エレジーは流れない/三浦しをん著 |
2022/09/04(Sun)
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「湯の町エレジー」を意識したタイトルだけど、「エレジーは流れない」のですから、内容は全然哀歌ではありません。 むしろマンガチックです。 脳味噌も筋肉でできている、そう、麦わらのルフィみたいな友だちが何人もいて、全然ウエットなところがない母親が二人いて、出生の秘密と経済的不安を抱えながら暮らす男子高校生が主人公。 ああ、確かにこれではエレジーどころじゃないね、と思われるラスト。これは一種の桃源郷であったか、と思われます。 スポンサーサイト
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オン・ザ・ロード/ジャック・ケルアック(著)青山 南 (翻訳) |
2022/08/13(Sat)
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ゆっくり読んでいるので、まだデンヴァーを出るところです。どうもアメリカを横断したり縦断したりする話らしいので、先が長いです。
今回はゆっくり読もうと思っているのですが、先がどうなるか気になって読むのを止められないという本ではないので、助かります? 早く読んで次の本に行きたいと思っていた頃は、こんな読書はできませんでした。 今のところ主人公は何一つ生産的なことはしていません。犯罪一歩手前のチンピラ生活。今後とも、世のため人のため、または自分の将来のために生産的なことをしそうな気配はありませんが、そのうち共感できることがおきればいいなあと思います。 |
On The Roadの翻訳について |
2022/08/02(Tue)
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「オン・ザ・ロード」とは英語をカタカナにしただけで、翻訳者の怠慢のような気がします。 半世紀前の旧訳では「路上」と訳されていたそうですが、確かに「路上」では道路上という場所を示すだけで、旅路感がありません。 しかし、私は「オン・ザ・ロード」を日本語とは認めません。 私なら、そうね、「陸路」といたします。 On The Road、「陸路」。・・・・売れそうもないですね。 |
無花果とムーン/桜庭一樹 |
2022/03/19(Sat)
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主人公の女子高生月夜は、もらわれっ子でパープルアイ。紫の瞳の人は、世界人口の2パーセントだと聞くから、本当に希有なシチュエーションです。 本人を含む兄弟全員がものごころついてからの養子で、容姿の違いがあるから、家でも地域社会でも血縁で結ばれた家族であるふりはできません。 思い切り共感しずらいシチュエーションの主人公です。 しかし、自分にとって悲しくてたまらないことを「もう悲しむな」と言われる時のやりきれなさは、多くの人経思い当たることがあるのではないかと思います。 月夜は喪失の悲しみの他に秘密にも苦しんでいて、ついつい面倒な娘を見守る家族に同情しながら読みました。 小説を読むのに主人公の気持ちになる必要はないんだなと思い出しました。 展開には飽きさせないスピードがあり、「腑に落ちる」ラストです。 |
仮面病棟/知念実希人 |
2022/01/06(Thu)
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楽しめたけど、会ったその日に医者と患者がファーストネームで呼び合うことの不自然さがひっかりました。 いくら特殊な状況下でも、急に親しくなり過ぎです。むしろこの状況下で、いきなり下の名で呼び掛ける女性患者は、医者から警戒されてもいいくらい。 あ、女性が若くて美しければ、会ったばかりの人に名前呼びされても不自然だと思わないのか、男は。 男は、ではなく少なくとも主人公と著者とこの本担当の編集者は美女に弱いですね。 主人公が美女に弱過ぎる所以外は、同じ著者の別の作品も読んでみたいと思える作品でした。 |