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正装と盛装
2007/02/27(Tue)
アカデミー賞授賞式でふんだんにテールコートが見られるかと思いましたが、だめでした。やっぱりノーベル賞の授賞式まで待つしかないですね。 日本から授賞式に参加した菊地凛子さんは、襟ぐりも背中もぱっくり開いたドレスで、首まわりのアクセサリーを何もつけていませんでした。陶器のような肌でした。 先日、叶姉妹の記者会見がありました。一番下の妹(三女)が長女の宝石を持ち逃げしたとかしないとか。 トウチュウに載った長女と次女は、宝石いっぱいのアクセサリーに乳房が半分見えるようなピカピカした素材のドレスを着ていました。こんな晴れがましい服を着て来るような会見内容か??と思いました。 民俗誌・女の一生―母性の力を読んでいたら、結婚式は夜するものと決まっていたから、花嫁行列は明るいうちに出発したとしても提灯をつけて行くし、披露の宴が朝まで続くときは雨戸を立てて夜とみなしたという習俗が紹介されていました。 それが何時であろうと組閣の記念写真はモーニングコート姿で撮るという習慣は「新内閣発足は新しい日本の朝(あした)である。今が何時であろうが朝と見なす」という決意表明だったのかなあ。そうだったらいいんだけど・・・・。 アカデミー賞の授賞式を現地から中継していた民放の男性アナウンサーは羽織袴姿でした。日本の正装は時間の決まりごとがなくて便利ですが、なんで中継者が和服? 目立たないことが肝心なのでは??
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山本桂子「お化粧しないは不良のはじまり」
2007/02/26(Mon)
このタイトル、化粧しない人に喧嘩を売っているの? お化粧しないは不良のはじまり
山本 桂子 / 講談社 (2006/02) あるべき美の規範が決まっていて、造作の欠点を補正する目的の化粧をした時代も、己の造作の特徴を生かした美を際立たせる化粧を施した時代も経て、顔の個性を目立たなくさせるための化粧を覚えた現代。 と、化粧の流行史がテンポよくわかりやすく展開されています。 人と違っていたくないから化粧する人もいるし、人と違った個性を主張したくて化粧する人もいるけれど、化粧せず、あるがままに老いていきたいと思う人は少数派。少数派の主張は「不良」と切り捨てられてしまいます。 お化粧にはお金と時間と修練が必要です。肌に負担をかけることでもあります。 どう化粧するかを語るだけでなく、なぜ化粧せざるを得ないのかにも筆を割いて欲しかったです。 化粧やエステや整形で「美」が買えるようになる『美の格差社会』より、『みんな違ってみんないい』社会の方が、私はありがたいなあ。
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大同小異
2007/02/26(Mon)
山の端の梅の花から明けていく をちこちの梅のみ見ゆる朝ぼらけ かはたれのしじまのむめの白ばかり
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槇村君子「エラいところに嫁いでしまった!2 」
2007/02/25(Sun)
土地の風習や家風について、不合理な部分だけをあげつらって書かれた前作に、婚家側はどんな反撃を試みるのか。出版、ドラマ化を経て、事態は急転?!
