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小川義男「子ども家畜論」
2007 / 07 / 31 ( Tue ) 16:20:03
すごいタイトルですが、“けだものである子どもを人にするのが親の仕事だ”といった、藤原正彦さんと同じ発想だと思います。 子ども家畜論
小川 義男 / 祥伝社 (2007/06/13) 著者はカリスマ校長と呼ばれる人らしいが教育界での威光は知らず(埼玉県の私立狭山ヶ丘高等学校校長とのみ)、著者としてあらすじで読む日本の名著あらすじで読む世界の名著等のヒットを飛ばした人とのみ認識していました。
 かつて厚生労働省が厚生省であった時代に、「育児をしない男を父親とは呼ばない」というコピーの広告が新聞に登場したことがある。世の中にはさまざまな父親がいる。医師、刑事など公に尽くすことを使命とする職業の人の場合、とても育児のため家庭に長くとどまっていることなど許されないであろう。そのような職責のため、心ならずも育児を妻に依存しなければならない人間はいくらでもいる。その人々も、それぞれわが子を深く愛し、妻に感謝しつつ、家庭と社会のそれぞれの分野を分担するという形で、わが子の育成に深く貢献しているのである。
というのを読むと、おいおいと言いたくなります。 南極越冬隊の隊員や遠洋漁業に出る人になら当てはまると思いますが・・・・。
たしかに、育児は大変な作業であるし、父親も全力を挙げてそれに協力すべきである。しかし、あくまでも育児の本来の担当者は母親でなくてはならない、と私は考えている。
つまり、親の一方が公の仕事で社会を支え、もう一方が育児を担うのは可だが、母親が社会に出て父親が子を育成するのは不可だというのですね。 ううむ。嫌な男だ(笑) あなたが不可だと言っても私は稼ぎ続け、夫は子を育て続けます。 大体どうして「育児の本来の担当者」を定めなければいけない? スポック博士は「主たる保育者」に向けてスポック博士 親ってなんだろうを書いているけど、主たる保育者の性別を限定していませんよ。 男は「協力」すればいいので、育児の主体になるべきではないという本を人に薦めたくないのだけれど、残念ながら面白い本です。 『このとき、私なら半殺しにする』の章なんか、「ええ是非そうしてください。この少年を半殺しの目に合わさずに生き延びさせては、誰のためにもなりません!」と拳を握り締めて読みました。
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水次祥子「これから結婚するつもりですが、何か?」
2007 / 07 / 28 ( Sat ) 19:02:29
よい結婚相手にめぐり合いたくて、よい結婚相手としか生活したくない、結婚に妥協しないポジティブ・バンコン(晩婚)の女たち。 これから結婚するつもりですが、何か?―ポジティブ・バンコンな女たち
水次 祥子 / 阪急コミュニケーションズ (2007/06) ついに独身のまま生を終えようとも、意に染まぬ結婚をするよりずっといい。相手にめぐり合うのが生殖年齢の終わりに間に合わなくてもいい。 だから、たとえ死ぬまで結婚相手にめぐり合えなくてもいいから、感性の合う人との出会いを待つ(老後の備えは自分でする)。 しかし決して「女」を捨てない。いついかなるときにもめぐり合いに備えて肌とスタイルを磨き続けるのがポジティブ・バンコンなんだそうです。 早く結婚したいなら「年収」「学歴」「容姿」などの具体的な基準を持つことが大切。結婚が遅くてもいいなら「感性」というあいまいな選択基準でいいが、自分の稼ぎは必須。 死ぬまで自分を自分で養える人しかポジティブ・バンコンにはなれないわけで、ポジティブ・バンコンを貫ける日本は、安全で豊かな国だと思います。

