことに中学生以下の子ども4人の名前が列挙されています。マンガ家本人は作中で我が子を男①、男②、女①、女②のように表記しており、子どもの名前を出すのを意識的に避けています。 子どもの名前には親としての意識、思想が現れるかもしれませんが、職業的表現活動とは相容れないものです。未成年の一市民である子どもの名前を「有名人のこどもだから」と垂れ流していいはずがありません。 書き込み自由のウィキペディア。 ボランティアが管理するウィキペディア。 もはや国民の財産となりつつあるウィキペディア。 民度が表れるウィキペディア。 使う人、見る人の、人間性が試されるフリー百科事典です。

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私のブログ
2007 / 09 / 19 ( Wed ) 09:18:18
世界で一番、自分のブログが面白いです。私の興味のあることばっかり書いてあるから(当たり前)。と同時に、自分のブログが一番つまらないです。私の知っていることしか書いてないので(当然)。 このブログを読み、コメントや足跡を残してくださるみなさんに、ありがとう申し上げます。コメントや足跡のおかげでつまらなさが半減したり、楽しみが倍増したりしています。 嬉しく、有り難く、感謝申し上げます。 読者に申し訳なく思うのは、私が自分の文章に対して往生際が悪く、一旦記事をアップしてからもよくいじっていることです。語順を変えたり、語句を補ったり。 もちろん文意(趣旨)は変えませんし、明らかに変わるときは「追記」や「改定」と注記しています。 (コメントをいただいた記事は、その後は誤字脱字以外はいじらないようにしていますので、どうぞ安心してコメントしてください) 最初の推敲が甘いんだよと言われればそのとおりです。最初から読みやすく書けなくてごめんなさい。

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鳥越碧「漱石の妻」
2007 / 09 / 19 ( Wed ) 08:48:37
優しさを、家族にだけは向けない夫。 漱石の妻
鳥越 碧 / 講談社 (2006/05/12) 後進に向ける情の細やかさを、身近で見ていればこそ、妻の孤独は深まります。仕事が出来、朋輩に慕われていても、妻子をこんな目に合わす男は更正施設に送りたいです。(『仕事も出来ない男に家庭を守れるはずなどない』という歌詞には罪深いものがあると思います) 私は外面良夫(そとづらよしお)を憎んでいるので、漱石と別れられなかった鏡子夫人が不憫でならないです。子どもたちもかわいそうに。 家族を人と見なさない夫、部下を使い捨ての部品のように扱う男には臍を噛んで死んで欲しい。 日頃妻を蔑み子を疎んじているのに、吐血したときだけ「妻は?」と呼ばわる夫。そこが更正のチャンスだったのに、この小説の中の漱石は体力回復と共に暴君に戻ってしまって残念です。 我ながら、外面良夫(そとづらよしお)を憎むあまり小説を正しく論評できていないと思います。すいません。
2007.9.19改訂版

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関根眞一「となりのクレーマー」
2007 / 09 / 19 ( Wed ) 08:37:48
百貨店の「お客さま相談室」またの名は「苦情受付係」で1300件の相談(!)に当たったという著者の、スリリングな経験談。これはきっとテレビドラマ化すると思います。 となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)
関根 眞一 / 中央公論新社 (2007/05) まず冷静に。次に公平に。自分と客と店、だれにとっても公平なところが「落としどころ」。 言うは易く為すは難しだが、結局はそこなんだと思います。『ゴネ得は許さないが、過ちは改め、過ちを教えてくれた人には感謝する』。 販売業に限らないし、普通に暮していく上でも、これが出来れば敵が少なくなると思います。 言うは易く為すは難いですが。