エラいところに嫁いでしまった!2 夫婦激闘編
槇村 君子 / 新潮社 (2007/01/17) ・・・・かと思ったら何のことはない。時制を遡り、『そもそも二人の馴れ初めは』を語る巻でした。 でもね、なんか、ずるいんですよ。 「なんでこんな男と一緒になったのか」と繰り返しつつ、最後まで「なんで」かを語らないんです。結局、この二人は類は友を呼ぶってことですかね? 類友でも朱赤でも、両性の合意さえあれば社会的にはなんら問題ありません。 婚家との関係についても、本の中では言い放題の嫁だけれど、実生活では素直な嫁なのでしょう。長男の嫁が逃げ出すような面倒な仕事を、次男の嫁が遠路はるばる出向いてまでこなし続けているのですから。 前作を婚家と自分の異文化衝突体験物語だと思って読んだから、その一方的な言い分に腹が立ったのですが、衝突できない外面良子さんの、鬱憤日記公開だと解かっていればよかったんですね。 「エラい回り道をしてしまった!」ものです・・・・。
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田中慎弥「図書準備室」
2007/02/24(Sat)
図書準備室はある「告白」の場所となるだけです。図書委員も、読書好きの生徒も、そこにある一冊の本の名も、出てきません。 図書準備室
田中 慎弥 / 新潮社 (2007/01/30) その告白は、40年前のリンチ事件を巡るもの。告白する人にも、それを聞く人にも、誰にも、共感できない物語です。 同時収録の「冷たい水の羊」はいじめを受ける中学生の話で、逃げることも反抗することもせず、諾諾と虐められてる上、一度だけ自分を助けようとした女生徒を殺して自分も死のうと計画する主人公。思考回路が不可解です。 女生徒がどうなるのか気になって全部読んでしまいましたが、読中感?が悪い話でした。
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野村三郎「ウィーン・フィルハーモニー」
2007/02/23(Fri)
どうしてこうも私は、本の主題と関係ないところに惹きつけられるのか・・・・ ウィーン・フィルハーモニー―その栄光と激動の日々
 野村 三郎 / 中央公論新社 著者は昔、ウィーンで社交ダンススクールに入ったんだそうです。 そこでまず買わされたのが白い手袋。そしてダンスの前に数時間に渡って礼儀作法のレッスンがあったのだとか。 女性をダンスパーティーに誘う電話をかけるときどういうか、女性と腕を組むとき(ホールドするときではなくエスコートするときのこと)腕を差し出す仕方、ダンスを申し込むときの方法など。 こういうことをダンス教室で教えてくれるんですね、ウィーンでは。 本全体に通底するのは『音楽の都ウィーン』への愛であり、ウィーンフィルはその中でもっとも重要な登場人物(団体)という感じです。 この本の主題はウィーンであって、ウィーンフィルではありません。ちょっと「題名に偽りあり」ですが面白い本でした。 (特に長文が引用されている「バリリ日記」は貴重な史料だと思います)
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スーツ向上委員会「大人の男のスーツ図鑑」
2007/02/22(Thu)
この本を、この春大学生になる甥に贈ろうと思っていました。伯母さんが本を買ってあげるから、好きなスーツを両親に作ってもらいなさいね、と。 大人の男のスーツ図鑑
スーツ向上委員会 / 二見書房 伯母さんは危なかった。これは、スーツではなくスーツ姿の男性を鑑賞する本でした。(義姉としても危なかった・・・・)贈る前に中身を確認してよかったです。 気を取り直して鑑賞しようとすると、図鑑の命である図が、いまひとつピンと来ません。 写真でなくイラストなのですが、末端肥大気味の大きな足(巨大な靴)が気になって、スーツに集中できないのが残念です。 そして表情。 喜怒哀楽は出来る限り抑圧していただく方が鑑賞の余地が広がると思います。
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プレーヤーブックブーケ
2007/02/22(Thu)
フォーマルウェアスタンダーズマニュアルを職場でフェアリーリング仲間に見せてみました。 うら若いかうら若かった女性たちですから、ウエディングブーケ、それもプレーヤーブックブーケに話題集中。 祈祷書の上に花をあしらったもので、花嫁が持つもの・・・らしいのですが、一体これ、どうやって持つの? 非常に持ちずらそう。 「それよりこれ、どうやってブーケトスするんですか」 という重大発言もあり、昼休みは紛糾しました。 「祈祷書を投げたらまずいでしょう」 「花束を載せていて、その束だけを投げるんじゃないの?」 などなど。 しかし「それより」って何なの。 持つ前におすそ分けを考える彼女に、幸せはやってくるのでしょうか・・・・。