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モンゴメリ「新月農園のエミリー」
2007 / 07 / 28 ( Sat ) 11:03:33
可愛いエミリー (新潮文庫)の新訳。 新月農園のエミリー
ルーシー・モード モンゴメリ, 池松 直子 / 篠崎書林 (2006/11) マリラとアンは孤児を引き取った老婦人と孤児の関係でしたが、エリザベスとエミリーは伯母と両親を亡くした姪。 血のつながりがあるゆえに濃くなる陰影。 ストーリーは知っていたけど、圧制者のエリザベス伯母が、エミリーに「私が悪かった」というシーンには感動してしまいました。 村岡花子訳に引き摺られず、かといって新奇を衒わず、安心して読める新訳でした。 が、複数回出てきた『愛しない』という訳語には「オーイ。篠崎書林ー」と叫びたくなりました。『愛す』(口語)は四段活用で、否定の『ない』を伴った未然形は『愛さない』になるはずです。校正よろしくお願いします。

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内田春菊「私たちは繁殖している (6)」
2007 / 07 / 25 ( Wed ) 06:31:24
こ、この過激な装丁は「図書館で借りるな。買って読め」といわんばかりですね。 私たちは繁殖している (6)
内田 春菊 / ぶんか社 (2005/09) 10年も繁殖していると、さすがにマンネリしてきます。 自分ちに幼児がいなくなったことも、興味を殺ぐ要因です。 だから、読みどころは嫁舅問題。 嫌なことは嫌という嫁と、天上天下唯我独尊人間万事馬耳東風の舅。 人の話を聞かない人は本当に強いなあと思います。 他人の感情に頓着しない自己中心男のボディーに、どんな拳なら届くのか? 決着は7巻で!(だと思うんだけど、違ったらごめん)

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内田春菊, よしもとばなな「女ですもの」
2007 / 07 / 24 ( Tue ) 23:35:35
先日本屋で私たちは繁殖している 7 (7)を見かけたが、がっちりシュリンクされていて、帯にある「そういうわけで離婚しました」というのが、何番目の夫との離婚の話か分からずじまいでした。 そんなときこの本 女ですもの
内田 春菊, よしもと ばなな / ポプラ社 (2007/07) の発行を知り、すぐさま図書館にリクエストしました。 (私の中では、子どもの本の出版社だと思っていたポプラ社のイメージが変わりつつあります内田春菊, よしもとばななでこの対談を組んだり、ワーキングプア―日本を蝕む病という時事物を出したり) さて「女ですもの」は大人であり社会的に認知された二人の女性が、その仕事上の成功不成功によって損なわれない家族関係を作り上げる経緯を失敗も含めて語りあう対談集です。 人と違うスタイルを選択するのに怯まず、「家庭裁判所に通うのを億劫がっていては幸せになれません」という春菊節。 始めから事実婚で家庭裁判所の世話にはならないよしもとばなな。 二人の間の親しみと尊敬は、自分と異なるものを認められる大人同士の間にしか、存在しないもの。 春菊さんには近づく閉経と50代に向けて、さらにたくましく語り続けてほしいものだとと思います。

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防災の日かプール仕舞いの日に
2007 / 07 / 23 ( Mon ) 23:16:57
防災の日かプール仕舞いの日にでも、市民プールの水深を色いろに設定して、着衣着靴のまま水を漕ぐ訓練が出来たらいいと思います。 子どもは親と一緒の参加。かつ親子は必ず手をつないで移動するという参加ルールを設けた上で、水流のあるプールを使うのもいいかもしれません。水量や水の流れの強さを感じるため、手すりを使って歩いて見てから、ちょっとだけ手を離してみるとか。 もちろん投げ入れる浮き輪やロープを用意しておき、監視人をふんだんにつけて、です。 本当は親それぞれが子どもに危険回避のしかたを教えなければならないけれど、今じゃ親の世代が何が危険かどこまでが安全か分からなくなって来ています。いざ洪水だ出水だという災害時に、あたら若い(幼い)命を散らさぬための訓練をするのも防災の日の意義なんじゃないかと思いますが、いかがなもんでしょう。

