苅谷夏子「優劣のかなたに」
![]() ひたぶるにひたむきにひたすらに、学び、教えた大村はま。
優劣のかなたに―大村はま60のことば
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小野選手のおばさん
![]() 先の日曜の埼玉スタジアムで、隣り合わせたのは50代の女性でした。
小野選手にボールが渡ると、声を限りに
「しんちゃーん、しんちゃーん」
と応援していました。
ポンテ選手のとき「ポンちゃーん」とは言わず、ワシントン選手の場合も「ワシンちゃーん」とは言いませんでした。
小野伸二選手のおばさんかなと思いました。
(一世代年下のスターを○サマと呼ぶのも卑屈な気がしてイヤだけど、○ちゃんと呼ぶのも精神的手篭めのようで不快。傑出した能力を尊敬しつつ自分の品位も損なわない行き方はないもんですかね? 自分もおばちゃんなので気になりました・・・)
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小倉千加子「オンナらしさ入門(笑)」
![]() 夫(男性)と子ども(男児)といっしょに埼玉スタジアムの観客席にいて、試合開始を待ちながらこの本を読んでいたら、内容が恐ろしい迫力で迫ってきました。
オンナらしさ入門(笑)
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埼玉スタジアム1-1
![]() 赤い花は散りました。
引き分けだったけれど、サポーターたちはレッズの覇気のなさに打ちのめされ、うなだれて、黙々と歩いていました。
子どものはしゃぐ声だけが響いて、グレープの「精霊流し」のようでした。
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埼玉スタジアム 2007.5.27
![]() 浦和レッズのホームゲームを見に行きました。
相手はマリノス。
レッズの選手は赤い上着に白のパンツ。
マリノスの選手は青い上着に白のパンツ。
目下クレマチス脳園である私が彼らを見ると、(濃青の)ザ・プレジデントと(赤い)柿生が妍を競っているように見えます。
もちろんスタンドはマダムジュリアコレボンでいっぱい。
ただしこのマダムジュリアコレボン(赤い小さな花をこれでもかと咲かせる)は風に揺れません。
シュートとセーブに揺れるのです。
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伊藤綾野「ピアニスト・和久井冬麦」
![]() 和久井冬麦(わくいむぎ)さんは12歳。5歳の時からウィーン国立音楽大学準備科に留学中。映画「神童」で主人公のピアノの吹き替えをしたピアニストです。
ピアニスト・和久井冬麦 音楽の神様から愛された少女
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高橋英郎「モーツァルトの手紙」
![]() しばらく本の話で更新できなかったのは、この本を読むのに時間がかかったから。
モーツァルトの手紙
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蘂までが開いて花のクレマチス
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写真とカメラ
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クレマチスってどんな花?
![]() ![]() そんな時 「種類がいろいろあって、同じ種類でも土壌や気候や株の年齢によって花が変わる、ミステリアスな花なんだよ」 と答えることにしています。 何も答えていない答えですが、言い難さと奥深さだけは伝わるんじゃないかと思います。 これは我が家のクレマチス「穂高」。 一株に一度に咲いた5輪なのに、花弁数はいろいろ。 6花弁の一重咲きから12花弁の半八重咲きまで各種取り揃え、クレマチスの気まぐれぶりを見せてくれます。 |
サロンコンサート
![]() 初めてサロンコンサートに行った(正確には連れて行ってもらった)ので、一度に書き切れずまた書きます。
耕心館では月に一度サロンコンサートが開かれていて、5月はサキソホーントリオ(サキソホーンは小串俊寿さん。ピアノの白石光隆さん、ラテンパーカッションの横山達治さん)の番で、陽気かつ気さくな解説を交えながら、堅苦しくないコンサートでした。
私は「室内楽」にあこがれていたので、もっとクラシックな選曲がいいなあと思っていたのですが、いざ「翼をください」の演奏が始まると、もうクラシックも冷房もいらないと思いました。