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演奏会に行くには:「フォーマルウエアスタンダーズマニュアル」
2007/02/21(Wed)
フォーマルウエアスタンダーズマニュアル」は、書店流通はしていないし、いささか高価(全103ページで3000円)なので、県立図書館で借りました。 日本フォーマルウェア協会の編集・発行なんですが、一体これ、どこの国の話?の感があります(でも面白い)。 たとえば演奏会に行くには次のような注意事項が並びます。
オペラ初日 ガラの場合は正礼装で。美術館などのオープニングも。 ○オペラ、バレエ、音楽会などの鑑賞には、演奏者に敬意を表して、おしゃれをして出かけることが習慣づけられている。 ○金曜日の夜は、特別にドレスアップする習慣がある。 ○演奏者と同じようにフォーマルウェアを着用すると、会場が華やかな雰囲気になり、演奏者と客席の間に一体感が生まれ、楽しさも倍加する。
(下線は私。初めて知りました。ホントに、どこの国の話なのか書いて欲しい。いや、日本でも皇族はこんな感じかな) この本を「高くて買えない」と思うような自分にはもともと縁のない世界ですが、異文化を知る楽しみがあります。 「男性がエナメルの靴を着用するのは靴墨で女性のドレスの裾を汚さないため」なんて、ロングドレスを着る習慣がないと気がつきませんよ・・・・。 読書って、やっぱり楽しいです。
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直截な表現
2007/02/21(Wed)
まぶしさに指をかざせば春である 休耕田天下取ったる仏の座
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ピアノ・華麗なるワンダーランド
2007/02/19(Mon)
ピアニストって本当に腕が2本なの? 3本か4本腕があるのを巧みに隠して、15本以上の指を使って音を出してるんでしょ。 今日のNHK「ピアノ華麗なるワンダーランドへようこそ」 を見ています。 たった2本の手からこんなにたくさんの音が怒涛のごとく流れ出すわけが、自分の目で見ていてもわかりません。 見えない手、見えない指で鍵盤を叩いているに違いないし、3本目4本目の手を使っているのを見せないのが名手なのだと、番組を見ていて思いました。 見逃した方、再放送があったらぜひご覧ください。 演奏中のピアノの内部を内視鏡カメラで見せたり、7台のピアノ連弾で「ラプソディー・イン・ブルー」を演奏したり、とても面白い企画です。 この連弾、作曲家の宮川彬良さんが弾き振りしたのですが、假屋崎省吾さんの活けた花に負けない華がありました。 レ・フレールというピアノ界の吉田兄弟(本当は斉藤兄弟です)の華麗なこと。兄弟が一台のピアノを二人で弾くって、スリリングですねえ。二人の手がぶつからずに交差し、絡みそうで絡まない。絵になります・・・・。 <追記> 思いっきり「のだめカンタービレ」を意識した番組なのに、のだめに触れるのは 「『のだめカンタービレ』」 「それは他局の番組です。NHKでは『純情きらり』」 という番組冒頭の司会者のやりとりのみ。これだけでTV番組表の謳い文句
▽のだめ、桜子・・・・今ブームのピアノ・魅力を大解剖
を打つのは、ちょっとズルイんじゃないかな。
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エミリー ロッダ「デルトラ・クエスト〈2〉」
2007/02/18(Sun)
息子が夢中の「デルトラ・クエスト」。息子は漫画化されたデルトラを読み、アニメのデルトラ(毎週土曜日放映)を見るのはもちろん欠かさず、かつ原作小説も読む、デルトラ小僧です。 デルトラ・クエスト〈2〉嘆きの湖
エミリー ロッダ, Emily Rodda, 岡田 好恵 / 岩崎書店 当初から読むだけでなく、マンガの模写をしていました。絵が上手いわけではないのだけれど、好きなシーンをコマ割から描き写すのです。いやはや好きだねー。 それが今日、いかにも大切なことに気付いたという面持ちで告げに来ました。 「母ちゃん。マンガは時間がかかるから、ぼく、字を書くことにしたよ」 はあ? 目下息子は小説を書き写しています。目次から忠実に、拙いながら写本です。 そうすることが楽しいからする写本とは。 エミリー・ロッダ恐るべし、わが子計りがたし。
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♯37:燕尾服(スワローテールコート)研究Ⅳ