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なぜ上着を脱いで飛び込むのか
2007 / 07 / 23 ( Mon ) 21:55:21
昔見たテレビドラマでは、溺れている人を助けようとして若き主人公がシャツを脱ぎ捨てて川に飛び込み、鮮やかに抜き手を切っていました。 私は「どうしてシャツを脱ぐんだろう。やわらかいTシャツより、ごわごわのジーパンの方が、余程泳ぎの邪魔になるんじゃないか?」と思って見ていました。 あれは普段日に当たらない男の生白い足と脛毛を露出するより、筋骨隆とした逆三角形にひきしまった上半身を鑑賞していただいたほうが、主人公がかっこよく見えるからだったんだと、今にして思います。 そして、一般人である主人公が迷わず川に飛び込んで溺れている人を助けるシーンは、かなり罪作りなものだったと思います。 溺れている人は助かりたい一心で、助けに来た人にしがみつきます。それこそ命からがら、思い切りしがみつくでしょう。 そんな状態で、どんな人が自分と相手と二人の命を守れるか、水難救助の訓練を受けていない人にはまず無理だと思うのです。 テレビの影響を受けるともなく受けて、「義を見て為ざるは」という勢いで、上着だけ脱いで水に飛び込んだ人がいたら・・・と思うとぞっとします。 溺れている人を助けるには、驪119番に通報する。麗あればロープやものほし竿のようなもの、なければベルトや洋服を岸から差し出してつかまらせる。黎水に浮きそうなもの(ペットボトルでもカバンでもなんでも)を投げ込んでそれにつかまるよう声をかける、くらいしか私にはできません。 この夏息子に「膝より深い流れに入ってはいけない」と言い聞かせるのに力が入ります。

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プレジデント牧場
2007 / 07 / 22 ( Sun ) 23:29:58
不動の大統領だった「ザ・プレジデント」ですが、新芽が伸び始めました。 そうです。いくらプレジデントでも、一年目で泰然とするのは早すぎます。遊説でもなんでもして、とっとと動いてもらわなければ。 蔓よどんどん伸びなさい。自由党の支持率のように、保守党の得票率のように(伸びてきた芽は2本だけなので左のを自由党、右を保守党と名付けました)どちらも複雑な曲線を描けるくらい伸びて欲しいものです。 ほくほくして伸び始めた芽を見ていると、鉢の回りにたくさん蟻がいるのに気付きました。まだ花もないザ・プレジデントを蟻が見に来るはずがなく、嫌な予感がします。 恐る恐るザ・プレジデントの葉裏を見れば、ああ、アブラムシが一杯。ザ・プレジデントは蟻んこのアブラムシ牧場だった?! 蟻んこが放牧したアブラムシを即、手で潰します。即すなわち速。 即!速!捉!息塞!! 政治家に寄生虫はつきものなのでしょうか? いいえ、プレジデントにこそ清廉であってほしいです。 社会正義に燃えながら、世直しに燃える(アブラムシ退治に燃える)私です。

早咲き中大輪系 TB:0 CM:0 admin page top↑
小学校にプールができたから水の事故が増えた
2007 / 07 / 22 ( Sun ) 22:31:16
昔『河童』だったらしいMGさんが、「水の事故が増えだしたのは、小学校にプールができてからです」と書いておられました。 私も息子もプールでの泳ぎしか知らないので、我がこととして読みました。 プールで泳げたからって、流れがなく水深一定で水底が平らなところで泳げるというだけ。足にからむ水草も、不規則に配置された大小の岩もなく、水温気温を足して45℃以上になるというお誂えらえの条件下で泳げるに過ぎません。 『泳げる条件』を度外視して「私は泳げる」と思っていると、大変な目にあうことになります。 海や川に向かう時は「自分はまったく泳げないわけではない」程度に認識して行ったほうがよいでしょう。 泳力を過信しないよう注意しようと思います。 学校の体育での水泳は、野球やテニスを教えるように水泳というスポーツを教えているので、自然の中で生き抜く力を育てているわけではないんですね。 事故から身を守る方法は親が教えなければなりません。 私はどこかで一度、息子に着衣泳の経験をさせたいと考えていますが、なかなか機会がありません。(うっかり着衣泳をさせると通報されちゃいます、子どもが溺れてるって。) 防災の日かなにかに、どこかの流れるプールで、着衣のまま流れを横切るとか遡上するとかいう訓練が出来るといいのですが・・・・。