背中がゾクゾクするんです。
特にサビの盛り上がり。音量を大きくするのではなく、盛り上げていくその表現力。「こんなことができるんだ」とおののかずにいられませんでした。
サキソホーンとピアノのお二人はクラシック奏者であり、この日放ったのはいわゆる異彩。
何をやらせても、うまい人はうまい・・・・・。
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そこにあるピアノの森
![]() まんがや映画で話題の「ピアノの森」だけど、そこにはフィクションではない真正のピアノの森があります。
そこは瑞穂町、耕心館2階。
サロンコンサートはぎっちりイスを並べて定員70人。エアコンを使うとせっかくの生の音を損なうからと、東京の端っこの、エゴの花咲く宵の空気そのままを震わせて、ピアノが鳴り始めます。
ピアノの向こうの木の葉の重なり。大きな窓のガラスで隔てられているので、葉ずれの音は聞こえないけれど、木々はきっと耳を澄ませ、この音楽を聴くことでしょう。
5月19日のピアニストは白石光隆さん。
譜めくりは瑞穂町出身国立音大4年の女子大生。
楽譜のページをめくる機会ごとに、わずかなサインで呼応するピアニストと助手。
後進を育てることに腐心できるピアニストの、豊かな、幸せな、音。
このコンサートのパンフレットを送り付けてくれた友人に感謝し、チケットを購える自分の財力と、私の財力で購える値段(2000円)でこのコンサートを開く瑞穂町の文化水準に、感謝した一夜でした。
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玉木宏読売新聞イメキャラに
![]() ドラマ「のだめカンタービレ」玉木千秋として私を沸かせた玉木宏君が読売新聞のイメージキャラクターに決定しました。
自分ちで取っている読売新聞でこれを知り「ヤッター」と思ったのですが、はてはてイメージキャラクターとは何するものぞ?
テレビ・ラジオCMのほか、駅の看板、ポスター、雑誌広告などにも登場し、本紙の魅力を広く読者のみなさんにお伝えします。 玉木さんは、映画「ただ、君を愛してる」(06年)やドラマ「のだめカンタービレ」(同)などで人気の若手実力派。玉木さんが等身大のタレント役として出演するテレビCMは、今月下旬から放映されます。ご期待ください。 (2007年5月18日11時39分 読売新聞)うーん。つまりそれって読売新聞をとってなくとも見られるものばっかりじゃないですか。なんだー。 ちょっとだけがっかりしつつ、面白いテレビCMを期待することにします。 今日から5月下旬。もうどこかで流れているのかな? |
未成年者飲酒禁止法違反(親権者の不制止)
![]() 読売オンラインニュースによれば「女子中学生の飲酒を黙認、母親8人を書類送検…三重 2007年5月17日(木)11:39 」という事件があったようです。
中学3年生だった女子生徒8人の飲酒を一緒にいながら黙認していたとして、三重県警少年課と松阪署が、同県松阪市の母親8人を未成年者飲酒禁止法違反の疑いで津地検松阪支部に書類送検していたことが17日、わかった。 生徒らは、携帯電話のブログ(日記形式の簡易ホームページ)に飲酒時の写真などを掲載したため、同市教委からの通報で県警が捜査していた。 調べによると、母親らは女子生徒8人が昨年8月、同市内の居酒屋で飲酒した際、同席していたのに止めなかった疑い。 女子生徒らは、居酒屋で飲酒している時の写真とともに、「酎ハイ飲んだ」「酔っぱらって記憶がない」などのコメントをブログに書き込んでいた。今年2月にブログを見た市民が同市教委に連絡して発覚した。法を犯した上にそれを証拠つきで後悔する中学生は大バカモノですが、その大バカモノを目前で暴走させた親は、逮捕されて妥当ですね。 しかし、このニュースを伝える女性キャスター(番組名失念)が 「母親が8人もいてどうして」 と言っていたのには『わかってないなあ』と思いました。 母親たちの8人が8人とも娘の飲酒を容認していたハズはなくて、8人もいたから抑止できなかったのだと思います。 世の中には家族等ごく親しい人にしか意見を言えない人が存在するし、そういう人は母数が大きければ大きいほど意見が言えないから、親だけで8人もいたらすっかり言語不自由状態になっていたんだと思います。 それが他人に迷惑をかけない分には本人の不自由で済みますが、今回のように「親権者の責任を果せない」レベルになると、書類送検ものです。 15歳の子どもに酒を出した店に落ち度はなかったのかというのも気になるし、飲酒した子ども自身に法的な咎めがないのかなども気になります。中でも暴走娘たちが「悪いことをしてママに迷惑をかけた」と反省しているのか、「ママが止めてくれないから恥をかいた」と思っているのかが一番気になります。 |