2007/02/18(Sun)
これで燕尾服研究の最終回、総仕上げです。 「文化服装講座5 / 文化服装学院,文化女子大学編 ; 男子服編 -- 文化出版局, 1976」を引用しつつ、進めていきます。
燕尾服 夜間(午後6時以後)の正式礼装ですが,国家的な儀式や行事に昼間着ることもあります。この場合は上着と共布のチョッキを着ます。名称はスワローテールコート,イブニングドレスコートなどといい,女性のローブデコルテ,イブニングドレスと同格のものです。
昼間に燕尾服を着る行事とは勲章を着けていかなければならない行事(王族の結婚式など)です。燕尾服用のドレスシャツは勲章の重みに耐えるために固く糊付けされています。 ローブデコルテも宝石を着けるために胸元が大きく開いています。国家の威信を示す行事には、勲章と宝石をつけられる服でないとだめなんですね。
欧米では夜間の儀式,正式なパーティなどに着用されますが,わが国では国際的な会議や国家の公式行事以外は着る機会が少ないのです。
宮廷晩餐会の「夜の正礼装」も、近年は「ホワイトタイ」から「ブラックタイ」タキシードになりました。 叙勲、授章で宮中に上がるときも、勳2等以上の叙勲でなければ燕尾服にする必要はない(勲3等以下はモーニング)そうですが、どっちにしても我が家には全然用がないようです。
また、クラシック音楽の演奏会で演奏家がこの服を着るのは,ドレッシーなムードがふさわしいからと思われます。
演奏家が燕尾服を着る理由は定かでありませんが、指揮者については「燕尾服(スワローテールコート)研究Ⅱをご参照ください。 ウィーンフィルハーモニーはマチネ(昼の公演)ではモーニングコートを着用したとどこかで読みました。 こういう話に接すると、彼らの衣装は作業着ではなく礼装なのだなあと思います。
上着の布地は黒または濃紺の礼服地を使用して、衿はセミピークドラペルまたはショールカラーで,必ず拝絹をかぶせます。
ピークドラペルは剣衿、ショールカラーはへちま衿です。 拝絹(ハイケン)は平綾絹(地が厚く、綾目がつぶれて、一見平らに見える綾織りの絹地)もしくは絹の朱子織で衿を覆い、光沢を出すものです。燕尾服とタキシード、チェスターフィールドコートにのみ用いられます。 余談ですが、夜の男性礼装の条件は、「黒」「光沢」「婦人同伴」です。燕尾服やタキシードを着て婦人をエスコートしている限り、ホテルの従業員と間違われることはありません。
前丈はチョッキのように短く,左右3個ずつの飾りボタンをつけます。後ろは裾が燕尾状になって,ウエストから下にベンツがあけられたドレッシーな服です。
ここに書かれていませんが、後方のウエスト部分に飾りボタン2個がつきます。騎乗時にテールをこのボタンで留めていた時代の名残とか。
チョッキは白地で衿あきの大きいドレスベスト、ズボンは上着と共布で裾はシングルにし,脇に2本の側章を飾ります。
チョッキの替わりにカマーバンドを巻いてもいいです。(カマーバンドの方が涼しい)。ベルトは使用不可でサスペンダーを用いますが、サスペンダーは下着なので、絶対に外から見えないように振舞わなければいけません。 側章はサイドストライプ(side stripe)のこと。礼装用パンツの、脇縫い線に沿って施される、絹の飾りテープ。燕尾服には2本、タキシードには1本が正式だそうです。
シャツは白地の堅胸,カラーは前折れ(ウイングカラー),ネクタイは白の蝶結び,手袋も白,帽子はシルクハットまたはオペラハット,くつは黒エナメル,くつ下も黒,ポケットチーフは白麻,シャツの胸ボタンとカフスボタンは真珠がいいのです。
要はなんでも白と黒ってことです。付け加えれば燕尾にあわせるタイは白い綿のピケ織り、ポケットチーフはスリーピークに折り、フラワーホールに花を挿すなら白のカーネーションにすると間違いないでしょう。 ボタンは白いことが肝心?なので白蝶貝でもいいのです。
正式の招待状にホワイトタイと書いてあるときは燕尾服着用のことで,葬儀の場合でも白い蝶ネクタイ,白手袋を用います。
着こなしとして、腕時計はしてはいけないとか、座るときにはズボンの膝上の部分を上に引き上げて燕尾服の裾は後ろへはね上げるとかの注意が必要です。 以上、私が知る燕尾服の知識は余さず出し尽くしました。 私の誤解や理解のいたらないところにお気づきの方はどうぞ教えてください。 主な参考図書と参考にさせていただいたサイトは以下の通りです。 川渕勉紳士礼装の「かたち」と「こころ」 オーダースーツ テーラーヨシダ:Word Book 男の「装い」一科事典:Hormar タキシード会議:燕尾服の正礼装 市川裕之フィンランドで学位審査を体験して 引用文献 文化服装講座 5男子服編 -- 文化出版局, 1976
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ノーベントの燕尾服は存在するか