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柳田邦男「人の痛みを感じる国家」
2007 / 07 / 20 ( Fri ) 09:19:38
知恵遅れの度合いをはかるテストで、試験管が子どもに質問したそうです。 「お父さんは男です。お母さんは?」 子どもは答えました。 「お母さんは大好きです」。 人の痛みを感じる国家
柳田 邦男 / 新潮社 (2007/04) 天下国家を論じていないわけではないけれど、いろいろなエピソード(冒頭の知恵遅れの子どもの話もそのひとつ)を紹介しながら「この社会を作っているのは私たち一人一人」なのだと語りかけている気がします。 確かに、政治家や官僚が動かなければ国民は守られないけれど、私たちが政治家や官僚を使いこなす「公」を意識しないと何も変わらないのだと思います。

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梅雨晴間
2007 / 07 / 20 ( Fri ) 08:31:07
梅雨晴間をちこちに鳴る花鋏

テーマ:詩歌集 - ジャンル:本・雑誌


自作歌・句・小説 TB:0 CM:0 admin page top↑
会った
2007 / 07 / 18 ( Wed ) 21:56:19
あったあったと小躍りしたくなる俳句に出会いました。
ゐたゐたゐたきのふみつけたかたつむり  細谷喨々
「ゐた」を三度畳みかけたくなる、強い喜び。 生き物が一日生き延びたことへの感動が、容易に止まない強さだったのだと思います。 「ゐたゐたゐた」に勢いがある分、「きのふみつけた」にゆったりした気分が感じられ、「かたつむり」のおさまりのよさといったら、かたつむりの「り」は切れ字なんだなあと思うくらいです。 昨日も今日も生きている。その不思議、有り難さ。 再会は、奇跡なのかもしれません。

テーマ:詩歌集 - ジャンル:本・雑誌


詩句・名言・引用集 TB:0 CM:2 admin page top↑
直木賞は松井今朝子さん
2007 / 07 / 17 ( Tue ) 22:29:02
直木賞は松井今朝子さん。 うーん。そう来たか。 自分にとっては穴でした。明日発注してもらわなけりゃ。 候補七作のうち「吉原手引草」と「玻璃の天」以外は所蔵しているか既に発注済だったので、これはちょっと『参った』結果です。 芥川賞は候補作全てが単行本化されていないから気が楽。受賞作「アサッテの人」所載の群像6月号なら、雑誌架にあり安心です。 こちらの単行本化は早くて8月末というところでしょうか。発売日に手(館)に入れたいものだと思います。

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穂高二番花
2007 / 07 / 16 ( Mon ) 23:54:39

穂高幻想.jpg台風にも負けず、穂高の二番花が咲きました。 一輪だけですが。 一番花より幾分色が濃いようです。 こうして穂高は二番花まで咲いたというのに、一緒にやってきたウィル・グッドウィンは静止したまま。 以前剪定した後脇芽が姿を見せ、5mmくらいまで伸びた(5mmで伸びたといっていいかどうか??)けれど、芽のまま茶色くなってしまいました。 もはや7月半ばですから、剪定するならこれが最後のチャンス。と、思って強剪定決行。 苗として届いたときと同じくらいのボリュームに切り戻してしまいました。 吉と出るか凶と出るか。 ウィル・グッドウィンという、名前に期待したいと思います。