世の中は半日見ぬ間の穂高かな
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長嶺超輝「裁判官の爆笑お言葉集」
![]() 真剣に司法試験に取り組んだことのある著者の裁判傍聴記。傍聴記が被害者をもう一度傷つけるような作りなら、裁判所は出版人を有罪にするべきでしょう。この本はやじうま的でなく、安心して読めます。
裁判官の爆笑お言葉集
![]() 子供に障害があろうと、親には養育する責任がある。 それを放棄したのは大きな考え違いです。 ひとりの考えには限界があるから、 今後はひとりで悩むより、自分の弱みを見せて、 人の力を借りるという生き方を考えてみてください。等々。 「法という道具を使って、人が人を裁く」ということの難しさを垣間見せてくれる一冊です。 |
ポッカリと穂高咲きけりクレマチス
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穂高たち2
![]() 先ごろの大風で、近所のパテンス系クレマチスがみんな散ってしまいました。大輪の花を失った庭は火が消えたように見えました。
一週間で再び蕾が咲きそろうと、庭に光が戻ったようで、ただの通行人の私もほっとします。
通ひ路を違へ見にいくクレマチス
わざわざクレマチスの見られる路を選んでいるんですから、ただの通行人よりは怪しいかな。
さてさてウチのクレマチス。
穂高は蕾の先が割れて来ました。「今日か明日か」と思い始めて二日目。意外と難産ですね。
明日が三日目の朝。今度こそ咲いているかしら。起きるのが楽しみです。
ビチセラのエンテルは大水飲みです。水を飲んでぐいぐい育ち、茎の太さ、葉っぱの力強さは立派なもの。今は生長に専心しているらしく、蕾はそれとわかりません。
ウィル・グッドウィンは本当にパテンス系なのか疑いたくなるような、小さい蕾をつけています。咲くのはまだまだ先でしょう。
穂高よりずっとたくさんの、細いつるを伸ばしていますから、誘引が忙しいくらいです。手をかける楽しみを味あわせてもらってます。
一年生のミス東京は傷心が癒えたのか、脇芽が動き始めました。
プレジデントは一本気にすくすく伸びています。摘心して脇芽を出させた方がいいのかなあ?
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名香智子ミステリー名作選集
![]() 名香智子。花ある君と思いけり。
なんだかんだ言って一番好きな漫画家かもしれません。どの作品にも一貫しているものは美・財・色です。
名香智子ミステリー名作選集 (全4巻) 双葉社 (1993/01-1994/04)
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久世番子「暴れん坊本屋さん 」
![]() 現物を見ないで注文したため、落手した直後は「本が薄い、絵とコマ割りがおおまか、値段が高い」と、コストパフォーマンスの点でがっかりしました。
そして、読んでみて後の心は・・・「人に貸しまくらずんばやまず」です。
暴れん坊本屋さん (1)
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福嶋聡「劇場としての書店」
![]() 著者が「書店員」といわず「書店人」というのはなぜ? という疑問を持ってこの本に突入。
書店での客との質疑応答例、続いて模範応答例というレクチャーの章など、「自分ならどうするだろう?」とどきどきしながら読みました。
劇場としての書店
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福嶋聡「希望の書店論」
![]() 書店員でありながら図書館ユーザーであることをカミングアウトした著者に、共振しきり。
希望の書店論
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図書館員の図書館利用
![]() 私は私立図書館の職員でありながら、勤務地公共図書館のヘビーユーザーです。
勤務先図書館にも16万冊の本があり、そこでも本が借りられますが、学術研究書が多いのでたまにしかお世話になりません。
しかし16万冊あればそのうちの3割が一般書だったとしても、かなりな数なわけで、数だけが借りない理由・・・ではありません。