2007/02/18(Sun)
今日はレファレンス実習です。 課題提供者はrandokuさん。 課題は「ノーベントの燕尾服は存在するか」。 【ツール等】 服装大百科事典 (1976年)文化出版局刊 服飾辞典 (1979年)文化出版局刊 【経緯】 まずは民俗学コーナーへ行って服装大百科事典 (1976年)を手に取りました。 「燕尾服」を引くと図(絵)が付いていて、ありがたいことに後ろから見た図もあるんです。素晴らしい! 幸運に手を打ったのも束の間でした。この図、縫い目と切れ目が識別できないのです。 裾の中央に実線で描かれているのが、布を接いだことを表わしているのかベントやスリットを表わしているのか??(縫製を専門にしている人ならこの図を見てわかるかもしれませんが、滅多に針を持たない私には皆目・・・・) 次に工学のコーナーで服飾辞典類に当たりました。 比較的詳しく載っていたのが、服飾辞典 (1979年)でした。 「燕尾服」を引くと「スワロー・テールド・コート」を見よとあります。 「スワロー・テールド・コート」を引くと・・・(読みやすくするために段落わけします)
スワロー・テールド・コート〔swallow taild coat〕 燕尾(えんび)服のこと。夜の第一礼装で、スワロー・テール,イブニング・ドレス・コートともいう。 前部はウエストまでの長さ,後部は膝丈あたりまで垂れ,裾が二つに割れている。 黒またはミッドナイト・ブルーで,ドスキン,カシミア,ドレス・ウーステッドなどの布地を使う。 衿はピークド・ラペルが多い。ズボンは脇縫い目に2本のブレードがついたもので,足の甲にたるみができる長さにはく。 白のピケか絹のベストはシングルまたはダブルのもの,シャツは<いか胸>とよばれる胸の部分を固く糊づけしたもので,コートの袖口よりカフスが2cmほど見え,後ろ衿からもカラーが見えるように着る。衿は衿先が折れた立ち襟である。 このほか,白いキッドかモカの手袋,白のハンカチーフ,エナメルでオクスフォード型(はと目のあるひも締めの型)か,パンプス型の黒い靴,シルク・ハットかオペラ・ハット,ホワイト・タイ,黒の長いウールや合繊の靴下がともに用いられる。 最近の傾向ではスワロー・テールド・コートを着ることはほとんどなくなり,タキシード(略礼装)が変わって用いられるようになっている。
というわけでした。 【回答】 燕尾服〔swallow taild coat〕である限り、裾は2本に割れていなければなりません。ノーベントで1本のテールだったら、それは燕尾服に似た新しい衣装です。 【余談】 下線部はなかなか親切な記述だと思います。 ここまで細かく記述した辞典は他にありませんでした。 「後部はウエストからセンターベントが入り」と説明しているものはまだいい方で、「裾は燕尾状」で終わりにしているものが少なくなかったです。 『ベント』や『ブレード』が分からなければ、同じ辞典で『ベント』『ブレード』の項を引けばいいけれど、『燕尾状』は出てきません。燕の尾がどういう形状であるか、世の燕はみんな2本に別れた尾をしているのか、別の辞典(図鑑)を見なければ確認できないのです。 大体『燕尾状』が縫製でどのように表現されるのかを叙述しないならば服飾辞典の用をなしません。 国語辞典なら「燕尾服:夜の正礼装。燕尾状の裾を持つことから」程度の説明でもしかたないですが、こと服飾辞典において「燕尾服の裾は燕尾状」というのは、「ホワイト・タイは白いタイ」というのと同じくらい不親切ではないかと思います。 しかしここまで親切に書いているからこそ惜しまれたのが斜体部 の記述。 「衿はピークド・ラペルかショール・カラーで、拝絹をほどこしたもの」言って欲しかったです。拝絹の光沢のない衿では、夜の正装として台無しです。
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見ればまいね 見せてもまいね
2007/02/17(Sat)
『見ればまいね 見せてもまいね』とはどこかの混浴温泉にかかげられている言葉だとか。 「他人の裸をわざわざ見てはいけない 自分の裸をことさら見せてもいけない」 という意味なのでしょう。 方言と、省略が聞いていることで、ことごとしくない注意になっています。温泉のようにやんわり効くだろうと思います。
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出来ちゃった婚
2007/02/16(Fri)
『出来ちゃった婚』って言われるのは子どもの側からすればホントに失礼なことだと思います。 同じことなら『でかした婚』と言って、生まれてくる子どもを歓迎する雰囲気を作ってほしいです。