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米原万里「愛の法則」
2007 / 09 / 19 ( Wed ) 08:17:33
とにかく一読しておけ。飽きさせはせん! と太鼓判を押しておきます。 米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)
米原 万里 / 集英社 (2007/08) 紹介されている小咄にこういうのがあります。 あるところに、貧しいが信仰深い夫婦がいた。ひもじさを和らげるに過ぎない乏しい食事の後も、感謝の祈りを捧げていたら、「三つの願いをかなえてやろう」という神の声がした。まだお腹がすいていた妻は思わず言った。「ソーセージをください」。 空っぽだった皿に大きなソーセージが表れた。夫は「ばか。三つしか頼めないのにソーセージなんか頼むな。こんなものはお前の鼻にくっつけとけ」と妻を罵った。ソーセージはすぐ妻の鼻にくっついていまい、取ろうとするとひどく痛がる。 泣き出す妻。夫は「どうぞ妻の鼻を元に戻してください」と神に頼んだのだった。 というもの。欲張ると元も子もない、と米原さんは言っていたが、この夫は知恵が無いと思います。 最後に「どうぞソーセージを元に戻してください」といえば、大きなソーセージがお皿に残ったでしょうに・・・・。

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きむらひとみ「ダンナがうつで死んじゃった」
2007 / 09 / 19 ( Wed ) 07:41:06
「ダンナ」を飛び降り自殺に至らしめたのは、病気(うつ病)か、疲れ果てた妻か、家族へのフォローなしで重症患者を退院させた病院か。 ダンナがうつで死んじゃった
きむら ひろみ, 岩波 明 / アニカ (2005/05) 人の死を願うことは悲しいこと。願った死が実現しするのはつらいこと。人の死を願うことなく一生過ごせる人は本当に幸せだと思います。 うつ病患者の家族がこんなにもつらいのだということを世の人に知ってもらいたい。そしてなんとか助けて欲しい。せめて、病院は病状の悪い人を無理に退院させないようにしてほしい。 しかし、うつ病の人に読ませたくない本です。 書店で、うつ病の治療の話の脇にこれがならんでいたら?と考えるとぞっとします。

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ティム・ウィントン「ブルーバック」
2007 / 09 / 17 ( Mon ) 23:52:46
子どもから大人になっていく息子の目線で、海と共に暮す母親のドラが、海を守るために何をしたかが語られます。 ブルーバック
ティム・ウィントン, 橋本 礼奈, 小竹 由美子 / さ・え・ら書房 (2007/07) 幼魚稚貝も根こそぎと獲って行く、新顔の漁師。 沖で座礁したタンカー。流れ出した燃料による水質汚染。 リゾート開発業者の、土地を売らない地主(一人暮らしのドラ)への嫌がらせ。 それらと戦うドラ。 作者は書きませんので、大人の読者は自分で想像しなければなりません。ドラの受けた無視、屈辱、嘲り、執拗な嫌がらせ、脅迫。そしてドラの勇気と、迷いと、真摯な情熱と根気、または執念を。 物語の中でドラは「母さんは辛抱強かった」「母さんは諦めなかった」のみで、政府を動かし、自分たちの浜を、環境保護地区にすることに成功するのです。 ときどき、「児童文学はあらすじだけの物語だ」と思います。幼い読者は物語の平板さに耐えられないので、先の見えない地道な努力や、繰り返される単調な生活や、報われる当てのない苦労の叙述はカットされることが多いのだろうと思います。 書かれていないけれどそこにあったろう大人たちの物語(この本の場合、ドラの苦闘と、時間とともに広がっていっただろう理解と共感、支援の輪)を、経験と知識と想像力で埋めながら読み進む必要があります。 これに比べたら、必要なことがみんな書いてある大人の本は、読むのが楽チンだなあと思います。 ドラの陥った難局を、読者として共に乗り越えて見たかったので、読後に欲求不満が残る物語でした。

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安野モヨコ「働きマン (2) 」
2007 / 09 / 16 ( Sun ) 09:01:28
読み進むほどに、ヒロイン以外が光ってくる群像劇。自分は群像劇に弱いんです・・・。 働きマン (2) (モーニングKC (1453))
安野 モヨコ / 講談社 (2005/07/22) 今回は面接の話が白眉です。 機嫌が悪い相手、腹をこわしている相手といっしょに仕事をしなければならないときもある。 そうだよね。そのとおり。 悪い状況の中でも、できうる最高の仕事をしなければならないんです。面接でも実際の仕事でも。