無念ながら、本が古いのです。過去3ヶ月以内に出版された本は50冊(多いときでも100冊以内)くらいしかないのです。
いきおい、自分の楽しみのために読む新しめの本は公共図書館に頼るようになります。
居住地の公共図書館も含めれば、年間で300冊くらい借りて読んでいるでしょうか。(ええ。お察しの通り長距離電車通勤の身です)
公共図書館のありがたいところは、受取館を指定でき、そこに本館の本や他の分館の本はもちろん、市外の公共図書館所蔵の本も無料で取り寄せてくれるところです。
ありがたやありがたや。
Web書店を使えば取寄せは速やかで届け先は自宅という便利さですが、書店は読み終わった本を引き取ってくれません。
書店で本を買うには、読み終わったあと「ずっと手元に置く」か「手放す(捨てる・売る)」のどちらかの決断が必要になるのです。
図書館利用にはこの決断の前の逡巡が不要です。返却すればいいんですから。
ああ、図書館はいい。
ゴールデンウィークに実家に帰り、昔の蔵書を探したら、見つかりませんでした。自分と弟が買った本、足して1000冊もないのに、欲しい本が出てこないのです。(本が本以外のものに埋もれているのがネック)
データベースがあり、すべての本の背が見える状態で保管できる図書館なら、すぐに見つけられるのに。
ああ、図書館はいい。
図書館は私の本棚です。
それでも私が本を買うのは「この本をずっと持っていたい」と思うときと「どうしても早く読みたい」とき。
図書館と著作権者の意見の対立がありますが、図書館利用者であり、購入読者でもある自分としては、作家の方々にがんばって欲しいと思います。
「ずっと持っていたい本」「どうしても早く読みたい本」をたくさん書いていただくように。
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安藤哲也「本屋はサイコー!」
![]() 「希望の書店論」で紹介されていたので読んでみました。
本屋はサイコー!
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穂高たち
![]() キャンプの晩、バンガローで寝袋に入りながら
「早く帰りたいなー。私のクレマチスたちはどうしているだろう?」
と思いました。我知らず擬人化表現になっています。
帰宅したら家の鍵を開けるのは子どもにまかせ、自分は軒先でクレマチスの鉢を点検しました。
「変わりはないかい?」と。
穂高の葉は、まめというか律儀というか、早速枝ごとにオベリスクもどきに蒔きついていました。
よく摑まってなんておりこうさん。それに、他のどの鉢より、伸長度が著しい気がします。
いっしょに購入したウィル・グッドウィンにはあまり変化がありません。新しい簡略オベリスクに私が緩やかに沿わせたまま、自分から支えに捕まろうという気力がほとんどないようです。
たまにたまに忘れた頃に葉柄が支えに絡んでいればそれで大丈夫って感じなんですかね?
一番最近うちの子になったエンテルは、ホームセンターの店先で随分伸長したものらしく、購入の際ツルの先が隣の鉢のクレマチスに蒔きついていたのを店員に乱暴にひっぱられ、茎が折れ曲がってしまいました。
心配しましたが、どうやら折れ曲がった先にも養分が行っているようで、うーん、エンテルは強い娘。
しかしこの娘、なかなか気も強いらしい。茎が硬くて誘引される方向になびきません。鉄は熱いうちに、エンテルは茎が若いうちに、形をつけないといけないようです。
(エンテルはビチセラ系新枝咲きですから、一度花を見たら茎が折れ曲がったところまで切り詰めて、誘引をやり直そうと思います)。
一年生たちがどうしているかというと・・・・。
蕾を摘まれたミス東京は呆然としているのか、動きなしです。今は静かに見守りましょう。
ザ・プレジデントはすくすく身長を伸ばしています。もう15cmを超えました。
ミス東京やザ・プレジデントが咲いたなら、まさしく「手塩にかけた」という気がすることだろうと思います。
今年中に咲くのか来年なのかわかりませんが、とても楽しみです。
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風の少女エミリー:アニメ化の難しさ
![]() 風の少女エミリーの原作はエミリー三部作(可愛いエミリー、エミリーはのぼる、エミリーの求めるもの
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風の少女エミリー:命名の難しさ