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センターベンツ
2007/02/15(Thu)
まずはWikipediaで、背広の裾の切れ込みの説明を見ます。
ベント(vent) 馬乗り用の後裾の切込み。ないのがノーベント、中央に一本がセンターベン、両脇にあるのがサイドベン、また鍵状となっているフックベントもある。
サイドベンツは(右に1本左に1本)あわせて2本あるから複数形なんですね。 「背広の上着やスポーツ・ジャケット、コートなどの裾に入れる割れ目また切り込み」を総称して(単数でも)ベンツと呼ぶのは日本固有の習慣? センターベントの背広は世界中で着られているけれど、センターベンツの背広を着ているのは日本人だけかもしれません。 (参考:テーラーヨシダのHP「フォーマルウェア用語」ベントの項)
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♯36:「“のだめ”狂奏曲」考
2007/02/15(Thu)
『音楽の友 2007年2月号』
●特別記事 「“のだめ”狂奏曲」考(東条碩夫/片桐卓也/真嶋雄大/山野雄大/渡辺謙太郎)
がおもしろいです。 特に玉木千秋に指揮法を教えた先生のコラムはとても興味深かったです。玉木千秋の(最終回での)滂沱の涙が蘇ってくるのでした。 (玉木千秋の指揮振りが、指揮法を教えた先生の指揮ぶりに良く似ていると言っていた新田ゆりさんもコラムを書いています)
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細井和喜蔵「女工哀史」
2007/02/14(Wed)
女工がコレラに罹ったとき、真正患者と診たものには飲み薬に毒を混ぜ、苦悶が始まるともう臨終を待つどころかバラックから引きずり出して、棺桶ならざる釘が出てグリスのついた機械の空箱にへ詰め、火葬へ運搬してしまうという、女工哀史(細井和喜蔵 / 岩波書店)。 哀史としか言いようはないが、哀史では済まないでしょう、この残虐。 優秀な女工は工場間で争奪し、誘拐も「各工場とも自分の方から誘拐に行くものだから先方からも来る」というありさま。 会社は荒くれ男を雇って外勤という攻防の任に当てる。双方の外勤とも「無頼漢だから命の有無を考えない」。匕首は抜くピストルは取り出す。
翌日は双方とも大分傷を負うて、体の方々を白く包帯しているのだった。ここで女工がどうなったか、それはもう語る必要がなかろうと思う。
と著者は言うのですが、発表当時は知らず、今では何もわかりません。誘拐された女工さんがどうなったのか、どなたかどうか教えてください・・・・。
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♯35:寂しいと言えない千秋
2007/02/13(Tue)
本日はのだめカンタービレ #17 (17)の発売日だったのでした。燕尾服研究に夢中になって、千秋を忘れていました。予約しておいて良かった・・・・。 のだめカンタービレ #17 (17)
二ノ宮 知子 / 講談社 テオとユンロンが気を吐いて笑わせてくれますが、のだめと千秋に関しては笑っていられません。 (以下ネタバレを含むため反転) 父を慕いながらそれを認められない千秋、のだめに傍にいてほしいのにそれを言えない千秋。 「音楽で」千秋に近づきたい一心ののだめは、千秋の寂しさに無頓着(?)だし。 ああ、ああ、歯がゆい。 私はニナに賛成です。
「若いんだから/彼女でも作って/少しは遊んだり/したっていいのに/・・・・・・/なにを/生き急いで/いるのかしら」
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♯34:燕尾服(スワローテールコート)研究Ⅲ
2007/02/12(Mon)
ありました! 1本尾に見える燕尾服(スワローテールコート)。 「ウィーン・フィルハーモニーと名指揮者たちヴィヴィアン・プルドム, 名雲 淳子 / アルファベータ」76ページ。 アルフレート・プランヤフスキーの後姿が(頭部以外)千秋の後姿にそっくりです。 そして本日午後「BS2名演ふたたび:N響80周年」を見ていたら、指揮者の燕尾服の後姿は、テールが1本に見えるときも2本に見えるときもありました。 2本のテールに重なり合う部分があるので、そこが重なっているときはテールが1本に見えるようです。 やはり動いている映像で、動きや角度によって見え方が違うのを見ると、納得です。燕尾服のテールは2本。ただし写真や絵では1本に見えるときもあると。 「名演ふたたび:N響80周年」でありがたかったのは、ミッドナイトブルーの燕尾服が見られたこと。ひとりコンサートマスターだけが、音に聞くミッドナイトブルーの燕尾服を身につけている! (私にとっては)めずらしいものが見られてとてもラッキーでした。    