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細谷亮太「医者が泣くということ」
2007 / 07 / 15 ( Sun ) 17:18:20
著者は聖路加病院副医院長(専門は小児科)で俳人。 涙の枯れていないこんな医師が、後進を育ててくれているのは頼もしいうれしいことです。 医者が泣くということ
細谷 亮太 / 角川書店 (2007/06) 行啓した雅子様と接した日野原重明名誉院長の話と、同名誉院長が天皇陛下の隣で居眠りをした話は笑えます。名誉院長ってば、(如何に前の晩が忙しかったとしても)天皇陛下の隣席で眠れるなんて、やはり並みのお方ではありません。 我が家と聖路加病院は地理的に遠いので、もし聖路加病院を受診する必要が生じるようなときは、大変重篤な病気ということになります。だから極力細谷先生のお世話になりたくないのですが、もしも、どうしても困ったときは、聖路加病院を訪ねていこうと思いました。

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後藤田ゆ花「愛でしか作ってません」
2007 / 07 / 15 ( Sun ) 16:33:51
近過去の出版社倒産劇をモデルにした小説。フィクションなんだけど、とーってもリアルで面白いです。 愛でしか作ってません
後藤田 ゆ花 / 講談社 (2007/04/11) マンガに強いK談社、文芸に強いS潮社、書評誌「ミケランジェロ」を出しているMファクトリーなど、お馴染みの出版社を髣髴させる登場団体が興味深く、特に編集者と作家の関係は臨場感あふれる筆致で楽しく読めました。 給料が止まっている編集部員たちが、迫りくる倒産の足音の中で、「作家を守れ」という思いで一致団結。編集部に預かっていた作家の生原稿返送作業をしています。 作業中、外出から戻ってきた主任の「作家より読者が先でしょう」の鶴の一声に発奮。みんなは獅子奮迅で、愛読者全員サービスの3千枚の図書カード発送に取り掛かかります。まさに修羅場。 夜が明ける前に、差し押さえの入る前に・・・・。 文体がちょっとせっかちな感じなので、好き嫌いはあると思いますが、目前で面白い劇を見ているような気持ちになりますヨ。 雑誌が創刊されたり、廃刊したりすることは全然珍しいことではありませんが、休刊した雑誌が再刊するのは珍しく、出版社だけを変えて名も内容も変えずに続刊するのはものすごく珍しいこと。 そのものすごく珍しいことが成るか、成らぬかを怒涛の勢いで書いた物語。現実の倒産は大変なことだったけれど、そこを乗り越えた人たちの今後の活躍を祈りたいと思います。 (注:BLが嫌いな人は、ゴシック体のところを飛ばして読んでください。ヒロインの妄想部分がゴシック体になっていて、飛ばしても本筋に影響ありません)

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青柳いづみこ「ピアニストは指先で考える」
2007 / 07 / 12 ( Thu ) 22:45:08
ピアニストとピアニストになりたい人を育てている人と調律士さんと「のだめカンタービレ」ファンの人にお薦めします。 ピアニストは指先で考える
青柳 いづみこ / 中央公論新社 (2007/05) ピアノ以外の楽器(人体という楽器を含む)をやっている人も、みんな楽しめると思います。 なんの楽器も声楽もやっていない自分が読んでも、へぇ~の連続で、面白い本でした。 演奏者であり指導者である著者にしか書けないことがざくざく出てきて、「業界もの」が好きな私は大満足です。

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尾藤誠司「医師アタマ」
2007 / 07 / 11 ( Wed ) 23:55:10
表題紙裏に奥付が来るという常識破りの本。 既成の、医師と患者の間の壁を、ぶち壊してくれるでしょうか? 医師アタマ 医師と患者はなぜすれ違うのか?
尾藤 誠司 / 医学書院 (2007/03) 奥付の位置はぶっ飛んでいましたが、本文は医師アタマで書かれていて、とても分かりづらいです。横文字や略語、専門用語をなんとかしてもらいたいなー。 医師が読んで、医師さえ変わってくれればいいと思って書いているのかとも思いますが、医師と患者がチームを組んで病気なり怪我なりと闘うというのなら、患者及び患者予備軍が読んでも分かるように書いて欲しいところです。 (オウンゴールの例えはとても分かりやすくてよかった。全編こういう調子でやれないもの?) 著者紹介にも「学歴に威を借りずに等身大で行こう」という気持ちがあふれていました。 まさしく意欲作だと思います。