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安野モヨコ「働きマン (1)」
2007 / 09 / 16 ( Sun ) 08:38:43
「買い」かどうか微妙なところでした。 働きマン (1) (モーニングKC (999))
安野 モヨコ / 講談社 (2004/11/22) 主人公は週刊誌の女編集者。 甘い。甘過ぎる。そんなにうまく行くわけないよ。と、つっこみどころ満載です。 しかし そうですか。そうでしたか。そうでしたね。 と、しんみり肯くところも満載。 努力しても報われないことがある(ほとんどだ)と知っている大人が、数少ない上手く行った例だけを読みたいとき、最適なマンガです。報われない例もあるけれど、それは脇役が担当してくれますから。 苦労はしても辛い目にあっても必ず報われる。マンガくらいそうであって欲しいから、やっぱり「買い」かな。

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ずっとさだまさし
2007 / 09 / 12 ( Wed ) 23:59:59
昨日、録画してあった「さだまさしコンサート」(WOWOWで放送したもの)を見て、今朝日刊スポーツ20面のさだまさしインタビューを読んで、職場では「最近話題の本」コーナーに『眉山』の紹介をしてきて、なんだかずっとさだまさし。 放映されたコンサートはファンクラブの会員だけを対象にしたもので、予め会員に「さだまさしの曲で一番好きな曲」アンケートをとり、上位100曲の中から当日会場で抽選を行って歌うという凄い企画。 1階席、2階席、それぞれ隅だったり奥だったり端っこだったりの、見難い聞き難い席の観客に抽選箱を持って行くところがさださんらしかったです。 ニッカンスポーツのインタビューは全面広告のようなもの。NEWアルバム『Mist』が12日発売だから、それに合わせた記事ですね。 最近話題の本がであっても、「個人の趣味でしょ?」とは言われないはずです。映画化に続いて舞台化(明治座)そしてドラマ化(フジテレビ)ですもん。 ・・・・自分はまだ読んでいない本をいかに紹介するか、冷や汗かいて仕事しました。実は小説第一作の精霊流しだってまだ読んでない。これではもうファンとはいえないかも・・・・。 高校・大学時代によくさださんの歌を聞いてました。だから好きな歌は「まほろば」「惜春」「邪馬臺」など古め。 NEWアルバムでは五十肩で演奏が困難になった父に代わって息子さん(桐朋学園大学4年)がヴァイオリンを弾いているそうです。久しぶりに新しい曲を聞いてみようかと思います。

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鳥越碧「兄いもうと」
2007 / 09 / 12 ( Wed ) 22:58:45
正岡子規の妹が、兄を支えに兄を支えて生きる物語。 兄いもうと
鳥越 碧 / 講談社 (2007/07/11) 兄の名は正岡升(のぼる)、妹の名は律。高濱清、夏目金之助らも登場。 彼らが子規、虚子、漱石になっていく間、律はずっと律であり、升の妹でした。 子規が律のことを、「団子が食いたい」と言ってもだめで、「団子を買ってきてくれ」と言ってはじめて団子を買いにいく気の利かない妹と書いていたので、小説のキャラクターと展開は意外であり、引き込まれ、引っ張られ、最後は引きずられるように読みました。
「下女、賄い婦、看護婦に秘書ね。私もだんだんと大役を仰せつかるわね」 「いや、お前には一番先に大役が与えられておろうが」 「なあに?」
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君塚直隆「女王陛下の影法師」
2007 / 09 / 11 ( Tue ) 22:49:51
秘書官の話でした。日本で言うところの侍従役。 女王陛下の影法師
君塚 直隆 / 筑摩書房 (2007/07) 賢明な秘書官がついた王や女王や王配殿下が、生まれ持った資質を国のために生かし、働くことができたのに対し、秘書官に見捨てられた王は・・・・・。 秘書官に見捨てられた王とは、例の「王冠を賭けた恋」のエドワード八世。 公務のさなかであっても私事を優先したいデイヴィッド王子が人妻に恋し、やがて時間や物事にルーズでだらしない王となった彼が、人妻との内縁婚を議会・王族・英国国教会の全てから反対されて、我が意を通すために退位した。 こんな説明を読むと、実は「王冠を無視した恋」だったんじゃないか、恋に殉じたのではなく痴情に溺れたのね、と思えてきます。 (退位後に女性の離婚が成立したので二人は内縁でなく晴れて結婚できましたが、結婚している女性と内縁結婚したいと「王」が望むなんて専横もいいところです) 国王の秘書官は、公平中立でどの会派にも与せず、高い教養と豊かな人脈を持ち、国の内外に目を配る。主君と馬が合うことも大事で、君主に過ちあるときにはこれを庇い、また諌めるが、心は常に君主の味方。 それがよき秘書官。 だとしたら、秘書官に求められる資質は、王に求められる資質と大して変わりません。時に王以上の判断力を求められる職務とも言えるでしょう。 王は間断なく人目に曝される。秘書官は死ぬ前に辞めることが出来るけれど、王は(よほどの不徳のない限り)死ぬまで王であり、余生が無い。という王にしかない苦労がありますので、王と秘書官はどちらも大変な仕事といえます。 今の世の中、王(女王)という仕事は家柄の良さだけでは勤まらないから、秘書官は君主に不可欠です。 家系だけで決まる君主に、選り抜かれた秘書官。 よき秘書官を得た王だけがよき君主になれるのだと思わされました。 映画「クィーン」を見る前にこの本を読むと、映画が倍楽しめるのではないかと思います。