 現代の礼装の色は黒が原則だが、ミッドナイトブルーと呼ばれる濃紺でもよい。ミッドナイトブルーは、 「夜間照明下で黒に見える深い紺」であり、「真夜中のように濃い紺」では決してない。ディナージャケットにふさわしい究極の色は黒ではなく、ミッドナイトブルーである。人工的な照明のもとでは黒は緑がかって見える。ミッドナイトブルーこそが黒よりも黒らしく見える
テーラーヨシダさんのサイト「フォーマルウェア用語」のページ、タキシードの項より引用させていただきました) 本で調べないで始めから映像(生で見ることを含む)に情報源を求めればよかったのかもしれませんが、そこはそれ、読むのが趣味だから。 本で調べようとしたからこそ紳士礼装の「かたち」と「こころ」にもハーディ・エイミスのイギリスの紳士服にも出会えたわけです。 自分の調べものに関しては「遠回りこそ面白けれ」です。 <追記> もし職務として「テールが1本に見える燕尾服の絵があるのだが、テールが1本の燕尾服は存在するか?」と問われたら「礼服全書 製作技術から着装法まで 松田義明 /洋装社 1981/11出版」あたりを紹介すると思います。 取り寄せるのは困難そうですが・・・・。 (自館所蔵の資料でどうやって調べるか、そのうち演習をしておかないとマズイな)
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♯33:燕尾服(スワローテールコート)研究Ⅱ
2007/02/11(Sun)
指揮者と燕尾服の関係については、まず機能性と様式美の点で新田ユリさんの新聞寄稿「制服」が要を得ておりエッセイ「コンサート衣装」には女性ならではの視点があって面白かったです。 また、燕尾服を着る心構え(心境?)については松沼俊彦さんが「徒然なる指揮者第34回~燕尾服~で書いています。 自分の結婚式で燕尾服を着たら、友だちに「それ、仕事着?」と言われた話がおかしかったです。 エッセイ「津坂テーラー」で燕尾服とテーラーの関係について言及したのは指揮者小松長生さん。(うまくリンクが張れませんでした。「津坂テーラー」はエッセイというカテゴリーのの2番目に入っています) 「小松様と洋服と私」という津坂友一郎さんの寄稿文には職人魂がそのまま出ていて、目を洗われます。(うまくリンクが張れませんでした。「小松様と洋服と私」は「横顔」というカテゴリーに入っています) 指揮者の中でも燕尾服を着ない人が増えているようですが、私は燕尾服に廃れないで欲しいと思います。 ピタリと身に添う燕尾服は艶美、いえ、得も言われず優美ですから。
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♯32:のだめ副産物
2007/02/10(Sat)
私がバリバリとオーケストラ関係の本を読んでいると、夫が 「なんでそんなふうに勉強してまで論理武装するの。音楽は素直に楽しめばいいじゃないか。他の人がなんと言ったって、自分が感じるものを信じればいいのに」 といいます。 なんだか非常な誤解があるようです。 私が読んでいるのは、ただ面白いと感じるから。です 最初は千秋がどんな世界に棲んでいるのか知りたいから読み始めたけれど、今ではクナとワルターとフルトヴェングラーという「登場人物」が大好きです。 彼らの出した音を知らないままに、です。 路傍の花の本棚を見ると、1年前には手に取ろうとも思わなかった本が並んでおり、これはのだめの(とても大きな)副産物だなあと思います。
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♯31:のだめ副作用
2007/02/10(Sat)
CD「のだめオーケストラ」STORY! を買おうよーと夫に提案すると異議が出ました。「のだめオーケストラ」LIVE! を買ってきたのは夫なのに。 「なんで?」 「のだめオーケストラの『のだめバージョン』演奏を聴くとそれが頭に残っちゃうんだ。ガーシュウインはジャズっぽい音楽しか思い出せなくなっちゃったし、ベートーベンの悲愴なんか大好きだったのに、大好きだったのに、今じゃつい『ねこのフン』が浮かんできちゃうんだぞ」 と夫。 悲愴のメロディに乗せて「ふんふんふん猫のふーん」と歌っていたのはアニメののだめで、CDに録音されているわけではないんですが、言いたいことはわかります。 ちょっとやそっと聞いただけでメロディラインを記憶できる人は大変ですね。 私は全然そんな不自由?はないんですが、夫の反対に合うとCDは家計費でなく自分の小遣いから支出しなければならず、のだめアニメのとんだ副作用です。
