ヒカルの碁:佐為のハーレム
![]() ピアスをした佐為ですから、時代考証を四の五のいうまでもないのですが。
作為の装束は平安時代の男性(貴人)というよりは現在の巫女さんに近いと思います。垂髪を元結(もとゆい)で結んでいるところが特に。ジャンプの編集者たちに「彼女」と呼ばれてもしかたないですね。
(平安時代の貴族は足袋でなく襪【しとうず:指先の分かれていない靴下式で足首で紐を結んだもの】をはいていたはずです。詳しく知らないけど)
ピアスは美しいからよしとしよう、あの髪型も無念のあまり成仏できない幽霊にはむしろふさわしいと納得。
しかし、生前のシーンではそういうおまけがききません。
帝(みかど)に碁の指南をする際に、立烏帽子(たてえぼし)を被りながら髷(まげ)を結わない垂髪なんて、まずあり得ないと思います。
それに、御簾一つ立てずに、佐為が女御やら女房やら女童(めのわらわ)やらの中で碁を打つ場面!
当時「あひみてののち」といえばすなわち「深い中になってのち」の意味。
親ではない男性に顔を見せることには深い深ーい意味がありました。
御簾も几帳も隔てず、扇で顔を隠さない沢山の女性と見(まみ)えるなんて、一種のハーレムと言っていいかも。
佐為のように美貌で、帝のおぼえもめでたい貴人ならばこそ、あり得たかも知れないです。こんな情景。
髪型も装束も型に嵌らぬ藤原佐為。
きっと帝も許してしまったのですね。
見目麗しく才気と情熱にあふれた若者に、心を。
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ヒカルの碁
![]() いまさらですが読みました。「ヒカルの碁」。
乱暴にまとめれば、碁の天才である幽霊にとり憑かれた少年が、よきライバルに恵まれて、碁の道を究めていく話 です。(詳細な紹介はウィキペディアで「ヒカルの碁」で)
主人公のヒカルに憑いたのは、平安時代に帝に碁の指南をしていたという藤原佐為。佐為は江戸期にも寄咒を得ましたが、それが碁聖本因坊秀策です。
平安時代の藤原佐為は「実在しなかった」という証明ができない架空の人ですが、江戸時代の棋士本因坊秀策なら棋譜が今も残る歴史上の偉人。
架空の藤原佐為に重みをつけるのに、佐為が本因坊秀策を操って名局を生んだのだという設定にしたのは、素晴らしく成功していると思います。
そしてなんといっても単行本のありがたいところは、原作者が書くおまけのページ。
「原作」「漫画」「編集」の仕事の流れと影響のしあい方がよくわかってほんとに面白うございました。
中でも、原作者が韓国に取材に行ったとき、韓国のプロ棋士たちが二年も前から「ヒカルの碁」を読んでいて
「私にも囲碁の強い幽霊が憑いてくれないかなあ」
と言ったという話は、まことに興味深く、さもあろうと思われたのでした。
しかし、コミックスの巻頭ではなく巻中にカラーページが来るなんて、時代は進化していたのですね・・・・・。
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