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映画「博士の愛した数式」
2007 / 09 / 09 ( Sun ) 08:47:07
昨年劇場で見たものを、TVで見てしまいました。
映画は・・・大きなスクリーンで見ないとだめです。映画の中の小さな物音が聞こえる環境でみないとだめです。 そうしないと、時間が、映画の中と同じ速度で流れません。 更埴の杏の花の海の中を、とつおいつ歩いていく博士と√。圧倒的に美しかった光景、一瞬のうちに永遠を見るというブレイクの詩の世界だったものが、家のテレビの枠の中に納まった途端、観光旅行の一面広告のように見えてきます。

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浅野素女「フランス父親事情」
2007 / 09 / 08 ( Sat ) 18:08:27
フランスでは父親の出産休暇が2週間。 フランスではDNA鑑定が厳しく制限されている。 フランスは父親に優しいのだろうか。 フランス父親事情
浅野 素女 / 築地書館 (2007/03)
 これまでは、子どもは自動的に父親の姓を継いでいた。それがいまや、母の姓でもいいし父の姓でもいい。ふたつの姓をつないでひとつの姓として子どもに与えることもできる、と選択肢がぐっと広がった。ただし、そのまた子どもには、ふたつある姓のうちどちらかしか伝えることはできない。姓を代々つなげていったら、際限なく長い姓になって収集がつかなくなるだろう。  第一子に与えた姓を、第二子、第三子で変えてはいけない。つまり、同じ両親から生まれたきょうだいはすべて同じ姓ということだ。
複合姓を作るときは二つの姓を二重ハイフンで結べばいいのですが、どちらの姓を先にするかは命名のとき親が選ばなければなりません。 生まれる子どもの親の半数(第一子に限れば6割)が結婚していないカップルだというフランス。「私が父です」と名乗りをあげて、子どもを育てる意思を持つ人が父である国。 子どもに自分の(単姓であれ複合姓であれ)姓を継がせたくない父親がいるかしら。 男女とも生まれたときの名前が生涯を通じての正式名(結婚してパートナーの姓を名乗ったり複合姓にしたりするのは通称)であることを考えると、姓を選ぶのはきっと難しいことだろうと思います。