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三浦しをん「きみはポラリス」
2007 / 07 / 11 ( Wed ) 23:03:42
ポラリスがなんのことか最後までわからなかったけれど、猫の恋愛には感情移入できなかったけれど、読み終わったあとは本を小脇にどこまでーも歩いてみたくなるのでした。 きみはポラリス
三浦 しをん / 新潮社 (2007/05) 好きになる理由なんてみんな後付け。 「好き」という言葉が生まれる前にすでに「捕われて」いるんです。ポラリスの人たちは。 そのどうしようもなさが・・・・切々と迫ってきて、自分もその感情に取り込まれるようです。 しばらくその感情に身を任せていたくて、回り道して帰るわけなんですが、束の間、見知らぬ(架空の)人の感情を体験するのもいいものだと思います。 <追記> ポラリスとは北極星のことらしいです。

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米原万里「終生ヒトのオスは飼わず」
2007 / 07 / 11 ( Wed ) 22:12:29
飼い猫に無理道理という名前をつけた時点で、さすが万里さんだと思います。 終生ヒトのオスは飼わず
米原 万里 / 文藝春秋 (2007/05) 毛深い家族との交流もいいけれど、万里さんが犬や猫のために回りにいる人を引き込んだり巻き込んだり誑し込んだりするさまが、なんとも可笑しいです。 振り回された人の多くが「なんであたしが(こんな目に)」と思っていたでしょうが、その人たちは万里嵐が去った後に、「巻き込まれてみてよかったな」と感じているだろう・・・。という気がします。 闇雲にまっしぐらに突っ走る万里さんだったけど、その胸に抱えていたのが無私の愛だったから、猫や犬や人が伴走したのだ、とも思います。

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藤田雅矢「まいにち植物」
2007 / 07 / 11 ( Wed ) 06:12:48
西のターシャ(・テューダー)東の藤田(雅矢)。 このお二人は私にとって「真似する気も起こらない」クラスの、夢の園芸家です。 まいにち植物―ひみつの植物愛好家の一年
藤田 雅矢 / WAVE出版 (2007/05) 藤田氏の場合、綺麗なものより珍しいもの、奇妙でかわいいもの、に比重があるのですね。 守備範囲が異様に広い(エアープランツから変化朝顔まで)のにマニアック。 本職が植物の研究者。だけど顕微鏡下ではなくベランダで育てる花や葉を語るこの本。広大な庭を持っている人にも、口径7cmの鉢植え一つしか持っていない人にも、楽しく読める本です。

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寂れる町
2007 / 07 / 08 ( Sun ) 23:00:54
どんな将来があると云ふのか凌霄花 紫陽花の首掻き切って泣けばよい 責めるがに梔子の香の止まれり 廃業せし店頭に立つ葵かな

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清水義範「独断流「読書」必勝法」
2007 / 07 / 07 ( Sat ) 09:32:22
読んだことのある本も、読んだことのない本も紹介されていましたが 独断流「読書」必勝法
清水 義範, 西原 理恵子 / 講談社 (2007/05/08) この本の紹介を読んですぐとリクエストしたのが「戦後短篇小説再発見 2(講談社文芸文庫)」。 そうです。野坂昭如作「マッチ売りの少女」が載っているのです。 独断流「読書」必勝法を読んだ後で文芸大作を読む気にはなれません・・・。 <追記> 挿絵ならぬ挿しマンガを描くサイバラは、本文の意に沿おうとせず、自己主張ばかり。時には本文と全く関係ないことを描いています。サイバラが作家にコンビ解消されないのは、彼女が第一の読者として著者に認められているからだろうと思います。 サイバラは著者公認の「読者代表」。 読者にとって、サイバラという他の読者がどう読むか、他の読者がどうしているかを教えてくれるもの。 サイバラはとても面白い読者です。