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♯30「都響xのだめコンサート」売り切れ
2007/02/10(Sat)
都響xのだめカンタービレ シンフォニック・コンサート」(4月12日(木)19時開演 東京芸術劇場 指揮:ジェイムズ・デプリースト)が、発売日の午後1時7分に電話が通じたときは売り切れでした。 友人に嘆じたら、芸術鑑賞というと熟睡していたあなたがなぜ?と問われました。 「フッ」と笑って、私はここ最近のはなはだしい進歩ぶりを答えます。 「のだめ」のおかげで、弦の音や管の音が聞こえるようになりました。 弦の音がすると 「おお、この中で峰くんががんばってるんだなあ」 管の音には 「ああ、この中で黒木君がいぶしているんだなあ」 と思うわけです。 第一バイオリンと第二バイオリンの違いはもちろん聞き取れないし、ビオラとバイオリンだって違いがわからないんだけど、今までオーケストラ全体でのつかみどころのない獏とした音しか聞いてなかったんだから、はなはだしい進歩と呼ぶべきでしょう。 (ななはだしく程度の低い進歩ともいいます) 次のターゲットはのだめカンタービレ杯オーケストラ部門審査員特別賞獲得のリバティベルオーケストラ定期演奏会。 さあ誰を誘おうか。
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久保帯人「BLEACH 26」
2007/02/09(Fri)
今回はテンポがいい! 人物間が丁々発止! BLEACH 26 (26)
/ 集英社 いつもながらルキアの着る服のセンスが悲しいです。 さらにいつもながら、一巻の終わり方に怒りをおぼえます。 「こんなところで終わりにしないで!!」 BLEACHは1年間読まずに我慢して、1年分のコミックスをまとめて読むといいと思います。 (1年間我慢できればですが)
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藤原正彦×美子「品格ある夫婦のかたち」
2007/02/09(Fri)
雑誌「婦人公論」今月号が面白い! 2007/2/7号:Vol.92,N0.4、通巻1218号です。 特集は「結婚しても、ときめきたい」。 集中の白眉はp32-35. 「藤原正彦×美子:品格ある夫婦のかたち」。 もはや夫婦漫才に近いですが、その一歩手前で踏みとどまった対談です。 ・・・・・漫才と対談の境目は、やはり「品格」の存在でしょうか??
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いも恋・芋来い・妹恋
2007/02/08(Thu)
いも恋を買いに行きました。お店にはのだめカンタービレののの字もありませんでした。 皮のネチネチ感と、芋そのものの甘さはさすが。 こんな芋、なかなか手に入りませんよ・・・・。 温めて、熱々にして食べた方が美味しいと思います。 (そのうち、そのへんの芋と出来合いのあんこで「B級いも恋」を作ってたらふく食べようっと)
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枡野浩一「結婚失格」
2007/02/07(Wed)
日本初の?書評小説。 妻からいきなり離婚を言い渡され、子どもに会うことも禁じられた男が、傷心で読む本の数々。 結婚失格
枡野 浩一 / 講談社 同じ本を読んでも人によって感想は違うだろうし、同じ人が読んでも、空腹時と満腹時では違った感想になるかもしれない。 感想の「違い」に着目し、その読み手、読み手の置かれた状況ならでは感想がかき分けられるなら、書評小説は成立する。 しかし「結婚失格」は主人公があまりにも著者に似ているので、「あるきかたがただしくない」を読みやすくした本という印象です。 書評小説ならジェイン・オースティンの読書会が傑作だと思います。 書評対象がオースティンに限られますが、人により時による「読み」のバラエティが楽しめます。
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まるかぶり
2007/02/05(Mon)
節分の恵方巻き、デザートの変わり種も登場という時代になりました。 私の通勤途中でも京樽の「まるかぶり」という幟を何度も見ました。 「丸かじり」なり「丸呑み」なりなら知っているけれど、「丸かぶり」? 恵方巻きを食べる地方の方言で、丸かじりの意味なんだろうと思っていたのですが。 調べてみたらこれは共通語。かぶるは
かぶ・る:ものをかんで食う。くらいつくように食べる。かじる。(精選日本国語大辞典)
という意味だそうです。 知らなかった。。。。。。
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