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小倉千加子「宙飛ぶ教室」
2007 / 09 / 07 ( Fri ) 00:19:41
エッセイです。宝塚歌劇宙組のことがいっぱい出てきます。
宙飛ぶ教室小倉千加子 / 朝日新聞社出版局 (2007/08/07)
ほえー、宝塚でそんなことが起きていたんですか。と、面白めずらしく読みましたが、涙腺に訴えるのは教え子(学生)の話。 湿度の感じられない筆で、一見坦々と書いているのですが、時に不器用、時に愚かな学生を本当によく見ていて、恐いけどいい先生だなあと思います。 (「僕はこの大学に入ってよかったです」という学生に「でも、違うと思うね」と返答するシーンはその最たるものでした) そしてこの小倉先生を育てたのが三島二郎先生。
「あなたは自分のボーナスの額を知っていますか?」  まだ大学に奉職していた頃、三島先生に質問されたことがある。 「もちろん知っています」 「では、学生の授業料を知っていますか?」  私は口ごもった。この間教授会で授業料値上げ案に賛成の挙手を全員がしたばかりだが、その金額は覚えていない。 「私学にありながら、学生の保護者の負担する金額を知らないことは恥ずべきことです。親というものは子どもに学問を身につけさせるために、どれほど苦労しているか計り知れません。学問は教育のためにするものです。そして教育は学生とその親の支払うお金のためにするものです。税金で賄われる官立の大学にあっては、最も肝心なことが忘れられています。直接親の負担する金額を知らずして、どうして学問が出来るでしょう。真の教育は私学においてしかあり得ないものなのです」
という具合でとても厳しそうですが、著者が学生時代に小劇場演劇にハマリ、ゼミを欠席しがちになったときは
先生は暫く沈黙されてから「人生には、無駄な経験は1つもありませんから」と、諦めたような顔をされた。 「まあ、そのうちにあなたも心理学に帰ってくるでしょう」
と言われたんだとか・・・・。 読んでいる最中は自分が楽しかったのですが、「この話をあの人にしたい」「このエピソードはぜひ彼女に教えなくちゃ」などと考えて、読後も幸せが続きます。一気読みした結果の寝不足も仕方なしといたします。

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NHKスペシャル取材班「ひとり誰にも看取られず」4
2007 / 09 / 06 ( Thu ) 22:05:36
4.「自立」より「上手な依存」 明治学院大学教授の佐藤さん(残念ながら姓しか表記されていない)は
「孤独死の背景には“自立”を求める人間観が、人々を“依存下手”にしてしまっているということがあるのではないでしょうか。これは高齢者に限りませんし、介護などで他人の世話になりたくないないという真理とも共通しています。イギリスの精神分析学者フェアバーンが『人間は依存から自立に向かって発達するのではなく、未熟な依存から成熟した依存へと発達する』としたのは、まさに正しいと思えるのです」
と発言していました。 つまり、何でもかんでも「ほぎゃあほぎゃあ(助けてー)」の赤ん坊が、必要なことだけ「これこれを助けてください」と言えるようにするのが育児というわけですね? 「自分のことは自分で出来るようにする」の第一目標だと思ってきたけれど、その上で「出来ないことを見極めて、それを人に頼める」ようにして行かないと、わが子が孤独死するかも知れないのだと思いました。 埼玉県入間郡にある「住民流福祉総合研究所」所長の木原孝久さんは
孤独死には“助けられ下手”という問題があります。助け合いが始まるかどうかは、『助けて!』と言えるかどうかにかかっていますが、今の日本には福祉の担い手の研修はあっても、助けられ上手になる研修はありません
中略
男性は助けを求められないのです。自立とは、助けを求めることも含むと私は考えますが、助けの求め方を教わっていないのです
と語っています。 『助けの求め方』。義父(夫の実父)が非常に助けられ上手な病人だったので、夫は大丈夫だと思います。が、義父はわが息子が2歳のとき亡くなったので、息子にはこれから助けの求め方を教えていかなければなりません。 死に方を考えることは生き方を考えることだと、しみじみ思う「ひとり誰にも看取られず 激増する孤独死とその防止策」でした。

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裴昭「となりの神さま」
2007 / 09 / 06 ( Thu ) 07:45:23
在日異邦人のためのいモスクや教会やガネーシャや寺院が紹介されていて興味深い本です。 裴 昭 / 扶桑社 (2007/06/30) 故国で新しい寺院を作り、それを解体して日本に運んでまた組み立てたという手の込んだものから、プレハブ、賃貸アパートの一室などが祈りの場として機能しています。 豊富な写真と、臨場感のある文章。こんなに身近に、たくさんの神様がいることに驚きます。その神々が、言葉や文化が違う人多くの人の中に住まう同胞を、しっかり支えていることにも。 日本人が移民としてブラジルやハワイに渡ったとき、こんなに熱心に寺や神社を建立し、仏教や神道を生活の基盤・コミュニティーの要として行動することがどれだけあったか。 宗教が支えにならなかったのなら、彼らは何を支えにしていたのか。 この辺不勉強なので、これからおいおい読んで行こうと思います。

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