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黛まどか「知っておきたい「この一句」」
2007 / 07 / 07 ( Sat ) 09:18:31
今読むとやっぱり夏の句が身に沁みます。 知っておきたい「この一句」
黛 まどか / PHP研究所 (2004/08/06) ほとんど泣きたいような気持ちになるのが
一生の楽しきころのソーダ水   富安風生
です。 ソーダ水にあるのは涼しさと楽しさだけで、栄養は期待されていません。それが「こども時代」のイメージとぴったりです。 それをを飲んでいるときの子どもは、役に立つことなど期待されず、遊ぶことが仕事だったのでした。 ソーダ水を飲む子を見ると、誰かに守られて何にも脅かされず、何かを楽しめた子ども時代が鮮明に蘇るのだと思います。
身を裂いて咲く朝顔のありにけり   能村登四郎
眼前にある朝顔は、立田咲きか桔梗咲きか。身を裂いて咲く咲き方に迷いも逡巡もない花の佇まい。 そこにある潔さのようなものを受け止める、驚きと感嘆の「ありにけり」だと思います。

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ミラー「ジョンベネ殺し」
2007 / 07 / 03 ( Tue ) 09:26:41
ジョンベネ殺しは母親のパッツィがやったという前提で話が進みます。 ジョンベネ殺し―美少女殺害事件の深い闇
トーマス C.ミラー, 森川 信子 / バジリコ (2007/04) 話とは「富裕なジョンベネの両親がいかにして不起訴を買い取ったか」です。 ジョンベネ事件を巡って著者自身が訴えられ、陪審員制度や司法取引制度の光と闇を経験するくだりはスリル満点。 日本が「金のないものに正義はない国」にならないよう、よく考えなければならないと思いました。

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クレマチス・マニア?
2007 / 07 / 02 ( Mon ) 00:08:56
このセンテンスをどなたがものしていたのか分からなくなってしまって申し訳ないのですが・・・・
マニアとは我慢を知らない人のこと
と書いた方がありました。 ドッキリしました。 私が購入して持っているクレマチス本は1冊だけですが、借りている本は現在4冊。 中でもクレマチスのすべて―系統別215品種・栽培法・入手法に挟み込まれた付箋紙の数は夥しいものになっています。 現在持っているクレマチスの鉢は7鉢だけど、パソコンのデスクトップ上に保存した購入計画表には3年先までの計画がギッチリと・・・・。 「計画よ。計画。計画することが楽しいの」 と、自分に向かって大声で呼びかけていますが。 「自分にご褒美」とか「景気づけ」とかの悪魔のささやきに耳を貸したら最後だと思います。 私が暴走しないように、沈思黙考の見本を見せているのでしょうか、ウィル・グッドウィン。 いくら計画してもそのとおりには行かないと、警告しているのでしょう、ブルーエンジェル。植えてから何の動きもありません。 生きる意志はあるけれど咲く意思はない、枯れないだけのザ・プレジデント。剪定以来、断固として動かない。大統領は初心者向け強健種のはずなのに、誰にも向かず振り向かず、天上天下唯我独尊わが道を行く? この子たちが、目下最強最大の私の箍(タガ)です。 この子たちがこぞって咲いたなら、次の注文書を書こうと思います。 箍が外れるのが、楽しみなような恐いような。 (狙っているのはフラウ・ミキコ白王冠アメシストフレデリックショパン。あわよくばケン・ドンソンゴルノエ・オゼロも)
クレマチスマニアって、注文してから置き場所を考える人だと、私は思います。