![]() 4月7日から教育テレビにて放送が始まったL・M・モンゴメリ原作の「風の少女エミリー」。(公式サイトよりウィキペディアが詳しいです。詳しくはこちら。ざっと見る方はこちらをどうぞ)
しかし、なんでしょうね、このタイトル。
原作は「Emily of New Moon」。
屋号+名前をタイトルにするのはモンゴメリの定番ですが、訳出当時「直訳では日本の少女たちがなじみ難い」と判断した村岡花子によって、「ニュームーン農場のエミリー」は「可愛いエミリー」と名付けられました。(同様にAnne of Green Gables (緑の切妻屋根の家のアン)は「赤毛のアン」と命名されました)
訳出に当たって村岡花子が思案したように、アニメ化に当たって新タイトルを考えるのは妥当かつ大いに結構です。
しかし風の少女って、メルヘン過ぎて「取ってつけた」ようじゃありませんか。
それともアニメのタイトルというのは、思い切りメルヘンチックにというセオリーがあるのでしょうか。
「未知の子どもにとって魅力的に、原作ファンにはあのエミリーだとわかるように」と意図したのだと思いますが、じつは意図しなかったのかな。
子どもにとって魅力的かどうかは知らず、原作ファンにはそれと気付かれずらいのではないかと思います。
(私は第4話が終わってからアニメ化されたのに気がつきました)
【余談】
最近では村岡の功績に敬意を表しつつもよりオリジナルに近い訳を希求する読者のために(?)篠崎書林が「新月農園のエミリー」を出しています。
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「このマンガがすごい! 2007・オンナ版」
![]() 私はこれで「暴れん坊本屋さん」を買うことに決めました。
このマンガがすごい! 2007・オンナ版
![]() 恋と結婚に血眼のシングル女子マンガ 恋愛のその先10代の出産マンガ 逆風に負けないオンナたちの挑戦マンガ 親バカで何が悪い! ペットマンガ ウチだけ?! 家族エッセイマンガ 等身大の新型ロックマンガこの企画、うちの図書館でも小説とエッセイでやってみたいものです。 |
米原万里「旅行者の朝食」
![]() ふと時間が空いてしまった時、「この人ならまちがいない」と信じて借出したのが旅行者の朝食
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福田里香「まんがキッチン」
![]() キャンプ初日のお弁当はおにぎり2つ。魚肉ソーセージ1本とたくあん5枚。ソーセージは決して切らずにまるかじり。
そう決まったのはいつから。ハチクロを読んでから。
まんがキッチン
![]() 何かしらコマにフードを書き込まざるを得ないまんが家というものが、じつは密やかに存在します。 特にこの傾向は、少女まんが家に顕著。彼女たちは、フードの周辺を描くことで、登場人物の性格や感情を精密に表現する天賦の才を持つひとびとです。初っ端に取り上げられるのが「ハチミツとクローバー」。 「『ハチクロ』の最大の特徴は、コミカルとリリカルの融合だ。」と喝破しておいて、 コマつなぎの軽い単発ギャグだと思っていた例の“不思議料理”の数々がすべて、ラストシーンのオチへの壮大な前振りだった、とふいに気付かされる。コミカルからリリカルへ、一瞬の逆転劇。号泣である。 「フードで恋が終わる瞬間をはじめて見た」。とまとめ上げられると、もはや「参りました」という気持ち。 海野チカさんとの対談もついていて、ファンが随喜の涎を流しそうな本です。 続いてのだめ。 男の千秋さまが、女ののだめにいつもご飯を作ってあげるという男女役割の逆転。これで料理上手は男子のモテ要素という新しい価値観を示し、千秋さまをニュータイプの王子様に仕立てあげている。と本当のことを簡単に言ってのけ、 作者はセックスを描かなくても、ふたりの深い結びつきをごく自然な形で読者に納得させることにまんまと成功しているのだ。千秋さまとのだめが相手のために料理を作ることで、お互いにそれを食べ合うことで、それを何回も繰り返し描くことで。と締める。 そのように作者の奥義をあからさまにしてしまっては、、、と一瞬心配してしまいましたが、「フードの周辺を描くことで、登場人物の性格や感情を精密に表現する天賦の才」を持たない人は真似できないので心配は無用なのでした。 まんが家よしながふみさんとの対談は、料理研究家福田里香さんが「料理」のみならず「人間関係における食の功績(及び限界)」を考証する研究家なんだなあと思わせてくれました。 100頁に満たない薄い本ですが、ボリューム満点な気がするのは、分析の切口の斬新さと、対象の多様さによると思います。 |