自分は・・・髪一重です。 

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朽木祥「たそかれ」
2007 / 07 / 01 ( Sun ) 17:27:07
先行作品の「かはたれ」と違って、子どもが自分で読めるようになってから、本人に読んでもらいたい物語です。 たそかれ 不知の物語
朽木 祥, 山内 ふじ江 / 福音館書店 (2006/11/23) この本は、普通の読み聞かせには向きません。 余程の熟練、プロフェッショナルな自律が必要です。 たとえば私ごとき読み手では・・・読み手が泣いてしまいます。 物語を伝える人が、聞き手より先に泣いてしまっては台無し。そんな危険を冒すより、本人に任せましょう。 主人公の麻は中学生になっています。中学生以上になってから読んでも間に合います。 既に大人になっている人は、急いで読んでください。 一日遅くなると、人生の中で「たそかれ」を知らない日が一日増えてしまいます。

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朽木祥「かはたれ」
2007 / 07 / 01 ( Sun ) 17:18:27
小学生以下の子どもに、読んであげたい物語。 文字や成句に四苦八苦しながら読むのではなく、物語の内容をその心に直に届けてあげたいと思うからです。 かはたれ―散在ガ池の河童猫
朽木 祥, 山内 ふじ江 / 福音館書店 (2005/10) 中学生以上になれば(5・6年生でも国語に長けた子なら)、自分で読んで感動できるでしょう。 子どもなら河童の八寸に同化したり麻(4年生の少女)に同化したりして物語に入り込めるでしょう。 大人には出来ない深さで、麻や八寸の気持ちを推し量ることが出来るでしょう。 しかしこの話は大人こそよく味わえることでしょう。 大人になってはじめて、麻の両親がただの大人でもただの親でもなく、麻を愛し、親であることをどんなに大切にしている親か分かるでしょう。 二回めの読書で、自分の成長が分かる、そんな本です。 自分はこの本に子ども時代に会うことが出来ませんでした。この本が書かれたのは2005年ですから、自分を含め、1995年以前に生まれた子どもが気の毒になります。子どもの時に、この本に会いたかったと思います。

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授業参観(3)不適切な表現の問題
2007 / 07 / 01 ( Sun ) 15:55:02
授業参観の後にクラス懇談会があります。 先生と、親とで子どもたちの様子を話し合う、といっても7割が先生からの報告です。 問題は残りの3割。親子レクについての相談は学級役員が中心で話し合いで、先生はあくまでオブザーバーになります。 さっきまで「です」「ます」で進んでいた会が突然「・・・だよ」「なにそれ」「・・・じゃないの」「ヤッダー」という調子になってビックリ。 いかにも物慣れた様子のPTA役員経験者の間で弾む会話。 始めは『なんだか話しに入りにくいな』というだけでしたが 「そんなの手が足りなかったら先生に頼めば?」 「校長にやらせればいいのよ、ヒマなんだから」 という科白が飛び出すに及んで、その席にいるのが辛くなってきました。 同席した先生がどんな顔をしていいか困っており、私は恥ずかしく、居たたまれない気持ち。 学校の役員も子ども会の役員も(きっと他の地域の役員も)嫌がらずに何度もやってくれて、責任感も責任能力もある幾人かの人たち。 立派だし、ありがたいと思います。 だけど私は、同席するのが辛いと思ってしまった・・・・。 あそこで何が言えたろう。どう言えば、「不適切な表現」に対応できただろうと考え続けていますが、答が出ません。次回のクラス懇談会出席は夫に頼もうと思います。

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授業参観(2)センスの問題
2007 / 07 / 01 ( Sun ) 14:27:23
授業参観に行って気になったのが、お母さんたちが使っている扇子です。 さすがに団扇を使う人はいませんでしたが。 実のところ始めのうちは自分が何に「落ち着かない気持ち」を感じているのか分かりませんでした。 今までにもよくある光景だったし。 それが気になりだしたら気になって仕方がありません。 先生または子どもが、団扇や下敷きや扇子を使って仰ぎながら授業に参加しているならいざ知らず、参観者だけが扇子を使うことの、違和感。 授業参観は「見せていただく」ほどのものではないにしろ「見てやっている」ものではないはず。 参観態度は授業態度に準じるくらいがいいのでは?と思った次第です。

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